短篇
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月に願いを
―よく考えてみなよ。
種族の違う相手に恋なんてして、叶うとでも思ってるの?
その恋に、未来なんて無い。―
「!」
目を覚ます。
辺りはまだ暗く、窓辺から零れる月明かりが寝床を照らしている。
また、あの夢だ。
私だけがぽつんと暗闇にいて、さっきの様な声だけが届く。
そんな悪夢。
天井を見つめ、溜息を吐く。
悪夢を見た後で、すぐに寝付けるわけが無い。
月光浴でもしようかな。
私は身を起こし、カーディガンを羽織って外へ出た。
「種族を超えた恋愛だって、良いじゃない。」
無謀な恋をしてることは、自分自身が誰よりもわかってる。
わざわざ夢にまで出てきてそんな忠告をしてくるのは、一体どこの誰?
…馬鹿らしい。
正体は、私の胸の内にあるどうしようもない不安に決まってる。
「お月様だけは、私の恋応援してて下さいね。」
高原に寝そべり、夜の涼しい風と月明かりをたっぷり全身に浴びる。
今の私には、月に祈るくらいしか為す術はない。
「そんな所で寝てちゃ、風邪引くよ。」
「別に引いてもいい…ええ?」
不意に声をかけられ飛び起きて見ると、そこには悩みの元凶
「リーバル?!」
そんな、都合の良い事って…
もしかして、夢の途中?
それとも、お月様が与えてくれた絶好のチャンス?
何にしろ、いつだって、どこでだって、好きな人に突然出会えるのはラッキーな事だ。
「眠れなくてね。月も綺麗だし、少し散歩してたところさ。」
彼はそう言うと、私の隣に腰を降ろした。
ふうん、そうなんだ。
なんでもない風に返事してみるけど、私はずっとドキドキしていた。
彼とこんなに近くで話すことは、初めてのことだったから。
私はしばらくずっと、月を眺めるリーバルの横顔ばかり見ていた。
かっこいいと思うのは、やっぱり好きだから?
夜空に同化してしまいそう。
「さっきから、僕の顔ばかり見て楽しい?」
「た、楽しいっていうか、」
「見とれてたんだろ。」
その通りなので何も言い返せず、目を逸らす事しか出来なかった。
「図星かい?参るね。君はわかりやすいな。」
こうなったら私は何も言い返せない。
自分の耳がみるみる熱くなるのを感じたので、そっと俯いた。
そういうキザな所にだって、いつも私は勝手に振り回されているのだ。
「わかりやすいって言うけど、リーバルには私の気持ちなんてわからないよ。」
「そうかな。いや、確かにそうかもな。他人の気持ちなんて、そう簡単にわかるものじゃない。」
そう言って節目がちに微笑んだ彼は、どこか寂しそうだった。
「それじゃ、話してごらんよ。ルナの気持ちをさ。僕が特別に聞いてあげるよ?」
じゃあ申し上げますけど、私は貴方のことが好きなんです。
…なんて、言えるわけないから、私はそれとない言葉を捜してみる。
「私は今ね、恋をしてる。」
リーバルは少し驚いた様子で、へぇ、それで?と相槌を打った。
「でも、未来の無い恋だって、言われた。」
夢の中で、だけど。
「そんなの、わかってるつもりだけど、好きな気持ちを無かったことにするのは無理。」
リーバルは黙って私の話を聞いてくれている。
「だから、今とっても辛い気持ちだよ。」
「…ふぅん。」
リーバルは再び視線を月へと向けた。
こんなこと、リーバルにわざわざ言わない方が良かったのかな。
「未来が無いなんてこと、無いんじゃないかな。」
「え?」
「ただ不安なだけだろ?」
彼の言葉が胸に刺さる。
私の悪夢の正体、それは恋心に対する“不安”な気持ち。
リーバルは、それすらも気付いているのだろうか。
「ルナが決めた道を進んでみなよ。進んだ先から戻って来れなくても、行くべきだ。…きっとソイツも、それを望んでるはずさ。」
そう話すリーバルの瞳には、丸い綺麗な月が写っていた。
「どんな道でも進んでいきゃ、未来は自然と出来てるはずさ。」
私は最初から、諦めていたのかもしれない。
恋をする勇気が足りなかったせいで、不安になっていたんだ。
「あの、リーバル。話聞いてくれて、ありがとう。…辛かった気持ちも軽くなったよ。」
「そりゃどうも。ところで、ルナは僕の気持ち、聞かなくて良いのかい?」
「聞かせてくれるの?」
「さぁね。気が向いたら話してやってもいいかな。」
「なにそれ、自分で言っておいて。」
私はフフッ、と笑う。
安堵の気持ちと、嬉しい気持ちで満ち足りているのが自分でもわかった。
「…また明日ここへ来なよ。そしたら、教えてあげるからさ。」
彼はそう言うと、吸い込まれるように夜空へと飛び立った。
ー明日また、ここへ来るときは
今日みたいに辛い気持ちで来るんじゃなくて。
貴方をちゃんと好きでいる道を決めた私でやって来よう。
だから、明日もまた見守っててくださいね、お月様。
---Fin---
―よく考えてみなよ。
種族の違う相手に恋なんてして、叶うとでも思ってるの?
その恋に、未来なんて無い。―
「!」
目を覚ます。
辺りはまだ暗く、窓辺から零れる月明かりが寝床を照らしている。
また、あの夢だ。
私だけがぽつんと暗闇にいて、さっきの様な声だけが届く。
そんな悪夢。
天井を見つめ、溜息を吐く。
悪夢を見た後で、すぐに寝付けるわけが無い。
月光浴でもしようかな。
私は身を起こし、カーディガンを羽織って外へ出た。
「種族を超えた恋愛だって、良いじゃない。」
無謀な恋をしてることは、自分自身が誰よりもわかってる。
わざわざ夢にまで出てきてそんな忠告をしてくるのは、一体どこの誰?
…馬鹿らしい。
正体は、私の胸の内にあるどうしようもない不安に決まってる。
「お月様だけは、私の恋応援してて下さいね。」
高原に寝そべり、夜の涼しい風と月明かりをたっぷり全身に浴びる。
今の私には、月に祈るくらいしか為す術はない。
「そんな所で寝てちゃ、風邪引くよ。」
「別に引いてもいい…ええ?」
不意に声をかけられ飛び起きて見ると、そこには悩みの元凶
「リーバル?!」
そんな、都合の良い事って…
もしかして、夢の途中?
それとも、お月様が与えてくれた絶好のチャンス?
何にしろ、いつだって、どこでだって、好きな人に突然出会えるのはラッキーな事だ。
「眠れなくてね。月も綺麗だし、少し散歩してたところさ。」
彼はそう言うと、私の隣に腰を降ろした。
ふうん、そうなんだ。
なんでもない風に返事してみるけど、私はずっとドキドキしていた。
彼とこんなに近くで話すことは、初めてのことだったから。
私はしばらくずっと、月を眺めるリーバルの横顔ばかり見ていた。
かっこいいと思うのは、やっぱり好きだから?
夜空に同化してしまいそう。
「さっきから、僕の顔ばかり見て楽しい?」
「た、楽しいっていうか、」
「見とれてたんだろ。」
その通りなので何も言い返せず、目を逸らす事しか出来なかった。
「図星かい?参るね。君はわかりやすいな。」
こうなったら私は何も言い返せない。
自分の耳がみるみる熱くなるのを感じたので、そっと俯いた。
そういうキザな所にだって、いつも私は勝手に振り回されているのだ。
「わかりやすいって言うけど、リーバルには私の気持ちなんてわからないよ。」
「そうかな。いや、確かにそうかもな。他人の気持ちなんて、そう簡単にわかるものじゃない。」
そう言って節目がちに微笑んだ彼は、どこか寂しそうだった。
「それじゃ、話してごらんよ。ルナの気持ちをさ。僕が特別に聞いてあげるよ?」
じゃあ申し上げますけど、私は貴方のことが好きなんです。
…なんて、言えるわけないから、私はそれとない言葉を捜してみる。
「私は今ね、恋をしてる。」
リーバルは少し驚いた様子で、へぇ、それで?と相槌を打った。
「でも、未来の無い恋だって、言われた。」
夢の中で、だけど。
「そんなの、わかってるつもりだけど、好きな気持ちを無かったことにするのは無理。」
リーバルは黙って私の話を聞いてくれている。
「だから、今とっても辛い気持ちだよ。」
「…ふぅん。」
リーバルは再び視線を月へと向けた。
こんなこと、リーバルにわざわざ言わない方が良かったのかな。
「未来が無いなんてこと、無いんじゃないかな。」
「え?」
「ただ不安なだけだろ?」
彼の言葉が胸に刺さる。
私の悪夢の正体、それは恋心に対する“不安”な気持ち。
リーバルは、それすらも気付いているのだろうか。
「ルナが決めた道を進んでみなよ。進んだ先から戻って来れなくても、行くべきだ。…きっとソイツも、それを望んでるはずさ。」
そう話すリーバルの瞳には、丸い綺麗な月が写っていた。
「どんな道でも進んでいきゃ、未来は自然と出来てるはずさ。」
私は最初から、諦めていたのかもしれない。
恋をする勇気が足りなかったせいで、不安になっていたんだ。
「あの、リーバル。話聞いてくれて、ありがとう。…辛かった気持ちも軽くなったよ。」
「そりゃどうも。ところで、ルナは僕の気持ち、聞かなくて良いのかい?」
「聞かせてくれるの?」
「さぁね。気が向いたら話してやってもいいかな。」
「なにそれ、自分で言っておいて。」
私はフフッ、と笑う。
安堵の気持ちと、嬉しい気持ちで満ち足りているのが自分でもわかった。
「…また明日ここへ来なよ。そしたら、教えてあげるからさ。」
彼はそう言うと、吸い込まれるように夜空へと飛び立った。
ー明日また、ここへ来るときは
今日みたいに辛い気持ちで来るんじゃなくて。
貴方をちゃんと好きでいる道を決めた私でやって来よう。
だから、明日もまた見守っててくださいね、お月様。
---Fin---