「そういや昨日、図書館で白狂（アイツ

）に何か言われたか？」

「はい。今度、健康診断があるらしくて…」

「…やっぱり 花子も言われたか。俺はぜ

っってーー行かねぇからな！」

「？どうしてです？」

「外で一服してたらアイツとばったり会って、

やれ人体に悪いだの虫歯になるだの突っかかっ

てきて、」

余計なお世話だっつーの。とため息交じりに彼

はボヤいた。



それから一週間後、

「えっと…確かこの辺だったような。」

「そちらの方、次。」

「えっ？あ、はい！今行きます…。」

立ち往生してた私を不審に思ったのか否か、医

務室から既に診断を終えた従業員から声を掛け

られた。…ちょっと恥ずかしい汗

ガチャッ

「失礼します。」

「…どうやら 花子が最後のようだな。

そこに座ってくれ。」

目の前には、やはりこの前会った白狂さんがい

た。ベーベべさんの喫煙を注意してあげたり、

先が読めないけれど、いいお医者さんだなと心

の中で勝手に美化してみる。そして、歯科、聴

覚検査、身長・体重測定…と、一通り終え、残

すは内科のみとなった。

「服を脱いで横になれ。」

「はいっ、」

するすると脱いで横になった瞬間、黒い影が近

づいて両手首を掴まれた。

「？！何するんですか！」

「っ…耳に響く。」ムチュ

口を口で塞がれたと認識出来たのは、脳内時間

で3秒ほど経過した後であった。