二章
夢小説設定
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翌日、ナマエはオオワシ狩りに付き合わされた。
「カパチㇼカムイ?」
「オオワシのことだ!」
困惑しながらついていくナマエはコンルと二人でいるときとは違い、わちゃわちゃと騒がしく流れる時間が楽しくてしょうがなかった。
コンルと二人でいることが楽しくないというわけではない。のんびり過ごす時間だってちゃんと好きだ。
「この小川でオオワシを待ち伏せる。これはアンという鷲猟用の小屋だ、丸太に餌となる餌を括り付け皮に渡す。鷲が丸太に泊まって餌を食べに来るまでひたすら待つ」
「こんな近くで待ち伏せするってことは火も焚けないのかい?」
「そうだ」
「飛んできて餌を食う鷲を撃てばいいの?」
「違う。この鉤を使う。カパチㇼアㇷ゚だ」
「杉元!いるぞ!撃て!早く!」
白石の指さす方に確かに鷲が飛んでいた。
当てられればいいが外せば鷲はもう戻ってこない。
地道に鉤で鷲の足首を引っかけて捕まえる方が確実でいいとアシㇼパが言う。
「鷲の尾羽根と手羽根はとても丈夫だから矢羽根に使うといい矢ができる。私の矢も足りなくなってきたから鷲の羽が欲しい」
「ナマエちゃんもいるし帰っていい?」
「だめだ、お前は必要だ」
ぴしゃんっと言い返され白石はしゅんとした。
しゅんとする白石を慰めるのはナマエだった。
「フチが言ってたけど昔はこの鷲鉤猟でひと冬に100羽も獲れた。でも銃を使うようになって鷲がいなくなったって」
「鉄砲の音で鷲が逃げちゃうのかな?」
「そうだ、目先の利益を焦った結果、大きな利益を台無しにしてしまったんだ。結局昔からのこの静かな方法が正しかったんだ」
四人は小屋の中に入り、鷲を待つ。
「狙う獲物の大きさによって鉤の大きさを変えるんだ。しかし……一番大きなカギでもフリは捕まえられっこないんだろうなぁ、恐ろしい」
「フリ?なんだいそりゃあ」
「コンルさんから聞いたことある。伝説の巨鳥なんだって」
片方の翼が七里もある巨大な鳥の伝説が北海道の全土に存在する。この鳥が現れると太陽の光が遮られあたりが暗くなって女や子供が攫われるという。
「七里ねえ、そんなデカイ翼なら足首も大木並みなんだろうな」
「アイヌのおとぎ話か。ってオイオイ寝てんじゃん」
「気持ちよさそうに眠ってるね」
「ああ!?もしかして俺を“必要だ”ってのは湯たんぽがわり?」
「今頃気づいたのか」
「あはは、まあ、いらないと言われるよりマシだと思いますよ?」
「そうだけどぉ…」
眠るアシㇼパを見ながら蛍がくすくすと笑う。
そのうち全員が眠ってしまった。
「ふわぁ」
杉元が起きると同時にナマエも目を覚ました。
すると外からバサバサと鳥の翼の音が聞こえてきたので二人が外をちらりと覗くと、そこには大きな鷲が餌の鮭を食べていた。
「メス、かな?」
「わかるの?」
「メスの方が体が大きかったはずだからメスかなって」
「確かに、でけぇもんな……小鳥遊、鉤、鉤とって」
「あ、うん」
そろりとオオワシの足に鉤を近づけ、一気に掴む。
「捕まえたあッ!アシㇼパさん起きろ!どうすりゃいいんだこれ!」
「あ?」
「あ?じゃないよ!」
「白石!小鳥遊でもいい!早く押さえ込め!」
二人が駆け付けるが白石がオオワシに頭を噛まれただけだった。
「……痛ってえ」
「寝てろ!!」
ナマエが暴れる鷲の首を掴む。
「でかした小鳥遊!そのまま骨を折るんだ、鳥の骨は脆いからすぐ折れる」
「折る?!」
戸惑いながらも軽く首を捻るとパキッと小気味いい音が鳴り鷲は動かなくなった。
「こ、こんな感じで大丈夫だった……?」
「よくやった!小鳥遊はすごいなあ」
よしよしと自分よりも小さなアシㇼパに撫でられるナマエ。正直悪い気はしなかった。
するとさっきのオオワシよりももっと大きな翼の音が聞こえ、アシㇼパの肩をガッチリと掴み、そのまま飛び去ろうとした。
「うおおお、なんだこのデカい鳥は!!」
「アシㇼパさんが、ちょっと浮いてるう!!」
「見てないで助けて!?アシㇼパちゃん持ってかれちゃうから!!」
ぐいっとナマエがアシㇼパを引っ張ると鳥はアシㇼパを離して飛び去った。
「伝説の巨鳥……本当にいたんだ……!」
「白石みてな頭してたな」
「は、ハゲワシ……初めて見たかも」
「ハゲワシ?」
「動物の死骸を主に食べる大きな鷲。他にも卵を食べたり果実を主食にするハゲワシもいるとかいないとか」
「よく知ってんね」
「動物は好きだからちょっと詳しいの」
「白石よりも役に立つ」
「白石さんだって役に立つことはあるでしょうよ……私と違って男なんだし」
呆れた風にナマエがそう言った。
そのあとはみんなでオオワシを食べることになった、オオワシの足を食べた杉元と白石ははわはわしていたが何とか食べているのをナマエは幸せそうに見ていた
「カパチㇼカムイ?」
「オオワシのことだ!」
困惑しながらついていくナマエはコンルと二人でいるときとは違い、わちゃわちゃと騒がしく流れる時間が楽しくてしょうがなかった。
コンルと二人でいることが楽しくないというわけではない。のんびり過ごす時間だってちゃんと好きだ。
「この小川でオオワシを待ち伏せる。これはアンという鷲猟用の小屋だ、丸太に餌となる餌を括り付け皮に渡す。鷲が丸太に泊まって餌を食べに来るまでひたすら待つ」
「こんな近くで待ち伏せするってことは火も焚けないのかい?」
「そうだ」
「飛んできて餌を食う鷲を撃てばいいの?」
「違う。この鉤を使う。カパチㇼアㇷ゚だ」
「杉元!いるぞ!撃て!早く!」
白石の指さす方に確かに鷲が飛んでいた。
当てられればいいが外せば鷲はもう戻ってこない。
地道に鉤で鷲の足首を引っかけて捕まえる方が確実でいいとアシㇼパが言う。
「鷲の尾羽根と手羽根はとても丈夫だから矢羽根に使うといい矢ができる。私の矢も足りなくなってきたから鷲の羽が欲しい」
「ナマエちゃんもいるし帰っていい?」
「だめだ、お前は必要だ」
ぴしゃんっと言い返され白石はしゅんとした。
しゅんとする白石を慰めるのはナマエだった。
「フチが言ってたけど昔はこの鷲鉤猟でひと冬に100羽も獲れた。でも銃を使うようになって鷲がいなくなったって」
「鉄砲の音で鷲が逃げちゃうのかな?」
「そうだ、目先の利益を焦った結果、大きな利益を台無しにしてしまったんだ。結局昔からのこの静かな方法が正しかったんだ」
四人は小屋の中に入り、鷲を待つ。
「狙う獲物の大きさによって鉤の大きさを変えるんだ。しかし……一番大きなカギでもフリは捕まえられっこないんだろうなぁ、恐ろしい」
「フリ?なんだいそりゃあ」
「コンルさんから聞いたことある。伝説の巨鳥なんだって」
片方の翼が七里もある巨大な鳥の伝説が北海道の全土に存在する。この鳥が現れると太陽の光が遮られあたりが暗くなって女や子供が攫われるという。
「七里ねえ、そんなデカイ翼なら足首も大木並みなんだろうな」
「アイヌのおとぎ話か。ってオイオイ寝てんじゃん」
「気持ちよさそうに眠ってるね」
「ああ!?もしかして俺を“必要だ”ってのは湯たんぽがわり?」
「今頃気づいたのか」
「あはは、まあ、いらないと言われるよりマシだと思いますよ?」
「そうだけどぉ…」
眠るアシㇼパを見ながら蛍がくすくすと笑う。
そのうち全員が眠ってしまった。
「ふわぁ」
杉元が起きると同時にナマエも目を覚ました。
すると外からバサバサと鳥の翼の音が聞こえてきたので二人が外をちらりと覗くと、そこには大きな鷲が餌の鮭を食べていた。
「メス、かな?」
「わかるの?」
「メスの方が体が大きかったはずだからメスかなって」
「確かに、でけぇもんな……小鳥遊、鉤、鉤とって」
「あ、うん」
そろりとオオワシの足に鉤を近づけ、一気に掴む。
「捕まえたあッ!アシㇼパさん起きろ!どうすりゃいいんだこれ!」
「あ?」
「あ?じゃないよ!」
「白石!小鳥遊でもいい!早く押さえ込め!」
二人が駆け付けるが白石がオオワシに頭を噛まれただけだった。
「……痛ってえ」
「寝てろ!!」
ナマエが暴れる鷲の首を掴む。
「でかした小鳥遊!そのまま骨を折るんだ、鳥の骨は脆いからすぐ折れる」
「折る?!」
戸惑いながらも軽く首を捻るとパキッと小気味いい音が鳴り鷲は動かなくなった。
「こ、こんな感じで大丈夫だった……?」
「よくやった!小鳥遊はすごいなあ」
よしよしと自分よりも小さなアシㇼパに撫でられるナマエ。正直悪い気はしなかった。
するとさっきのオオワシよりももっと大きな翼の音が聞こえ、アシㇼパの肩をガッチリと掴み、そのまま飛び去ろうとした。
「うおおお、なんだこのデカい鳥は!!」
「アシㇼパさんが、ちょっと浮いてるう!!」
「見てないで助けて!?アシㇼパちゃん持ってかれちゃうから!!」
ぐいっとナマエがアシㇼパを引っ張ると鳥はアシㇼパを離して飛び去った。
「伝説の巨鳥……本当にいたんだ……!」
「白石みてな頭してたな」
「は、ハゲワシ……初めて見たかも」
「ハゲワシ?」
「動物の死骸を主に食べる大きな鷲。他にも卵を食べたり果実を主食にするハゲワシもいるとかいないとか」
「よく知ってんね」
「動物は好きだからちょっと詳しいの」
「白石よりも役に立つ」
「白石さんだって役に立つことはあるでしょうよ……私と違って男なんだし」
呆れた風にナマエがそう言った。
そのあとはみんなでオオワシを食べることになった、オオワシの足を食べた杉元と白石ははわはわしていたが何とか食べているのをナマエは幸せそうに見ていた