眠りの森
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3. 静かな夜の森で
今日は朝からツイてない。
歩き疲れたから野生の馬でも捕まえて乗っていこうと思ったけど、馬は一頭も見当たらないし、
やっとの思いで辿り着いたよろず屋は閉まっているし、(聞いたところ、何十年に一度あるかないかの臨時休業だそう)
お腹が空いた時のためにと作って持ってきたはずの肉おにぎりは、カバンの中をひっくり返しても見つからないし、(多分道中で落とした)
じゃあハイラルバスでも焼いて食べようかと思って薪に火をつけた瞬間雨に降られるし、
茫然自失の道中。
神に見放されているとしか思えない。
極めつけに、あのリト族の―
"リーバル様"、だっけ。
腕を捕まれ引き留められたことを、感触で思い出す。
柔らかで暖かな羽毛の感触。
それでいて驚くほど力強く、簡単に逃れることは出来なかった。
思い返せば私の挙動は少し怪しかった、と、自分自身に呆れて笑ってしまう。
私のことを何故探していたのか分からないが、きっとろくなことじゃないだろう。
逃げるようにリトの村を後にしたが、しばらくは寄り付かないほうが良さそうだ。
そんなことを考えながら武器の準備を済ませ、目的の巣窟へ忍び寄る。
ふくろうと虫の鳴き声以外は何も聞こえない静かな夜の森で、私の仕事は今から始まる。
見張り番をしているボコブリンの背後に回り込み、矢で脳天を狙い撃った。
一匹終えたら、次。
一つずつ、確実に。丁寧に。
見張り番を全員始末し終えたら、わざと物音を立て巣窟へ走る。
不審な音に気付いた魔物らが、ゾロゾロと外の様子を見に出てくる。
5匹。事前に確認していた通りの頭数だ。
一瞬の隙を見て背後に回り込み、剣で素早く魔物の身体を真っ二つに切り裂く。
断末魔が響き渡り、生き残った魔物らが一斉に私目掛けて襲い掛かる―
粛々と仕事をこなし、気づけば私は一人になった。
先ほどの喧騒と、断末魔が頭の中で反響する。
戦いに挑む前より、その後の静けさのほうが怖い。
頭をブンブンと振り、両手で頬を叩く。気持ちを切り替えなくては。
身をかがめ、魔物の角やら肝やらひづめやらを回収していく。
「お見事。」
背後から声がして、心臓が大きく跳ねる。
反射的に弓を引き、攻撃態勢を作り振り向いた。
「…リトの村の。」
「僕にまた会えて光栄かい?ルナ。」
弓を引く手を緩める。
突然の再会に驚きを隠せずにいたが、私は瞬時に悟った。
「…すごいなぁ、物音ひとつしなかったから全然気づかなかった。」
もし魔物だったら死んでましたよ、と私は笑って見せる。
「…とぼけるつもりかい。」
彼は目をひゅうっと細めて、私を疑るように睨む。
緋色に縁どられた二つの瞳は宝石みたい。
そんなのんきなことを考えながら、
「空から全部見ていたんでしょう?隠すつもりはもうないですよ。」
私は開き直り、素材集めを再開する。
「こんな危険で泥臭いことをしなきゃならないほど、切羽詰まってるわけ?」
目玉、しっぽ、肝。ブツブツ独り言を言いながら素材を仕分けし鞄に詰め込んでいく。
「いろいろ事情があるんです。」
「…ふぅん。」
すべての素材を余すことなく回収しつくし、私は帰り支度を整える。
「じゃあ、夜分遅いですのでお気をつけて。」
すごすごと帰ろうとする私の腕を掴み、彼は引き留めた。
ーデジャヴ。
---to be continued---
今日は朝からツイてない。
歩き疲れたから野生の馬でも捕まえて乗っていこうと思ったけど、馬は一頭も見当たらないし、
やっとの思いで辿り着いたよろず屋は閉まっているし、(聞いたところ、何十年に一度あるかないかの臨時休業だそう)
お腹が空いた時のためにと作って持ってきたはずの肉おにぎりは、カバンの中をひっくり返しても見つからないし、(多分道中で落とした)
じゃあハイラルバスでも焼いて食べようかと思って薪に火をつけた瞬間雨に降られるし、
茫然自失の道中。
神に見放されているとしか思えない。
極めつけに、あのリト族の―
"リーバル様"、だっけ。
腕を捕まれ引き留められたことを、感触で思い出す。
柔らかで暖かな羽毛の感触。
それでいて驚くほど力強く、簡単に逃れることは出来なかった。
思い返せば私の挙動は少し怪しかった、と、自分自身に呆れて笑ってしまう。
私のことを何故探していたのか分からないが、きっとろくなことじゃないだろう。
逃げるようにリトの村を後にしたが、しばらくは寄り付かないほうが良さそうだ。
そんなことを考えながら武器の準備を済ませ、目的の巣窟へ忍び寄る。
ふくろうと虫の鳴き声以外は何も聞こえない静かな夜の森で、私の仕事は今から始まる。
見張り番をしているボコブリンの背後に回り込み、矢で脳天を狙い撃った。
一匹終えたら、次。
一つずつ、確実に。丁寧に。
見張り番を全員始末し終えたら、わざと物音を立て巣窟へ走る。
不審な音に気付いた魔物らが、ゾロゾロと外の様子を見に出てくる。
5匹。事前に確認していた通りの頭数だ。
一瞬の隙を見て背後に回り込み、剣で素早く魔物の身体を真っ二つに切り裂く。
断末魔が響き渡り、生き残った魔物らが一斉に私目掛けて襲い掛かる―
粛々と仕事をこなし、気づけば私は一人になった。
先ほどの喧騒と、断末魔が頭の中で反響する。
戦いに挑む前より、その後の静けさのほうが怖い。
頭をブンブンと振り、両手で頬を叩く。気持ちを切り替えなくては。
身をかがめ、魔物の角やら肝やらひづめやらを回収していく。
「お見事。」
背後から声がして、心臓が大きく跳ねる。
反射的に弓を引き、攻撃態勢を作り振り向いた。
「…リトの村の。」
「僕にまた会えて光栄かい?ルナ。」
弓を引く手を緩める。
突然の再会に驚きを隠せずにいたが、私は瞬時に悟った。
「…すごいなぁ、物音ひとつしなかったから全然気づかなかった。」
もし魔物だったら死んでましたよ、と私は笑って見せる。
「…とぼけるつもりかい。」
彼は目をひゅうっと細めて、私を疑るように睨む。
緋色に縁どられた二つの瞳は宝石みたい。
そんなのんきなことを考えながら、
「空から全部見ていたんでしょう?隠すつもりはもうないですよ。」
私は開き直り、素材集めを再開する。
「こんな危険で泥臭いことをしなきゃならないほど、切羽詰まってるわけ?」
目玉、しっぽ、肝。ブツブツ独り言を言いながら素材を仕分けし鞄に詰め込んでいく。
「いろいろ事情があるんです。」
「…ふぅん。」
すべての素材を余すことなく回収しつくし、私は帰り支度を整える。
「じゃあ、夜分遅いですのでお気をつけて。」
すごすごと帰ろうとする私の腕を掴み、彼は引き留めた。
ーデジャヴ。
---to be continued---