一章
夢小説設定
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ここから出られないかと地道に調べ、行動して早数週間、分かったのは無理だということぐらいだ。
今ナマエを取り巻く環境は最悪と言っていい。
鉄格子に屈強な軍人たち、これを相手にちょっとばかり護身術に優れただけの少女に何ができるというのだろう。
――コンコン
「はい」
ガチャリとドアが開き中に入ってくるのは月島だ。基本この部屋に来るのは月島である。
「もうご飯の時間ですか?」
暇つぶしになるだろうと鶴見中尉に渡された本を読んでいるうちに夕食の時間になっていたらしかった。
最初ナマエは他の軍人たちのように彼を月島軍曹、と呼んでいたのだが本人直々にやめてくれと言われ月島さんと普通に呼ぶようになった。
「また熱心に本を読んでいたのか?」
「はい。あの人の持ってくる本はどれも面白いので、つい時間を忘れて読んでしまいます」
「そうか」
小さく微笑んで夕食を食べる。
元々はナマエ一人分の食事しか運ばれなかったが、見られていると食事が喉を通らないという申し出により、食事を運びに来る人と一緒に食べる許可を貰ったのだ。
「…月島さん、また怪我が増えていませんか?掠り傷だって甘く見てると後々悲惨なことになりますよ」
「消毒はしたから大丈夫だ」
「なら安心です」
鶴見の興味が向いたばかりにこんなところに閉じ込められているナマエが月島はやはり可哀想でならなかった。
未来から来たという突飛なことを言う少女が本当なのではないかと思い始めていた。
何故かと言えば彼女がいい意味でも悪い意味でも無知なのだ。特に戦争を知らない。
前にこんなことを話した。
「月島さんは戦争に行ったことがあるんですよね」
「あぁ、いきなりどうした?」
「いえ、私の中では戦争はもう、なんというか少し遠い歴史のお話でしかなかったので…」
話伝いでしか戦争を知らないだなんて、箱入り娘でもあるまいし、そう言えば彼女は困ったように眉を下げたのだ。
それを見てああ、彼女は本当に知らないのかと瞬時に判り、何も言えなくなった。
「月島さん?」
「ん、どうした?」
「疲れていますか?」
「……あぁ、少しな」
「それって私のせいですか?」
「違うからそんな顔をするな」
「そうですか」
何故だろうか。見た目も、話し方も、声も、何もかも違うのにあの子を重ねてしまうのは。
目の前の少女の笑った顔があの子と似ているんだろうか。
ちらりと彼女の顔を見れば丁度目が合う。目が合えば彼女は必ず微笑みかけてくれる。その顔が、きっと似ているのだろう。
今ナマエを取り巻く環境は最悪と言っていい。
鉄格子に屈強な軍人たち、これを相手にちょっとばかり護身術に優れただけの少女に何ができるというのだろう。
――コンコン
「はい」
ガチャリとドアが開き中に入ってくるのは月島だ。基本この部屋に来るのは月島である。
「もうご飯の時間ですか?」
暇つぶしになるだろうと鶴見中尉に渡された本を読んでいるうちに夕食の時間になっていたらしかった。
最初ナマエは他の軍人たちのように彼を月島軍曹、と呼んでいたのだが本人直々にやめてくれと言われ月島さんと普通に呼ぶようになった。
「また熱心に本を読んでいたのか?」
「はい。あの人の持ってくる本はどれも面白いので、つい時間を忘れて読んでしまいます」
「そうか」
小さく微笑んで夕食を食べる。
元々はナマエ一人分の食事しか運ばれなかったが、見られていると食事が喉を通らないという申し出により、食事を運びに来る人と一緒に食べる許可を貰ったのだ。
「…月島さん、また怪我が増えていませんか?掠り傷だって甘く見てると後々悲惨なことになりますよ」
「消毒はしたから大丈夫だ」
「なら安心です」
鶴見の興味が向いたばかりにこんなところに閉じ込められているナマエが月島はやはり可哀想でならなかった。
未来から来たという突飛なことを言う少女が本当なのではないかと思い始めていた。
何故かと言えば彼女がいい意味でも悪い意味でも無知なのだ。特に戦争を知らない。
前にこんなことを話した。
「月島さんは戦争に行ったことがあるんですよね」
「あぁ、いきなりどうした?」
「いえ、私の中では戦争はもう、なんというか少し遠い歴史のお話でしかなかったので…」
話伝いでしか戦争を知らないだなんて、箱入り娘でもあるまいし、そう言えば彼女は困ったように眉を下げたのだ。
それを見てああ、彼女は本当に知らないのかと瞬時に判り、何も言えなくなった。
「月島さん?」
「ん、どうした?」
「疲れていますか?」
「……あぁ、少しな」
「それって私のせいですか?」
「違うからそんな顔をするな」
「そうですか」
何故だろうか。見た目も、話し方も、声も、何もかも違うのにあの子を重ねてしまうのは。
目の前の少女の笑った顔があの子と似ているんだろうか。
ちらりと彼女の顔を見れば丁度目が合う。目が合えば彼女は必ず微笑みかけてくれる。その顔が、きっと似ているのだろう。