眠りの森
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9. 仕事と使命
「やあ、ルナさん。いらっしゃい。」
レイクサイド馬宿にて、宿主とカウンター越しに挨拶を交わす。
「また魔物退治の旅ですか?この周辺だと、カーネス大地のライネルに皆怯えていて困っているんです。討伐してくれると助かるのですが…。」
私は鞄からおもむろにライネルの肝を取り出す。
「採れたてです。」
まだ脈打つ新鮮なライネルの肝を目の当たりにし、宿主はぎょっとして一歩後退した。
「…いやはや、驚きました。仕事が早くて助かります。」
「高く売れるんですよ、これ。…あ、そうだ。最近は無いですか?孤児の情報。」
鞄に肝をしまいながら、私は尋ねた。
「無いですね。馬宿教会でも連携を取っていますが、他でもそのような話は上がっていませんよ。」
「それならよかった。」
「魔物に襲撃され家族を失ってしまった子どもは、以前に比べたら大分減ってきました。これもひとえに、ルナさんの仕事のおかげでしょうね。」
とても穏やかな笑顔を浮かべる人だな、と思った。
優しくゆったりとした口調で、彼は話を続ける。
「行き場を失った子どもたちを救いたいというルナさんの気持ちに、我々は深く賛同します。各馬宿では、里親を希望する方の連絡先を集めています。他にも何かお困りのことがあれば、ぜひ遠慮なく申し出てくださいね。馬宿教会で出来ることがありましたら、何でもご協力します。」
まっすぐと目を見つめられたので、私は恥ずかしくなって目を反らしもごもごとお礼を言った。
その後、宿泊料金を支払いベッドで朝までぐっすり眠った。
長旅とライネル討伐で、自分が思っていたより身体は疲れていた。夢を見ることも途中で目が覚めることもない、深い眠りだった。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
翌朝、レイクサイド馬宿を後にし自分の家へと戻る。
空は雲一つない晴天で、爽やかな一日の始まりを想像させた。
大きく伸びをして、深呼吸をする。意味もなく明るい気持ちになった。
リーバル様は元気にしているだろうか。
彼のことだから元気にはしているだろうけど…私が考えているのは彼が"本当に元気かどうか"ではなかった。
今どこにいるのか、何をしているのか、あの日のことや私のことを思い出すことがあるのか…
「いい天気ですね、お嬢さん。」
突然後ろから声をかけられ振り向くと、見知らぬ青年だった。
私の横にすかさず移動し歩き続ける。
「神妙な顔つきでしたが、考え事ですか?」
ええ、まあ…とぼんやりした返事を返し、私は青年の顔を見る。
商売人だろうか。それなら魔物の素材がうんとあるから換金して貰いたい。
「お嬢さんを一目見て、胸を射抜かれたような衝撃を受けたんです。まさに僕の理想の女性だ、ってね。」
私は驚いた。ナンパだ。
ストレートな口説き文句にどぎまぎしていると、彼は私の前に立ちはだかり跪いた。
「その華奢な身体も、可愛い顔も、美しい瞳も、不釣り合いなほど強大な戦闘能力も…すべてをガノン様に捧げるつもりはないですか?」
「…ガ、ガノン?」
彼の台詞の違和感に気付き雲行きが怪しくなってくる。
どうやらただのナンパではない様だ。彼はにやりと口角をあげ、私を見上げる。
「ガノン様を信仰し、ハイラルに反逆するのです。魔物専属の狩人ルナ、我々イーガ団は貴方のその力が欲しい。」
イーガ団―ハイラル王家に背きガノンを信仰するシーカー族の団体だ。
私の力が欲しいということは、イーガ団の団員になれということだろう。
最近なんだかスカウト続きだ。自分の存在がどこで噂になっているのか定かではないが、私には私の使命と仕事がある。
「ガノンに忠誠を誓うつもりも、団体に所属するつもりもありません。一人でひっそりと今の仕事を続けます。」
「…残念だ。きっと貴方の存在は、後々イーガ団の妨げとなるでしょう。断るというのなら、ここで始末しておく必要があります。」
青年は煙に巻かれ、紋章の描かれた仮面姿に変身した。
風斬り刀を手に、私へと襲い掛かってくる。
攻撃をかわすくらいなんてことはなかったが、私は手が震えて剣の鞘を抜くことが出来なかった。
人を斬ったことも、射ったこともなかったのだ。
---to be continued---
「やあ、ルナさん。いらっしゃい。」
レイクサイド馬宿にて、宿主とカウンター越しに挨拶を交わす。
「また魔物退治の旅ですか?この周辺だと、カーネス大地のライネルに皆怯えていて困っているんです。討伐してくれると助かるのですが…。」
私は鞄からおもむろにライネルの肝を取り出す。
「採れたてです。」
まだ脈打つ新鮮なライネルの肝を目の当たりにし、宿主はぎょっとして一歩後退した。
「…いやはや、驚きました。仕事が早くて助かります。」
「高く売れるんですよ、これ。…あ、そうだ。最近は無いですか?孤児の情報。」
鞄に肝をしまいながら、私は尋ねた。
「無いですね。馬宿教会でも連携を取っていますが、他でもそのような話は上がっていませんよ。」
「それならよかった。」
「魔物に襲撃され家族を失ってしまった子どもは、以前に比べたら大分減ってきました。これもひとえに、ルナさんの仕事のおかげでしょうね。」
とても穏やかな笑顔を浮かべる人だな、と思った。
優しくゆったりとした口調で、彼は話を続ける。
「行き場を失った子どもたちを救いたいというルナさんの気持ちに、我々は深く賛同します。各馬宿では、里親を希望する方の連絡先を集めています。他にも何かお困りのことがあれば、ぜひ遠慮なく申し出てくださいね。馬宿教会で出来ることがありましたら、何でもご協力します。」
まっすぐと目を見つめられたので、私は恥ずかしくなって目を反らしもごもごとお礼を言った。
その後、宿泊料金を支払いベッドで朝までぐっすり眠った。
長旅とライネル討伐で、自分が思っていたより身体は疲れていた。夢を見ることも途中で目が覚めることもない、深い眠りだった。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
翌朝、レイクサイド馬宿を後にし自分の家へと戻る。
空は雲一つない晴天で、爽やかな一日の始まりを想像させた。
大きく伸びをして、深呼吸をする。意味もなく明るい気持ちになった。
リーバル様は元気にしているだろうか。
彼のことだから元気にはしているだろうけど…私が考えているのは彼が"本当に元気かどうか"ではなかった。
今どこにいるのか、何をしているのか、あの日のことや私のことを思い出すことがあるのか…
「いい天気ですね、お嬢さん。」
突然後ろから声をかけられ振り向くと、見知らぬ青年だった。
私の横にすかさず移動し歩き続ける。
「神妙な顔つきでしたが、考え事ですか?」
ええ、まあ…とぼんやりした返事を返し、私は青年の顔を見る。
商売人だろうか。それなら魔物の素材がうんとあるから換金して貰いたい。
「お嬢さんを一目見て、胸を射抜かれたような衝撃を受けたんです。まさに僕の理想の女性だ、ってね。」
私は驚いた。ナンパだ。
ストレートな口説き文句にどぎまぎしていると、彼は私の前に立ちはだかり跪いた。
「その華奢な身体も、可愛い顔も、美しい瞳も、不釣り合いなほど強大な戦闘能力も…すべてをガノン様に捧げるつもりはないですか?」
「…ガ、ガノン?」
彼の台詞の違和感に気付き雲行きが怪しくなってくる。
どうやらただのナンパではない様だ。彼はにやりと口角をあげ、私を見上げる。
「ガノン様を信仰し、ハイラルに反逆するのです。魔物専属の狩人ルナ、我々イーガ団は貴方のその力が欲しい。」
イーガ団―ハイラル王家に背きガノンを信仰するシーカー族の団体だ。
私の力が欲しいということは、イーガ団の団員になれということだろう。
最近なんだかスカウト続きだ。自分の存在がどこで噂になっているのか定かではないが、私には私の使命と仕事がある。
「ガノンに忠誠を誓うつもりも、団体に所属するつもりもありません。一人でひっそりと今の仕事を続けます。」
「…残念だ。きっと貴方の存在は、後々イーガ団の妨げとなるでしょう。断るというのなら、ここで始末しておく必要があります。」
青年は煙に巻かれ、紋章の描かれた仮面姿に変身した。
風斬り刀を手に、私へと襲い掛かってくる。
攻撃をかわすくらいなんてことはなかったが、私は手が震えて剣の鞘を抜くことが出来なかった。
人を斬ったことも、射ったこともなかったのだ。
---to be continued---