眠りの森
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22. うたた寝の途中
ゼルダ姫は私とリーバルを交互に見、心底安心した様子でほっと笑みを浮かべた。
「仲直りされたんですね。」
「別に。最初 から喧嘩なんてしてないさ。」
ハイラル城への出勤日、訓練時間より早く城へ向かい、リーバル様と一緒にゼルダ姫の元へ訪れた。
きっと心配をかけているだろうと思い、もうその心配がいらないということを説明しに来たのだ。
しかし、あれこれと説明する前に、ゼルダ姫は私たちの顔を見ると全てを察してくださった。
ゼルダ姫の横で背筋を伸ばして立っているリンクの口角も、少し上がっていたので驚いた。
彼もゼルダ姫と同じく、私とリーバルが和解し以前と同じ様に(実際は以前以上に親密になったわけだが)良好な関係性に戻ったことを、安心しているのだろうか。なんだか意外だが、もしそうであれば嬉しい。
「あとで英傑の仲間たちにも、ルナを紹介しましょう。」
「はい。皆さんにもぜひお会いしたいです!」
「でも…何と言って紹介しましょう?」
ゼルダ姫は小首を傾げる。
表向き私はハイラル城の非常勤訓練指導員ではあるが、眠りの森のことやリーバル様との出会いのことなど複雑に絡まって、一口で説明するには難しい。
…それに、と私は思う。
リーバル様との約束—『もうどこにもいかない』と約束して貰った—のことなどは、容易に口に出さない方がいいのだろうか。
「簡単さ。」
リーバル様は腕を組み、表情一つ変えず
「僕の恋人として紹介してくれればいい。」
と、言った。
鏡を見なくても、自分の顔が耳まで真っ赤になっていくのが分かった。目を見開きリーバル様を見上げると、リーバル様は私の反応が思い通りだったのか、満足そうににやりと笑った。
ゼルダ姫は口元を手で隠し驚いている。リンクもまた、目を見開いて私達を見つめていた。
「やはり、そうでしたか。…フフ、随分遠回りな恋路だったのではないですか?」
「おかげさまで。」
「リーバル。」
ゼルダ姫は真剣な顔つきで、改まってリーバル様を呼ぶ。リーバルもゼルダ姫をしっかりと見据えている。
「ルナを見つけてくれて、出会わせてくれてありがとうございます。きっと…いえ、必ず、貴方が幸せにしてください。」
「…なんだ、そんなことか。言われなくてもそうするよ。」
「わ、私も!」
いきなり間に割って入ったので、二人は驚いて私の方を見た。
「ゼルダ姫と、出会えてよかったです!
姫は…国のためとか、そんなことはどうでもよくて、ただ姫の役に立ちたいたいなって思える様な、そんな女性 です。
…リーバル様がゼルダ姫と私を巡り合わせてくださった理由、なんとなくわかります。
貴方は私のことも、ゼルダ姫のことも、考えてくださったんですね。」
リーバル様はゼルダ姫と私から見つめられると、ふいと視線を外した。
私と姫は目を見合わせて笑う。その仕草は、リーバル様にとって頷くよりもわかりやすいYESだった。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
夕焼けに包まれ、私たちはハイラル城を後にした。
英傑の皆さんの顔と名前を、一人ずつ反芻する。
ダルケルさんは、私のことをゴロン族のように大きく逞しい女性だと想像していたようで、そのことを仕切りに言っては『こんな華奢な嬢ちゃんが強いんだから、すげぇよなぁ。』と感心してくださった。
ウルボザさんは、開口一番『会いたかったよ。』と言ってくださり、『どんな強い魔物より、リーバルの方が手強かったんじゃないかい?』と言ってからかった。
ミファーさんは、『よろしくね。』と言うなり、私ではなくリーバル様の方を見て嬉しそうに微笑んだ。私には理由がわからなかったけど、もしかすると彼の気持ちや葛藤に対し手助けしてくれたのは彼女なのかもしれない。
「素敵な仲間たちですね。」
「そうかい?騒がしいだけだと思うけど。」
素直じゃないんだから。私はリーバル様の右手をぎゅっと握って歩いた。
「この世界がいつまでも平和で、皆が毎晩安心して眠れるように―私、これからも頑張ります。」
だから、と続ける。
「だから、ずっと一緒にいてくださいね。」
ぎゅ、と右手を少し強く握り返される。
「僕がいないと君はちっとも安心して眠れないだろ。」
愛してるよ。そう言って、私の頭に嘴を愛おしそうに摺り寄せる。
この世界に忍び寄る黒い影と闇に、私たちは立ち向かっていかなければならない。
でも、不思議と怖くなかった。
きっとこれからは、安心しきった赤ん坊の様に深い眠りに就き、悲しい時は大声で泣き、生きる喜びを全身で感じることだろう。
だって私には―
---to be continued---
ゼルダ姫は私とリーバルを交互に見、心底安心した様子でほっと笑みを浮かべた。
「仲直りされたんですね。」
「別に。
ハイラル城への出勤日、訓練時間より早く城へ向かい、リーバル様と一緒にゼルダ姫の元へ訪れた。
きっと心配をかけているだろうと思い、もうその心配がいらないということを説明しに来たのだ。
しかし、あれこれと説明する前に、ゼルダ姫は私たちの顔を見ると全てを察してくださった。
ゼルダ姫の横で背筋を伸ばして立っているリンクの口角も、少し上がっていたので驚いた。
彼もゼルダ姫と同じく、私とリーバルが和解し以前と同じ様に(実際は以前以上に親密になったわけだが)良好な関係性に戻ったことを、安心しているのだろうか。なんだか意外だが、もしそうであれば嬉しい。
「あとで英傑の仲間たちにも、ルナを紹介しましょう。」
「はい。皆さんにもぜひお会いしたいです!」
「でも…何と言って紹介しましょう?」
ゼルダ姫は小首を傾げる。
表向き私はハイラル城の非常勤訓練指導員ではあるが、眠りの森のことやリーバル様との出会いのことなど複雑に絡まって、一口で説明するには難しい。
…それに、と私は思う。
リーバル様との約束—『もうどこにもいかない』と約束して貰った—のことなどは、容易に口に出さない方がいいのだろうか。
「簡単さ。」
リーバル様は腕を組み、表情一つ変えず
「僕の恋人として紹介してくれればいい。」
と、言った。
鏡を見なくても、自分の顔が耳まで真っ赤になっていくのが分かった。目を見開きリーバル様を見上げると、リーバル様は私の反応が思い通りだったのか、満足そうににやりと笑った。
ゼルダ姫は口元を手で隠し驚いている。リンクもまた、目を見開いて私達を見つめていた。
「やはり、そうでしたか。…フフ、随分遠回りな恋路だったのではないですか?」
「おかげさまで。」
「リーバル。」
ゼルダ姫は真剣な顔つきで、改まってリーバル様を呼ぶ。リーバルもゼルダ姫をしっかりと見据えている。
「ルナを見つけてくれて、出会わせてくれてありがとうございます。きっと…いえ、必ず、貴方が幸せにしてください。」
「…なんだ、そんなことか。言われなくてもそうするよ。」
「わ、私も!」
いきなり間に割って入ったので、二人は驚いて私の方を見た。
「ゼルダ姫と、出会えてよかったです!
姫は…国のためとか、そんなことはどうでもよくて、ただ姫の役に立ちたいたいなって思える様な、そんな
…リーバル様がゼルダ姫と私を巡り合わせてくださった理由、なんとなくわかります。
貴方は私のことも、ゼルダ姫のことも、考えてくださったんですね。」
リーバル様はゼルダ姫と私から見つめられると、ふいと視線を外した。
私と姫は目を見合わせて笑う。その仕草は、リーバル様にとって頷くよりもわかりやすいYESだった。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
夕焼けに包まれ、私たちはハイラル城を後にした。
英傑の皆さんの顔と名前を、一人ずつ反芻する。
ダルケルさんは、私のことをゴロン族のように大きく逞しい女性だと想像していたようで、そのことを仕切りに言っては『こんな華奢な嬢ちゃんが強いんだから、すげぇよなぁ。』と感心してくださった。
ウルボザさんは、開口一番『会いたかったよ。』と言ってくださり、『どんな強い魔物より、リーバルの方が手強かったんじゃないかい?』と言ってからかった。
ミファーさんは、『よろしくね。』と言うなり、私ではなくリーバル様の方を見て嬉しそうに微笑んだ。私には理由がわからなかったけど、もしかすると彼の気持ちや葛藤に対し手助けしてくれたのは彼女なのかもしれない。
「素敵な仲間たちですね。」
「そうかい?騒がしいだけだと思うけど。」
素直じゃないんだから。私はリーバル様の右手をぎゅっと握って歩いた。
「この世界がいつまでも平和で、皆が毎晩安心して眠れるように―私、これからも頑張ります。」
だから、と続ける。
「だから、ずっと一緒にいてくださいね。」
ぎゅ、と右手を少し強く握り返される。
「僕がいないと君はちっとも安心して眠れないだろ。」
愛してるよ。そう言って、私の頭に嘴を愛おしそうに摺り寄せる。
この世界に忍び寄る黒い影と闇に、私たちは立ち向かっていかなければならない。
でも、不思議と怖くなかった。
きっとこれからは、安心しきった赤ん坊の様に深い眠りに就き、悲しい時は大声で泣き、生きる喜びを全身で感じることだろう。
だって私には―
---to be continued---
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