短篇
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恋の発明品
「すごいすごーい!ついに完成したんだね、ルナ!」
「ファンタスティック!これぞ世紀の大発明!ユーは天才だ!」
狭い研究所で、ルナとプルアとロベリーの三人は顔を寄せ合って盛り上がっている。
「…騒がしいな。一体何が出来たんだよ。」
「ふふ、聞いて驚くなよ、リーバル君。」
ジャーン!とルナが僕の前に差し出したのは、怪しげな赤色の液体が入った試験管だった。
「これはね、惚れ薬。」
「へえ。」
「ええっ、何その反応!そこはもっと驚くところでしょ!」
「いや?これでも驚いてるよ。ハイラル王家直属の研究者がどうしてこうもくだらない発明をしているのか、って。」
ルナがムッとした顔で僕に何か言い返そうとしたところで、プルアが口を挟む。
「そんな言い方無いでしょー?この惚れ薬の威力を強化すれば、どんな魔物だって従順になるかもしれないんだよ!くだらない発明なんかじゃないよ!」
「プルアの言う通り!ユー、頭が固いよ。それでも本当にルナのボーイフレンド?」
プルアに続いてロベリーにも貶される始末。
「あーはいはいわかったよ。で、その惚れ薬、本当に効果があるんだろうね?」
「もちろん!多分!」
どっちなんだよ。
ハイラル王家直属の研究者って言ったら、超天才エリートの集まりみたいなものだと思ってたんだけど、
ルナと付き合ってみてそのイメージは一変した。
数々の発明品を作り出すルナは、確かに研究者としては天才かもしれないけど、
一人の人間としては抜けすぎていると思う。
彼女は人並み以上の頭脳や集中力は持っていても、注意力や行動力等々においては人並み以下だ。
こういうの、ギャップっていうのかな。
ルナのそういうところを、愛くるしいと思わないでもないよ。
おかげで、この無機質な研究室にたむろしていても退屈しないしね。
「リーバル君、これ飲んでみない?」
「飲むわけないだろ。」
「ええー。」
研究者三人組が声を揃え、落胆する。
僕は研究所にはルナに会いに来ているだけであって、実験台や治験の対象になるつもりは一切無い。
「飲む気は無いけど、念の為その薬の効能を説明してくれる?」
「えっとね、この薬を飲んだら私のことが大好きになっちゃいます。」
稚拙すぎる説明に思わず眉を顰める。
「惚れ薬の対象はルナ限定なのかい?」
「うん。」
「それだと対象者が限られてくるじゃないか。それとも、ルナは僕意外にモテたいワケ?」
「め、滅相も無い!」
ルナの言葉を遮って、プルアとロベリーが前のめりになりながら口を挟む。
「そんなワケ無いじゃん!この薬はリーバルに飲ませて、もっと好きになって貰おうって魂胆で作ったんだよ?!ね、ルナ?」
「ユーも男なら、ルナの期待に応えてやるべきだ!」
…やっぱり、くだらない発明じゃないか。
「惚れ薬なんか使わなくても、もう既に僕がルナのことが大好きだったら、その薬は役に立たないんじゃない?」
僕がそう言うと、研究者一同ハッとした様子で声を揃えて
「確かに!」
と、言った。
…天才と馬鹿は紙一重って、本当にその通りなんだろうね。
「いやールナ、一本取られちゃったねー。」
「流石、ルナのボーイフレンド…目の付け所がディスカバリーだね。」
「うんうん、全くその通り!リーバル、私と一緒に、研究者の道を歩まない?恋人同士で!」
またも顔を寄せ合って興奮気味に盛り上がる三人組。
「君達みたいな変わり者、相手するだけでも大変なのに、同類になるなんて御免だよ。」
こんなに調子を狂わされるのに、どこか憎めないよな。
そう思いながら外に目をやると、ほとんど日が沈んでいた。
「ありゃ、もうこんな時間?そろそろ自分の持ち場に着かないとね。」
「ルナ、またファンタスティックな発明品が出来たら教えてくれよな!」
そういい残すと、プルアとロベリーは足早に研究室を去って行った。
二人きりになった研究室は、突然しんと静まり返ったようだ。
「あのさ、リーバル。」
ルナが、少し俯き気味に尋ねる。
「何だよ。」
「ほんとに、私のこと、大好き?」
「…二度も言わせる気かい。」
「だ、だって嬉しかったんだもん。」
僕はルナの頭を軽くこずいてみせる。
「薬なんか使わなくても、ルナなら十分僕を惚れさせられるだろ。」
そう言って、僕も研究室から出て行く。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
研究室を出て、数時間が経った。
その間、僕は一人で夕食を済ませたものの、ルナは一向に研究室から出てこない。
外もすっかり暗くなっているというのに。
まあ、珍しい事ではないんだけどね。
僕が再び研究室へ戻ると、案の定ルナは机に突っ伏したまま
眠り込んでいた。
どうせまた、研究に没頭してる内に眠くなったんだろう。
「ルナ、もういい加減帰る時間だぞ。」
机上には、計算式が殴り書きされたメモが散乱していたり、読むのに100年はかかりそうな分厚い本が山積みになっている。
天才研究者、ねぇ。
寝顔を覗き見る。
僕にはただの可愛い少女が遊びで白衣を着ているようにしか見えないけれど。
「リーバル…。好きって…へへ…。」
「はあ?何だよ、僕の夢でも見てるのか?」
ふと机の上に目をやると
“惚れ薬は×。もっと好きになってもらうには?”
と書かれたメモがある。
「…僕に好かれる研究してるのか。」
思わず吹き出してしまった。
「ほんと、ハイラル王家直属の研究者が、くだらないよね。」
僕は側に置いてあったペンを執り、続きを書く。
“そんな研究ばかりせずに
沢山お話したり
沢山僕への愛を伝える事。”
簡単な事はわからないくせに、難しい事は難なくこなす天才研究者兼僕の恋人は、小さな寝息を立てている。
答えの書かれたメモをそのままに、僕はルナにそっと毛布をかけてやった。
---Fin---
「すごいすごーい!ついに完成したんだね、ルナ!」
「ファンタスティック!これぞ世紀の大発明!ユーは天才だ!」
狭い研究所で、ルナとプルアとロベリーの三人は顔を寄せ合って盛り上がっている。
「…騒がしいな。一体何が出来たんだよ。」
「ふふ、聞いて驚くなよ、リーバル君。」
ジャーン!とルナが僕の前に差し出したのは、怪しげな赤色の液体が入った試験管だった。
「これはね、惚れ薬。」
「へえ。」
「ええっ、何その反応!そこはもっと驚くところでしょ!」
「いや?これでも驚いてるよ。ハイラル王家直属の研究者がどうしてこうもくだらない発明をしているのか、って。」
ルナがムッとした顔で僕に何か言い返そうとしたところで、プルアが口を挟む。
「そんな言い方無いでしょー?この惚れ薬の威力を強化すれば、どんな魔物だって従順になるかもしれないんだよ!くだらない発明なんかじゃないよ!」
「プルアの言う通り!ユー、頭が固いよ。それでも本当にルナのボーイフレンド?」
プルアに続いてロベリーにも貶される始末。
「あーはいはいわかったよ。で、その惚れ薬、本当に効果があるんだろうね?」
「もちろん!多分!」
どっちなんだよ。
ハイラル王家直属の研究者って言ったら、超天才エリートの集まりみたいなものだと思ってたんだけど、
ルナと付き合ってみてそのイメージは一変した。
数々の発明品を作り出すルナは、確かに研究者としては天才かもしれないけど、
一人の人間としては抜けすぎていると思う。
彼女は人並み以上の頭脳や集中力は持っていても、注意力や行動力等々においては人並み以下だ。
こういうの、ギャップっていうのかな。
ルナのそういうところを、愛くるしいと思わないでもないよ。
おかげで、この無機質な研究室にたむろしていても退屈しないしね。
「リーバル君、これ飲んでみない?」
「飲むわけないだろ。」
「ええー。」
研究者三人組が声を揃え、落胆する。
僕は研究所にはルナに会いに来ているだけであって、実験台や治験の対象になるつもりは一切無い。
「飲む気は無いけど、念の為その薬の効能を説明してくれる?」
「えっとね、この薬を飲んだら私のことが大好きになっちゃいます。」
稚拙すぎる説明に思わず眉を顰める。
「惚れ薬の対象はルナ限定なのかい?」
「うん。」
「それだと対象者が限られてくるじゃないか。それとも、ルナは僕意外にモテたいワケ?」
「め、滅相も無い!」
ルナの言葉を遮って、プルアとロベリーが前のめりになりながら口を挟む。
「そんなワケ無いじゃん!この薬はリーバルに飲ませて、もっと好きになって貰おうって魂胆で作ったんだよ?!ね、ルナ?」
「ユーも男なら、ルナの期待に応えてやるべきだ!」
…やっぱり、くだらない発明じゃないか。
「惚れ薬なんか使わなくても、もう既に僕がルナのことが大好きだったら、その薬は役に立たないんじゃない?」
僕がそう言うと、研究者一同ハッとした様子で声を揃えて
「確かに!」
と、言った。
…天才と馬鹿は紙一重って、本当にその通りなんだろうね。
「いやールナ、一本取られちゃったねー。」
「流石、ルナのボーイフレンド…目の付け所がディスカバリーだね。」
「うんうん、全くその通り!リーバル、私と一緒に、研究者の道を歩まない?恋人同士で!」
またも顔を寄せ合って興奮気味に盛り上がる三人組。
「君達みたいな変わり者、相手するだけでも大変なのに、同類になるなんて御免だよ。」
こんなに調子を狂わされるのに、どこか憎めないよな。
そう思いながら外に目をやると、ほとんど日が沈んでいた。
「ありゃ、もうこんな時間?そろそろ自分の持ち場に着かないとね。」
「ルナ、またファンタスティックな発明品が出来たら教えてくれよな!」
そういい残すと、プルアとロベリーは足早に研究室を去って行った。
二人きりになった研究室は、突然しんと静まり返ったようだ。
「あのさ、リーバル。」
ルナが、少し俯き気味に尋ねる。
「何だよ。」
「ほんとに、私のこと、大好き?」
「…二度も言わせる気かい。」
「だ、だって嬉しかったんだもん。」
僕はルナの頭を軽くこずいてみせる。
「薬なんか使わなくても、ルナなら十分僕を惚れさせられるだろ。」
そう言って、僕も研究室から出て行く。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽
研究室を出て、数時間が経った。
その間、僕は一人で夕食を済ませたものの、ルナは一向に研究室から出てこない。
外もすっかり暗くなっているというのに。
まあ、珍しい事ではないんだけどね。
僕が再び研究室へ戻ると、案の定ルナは机に突っ伏したまま
眠り込んでいた。
どうせまた、研究に没頭してる内に眠くなったんだろう。
「ルナ、もういい加減帰る時間だぞ。」
机上には、計算式が殴り書きされたメモが散乱していたり、読むのに100年はかかりそうな分厚い本が山積みになっている。
天才研究者、ねぇ。
寝顔を覗き見る。
僕にはただの可愛い少女が遊びで白衣を着ているようにしか見えないけれど。
「リーバル…。好きって…へへ…。」
「はあ?何だよ、僕の夢でも見てるのか?」
ふと机の上に目をやると
“惚れ薬は×。もっと好きになってもらうには?”
と書かれたメモがある。
「…僕に好かれる研究してるのか。」
思わず吹き出してしまった。
「ほんと、ハイラル王家直属の研究者が、くだらないよね。」
僕は側に置いてあったペンを執り、続きを書く。
“そんな研究ばかりせずに
沢山お話したり
沢山僕への愛を伝える事。”
簡単な事はわからないくせに、難しい事は難なくこなす天才研究者兼僕の恋人は、小さな寝息を立てている。
答えの書かれたメモをそのままに、僕はルナにそっと毛布をかけてやった。
---Fin---