嫌がらせは徐々にエスカレートしていき、ある中間休みの時、外での体育の授業が終わった後、器具の整理で一人遅れた私は、なにやら下駄箱の方から声がするのを耳にした。

「…？」

「あ、やばいやばい来た、くすくす…」

「早く隠れようよ〰」

嫌な勘がしたので、自分の下駄箱をふと見てみるとそこには上履きの靴底から画鋲が無数に刺さっていた。
よくあるお作法みたいないじめの方法だが、置くだけならまだしも、刺すって…ねえ？

女子らは角の方でこちらの様子を伺っている。獲物が今か、今かとくたばるのを待つハイエナの様な視線が背後から離れない。


スッ…


私は画鋲まみれの上履きを地面に置き、片足を上げる。そして勢いに任せて履く。

ザクッ

「？！！ちょ、ちょっと！！」
「山田さん！何やって、ヤバっ！！」

聞こえない。
じんわりと白い上履きが赤黒い血に変わった。唇を固く強く噛みながら続けてもう片方の靴に足を入れる。

痛い
痛い
痛い。嫌な汗が大量に伝う。

だが精神的な痛みは不思議と消え去っていた。




？？？「うは☆あの女子いいね〰♪」