キャンディーリング
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おじさんが駆けつけてくれるまでは、ただ茫然自失状態で病院の待合室に座っているのが精一杯だった
おじさんの顔を見てようやく、これが現実で、夢ではない事を思い知らされる
そうなると今度は逆に頭が一気に回転し始めて、そういえばさっき説明してくれた医師は神宮寺寂雷だったなぁ、とか、お葬式はどうすればいいのかなぁ、とか、保険金ってどうなるんだろう、とか、どこかふわふわとしてまとまらない事だけが浮かんでは消えていた
ようやく通して貰えた安置室には真っ白な顔をした両親が棺に入れられていた
顔しか見えない棺を見ながら、何とか顔だけは見れるようにしてくれたのだと、何となく察した
おじさんは色々な方面に連絡を取ってくれて、時折、声を詰まらせて部屋を退室していた
せめて私の前では気丈に振舞おうとしてくれているのだろう
それなのに私は、申し訳ないと思える余裕すら失っていた
「……咲月ちゃん、帰ろうか」
一通り連絡を終えたおじさんが声をかけてくれて、私はそこでようやく頷いてよろよろと腰を上げる
そして、今更ながら私の家族はおじさん以外居なくなってしまった事に気がつく
私には兄妹が居ないし、父と母の両親、つまり祖父母も他界している
母の弟であるおじさんは未婚なので、従兄弟と呼べる人も居ない
H歴においで独身の男が突然子供を養うなんて、金銭的な面ではかなり現実的ではないだろう
「咲月ちゃん、これからの事なんだけど……」
「……はい」
「……これからはおじさんと一緒に暮らすか、1人暮らしをするか、という事になると思うんだ」
「はい」
帰りの車の中でおじさんは重い口をようやく開いた
よく見れば、やはり目は赤い
「その、咲月ちゃんはどうしたい……?」
「私は、1人暮らしがしたいです。家もあるし……」
我が家は戸建てに住んでいるので、住むところには困らないだろうと思っていた
それなのに
「……すまない、咲月ちゃん……。おじさんのお給料では、君の家のローンの返済が難しいんだ。だから、あの家は……」
思い出の詰まった我が家さえ、私は奪われてしまうのだ
おじさんの顔を見てようやく、これが現実で、夢ではない事を思い知らされる
そうなると今度は逆に頭が一気に回転し始めて、そういえばさっき説明してくれた医師は神宮寺寂雷だったなぁ、とか、お葬式はどうすればいいのかなぁ、とか、保険金ってどうなるんだろう、とか、どこかふわふわとしてまとまらない事だけが浮かんでは消えていた
ようやく通して貰えた安置室には真っ白な顔をした両親が棺に入れられていた
顔しか見えない棺を見ながら、何とか顔だけは見れるようにしてくれたのだと、何となく察した
おじさんは色々な方面に連絡を取ってくれて、時折、声を詰まらせて部屋を退室していた
せめて私の前では気丈に振舞おうとしてくれているのだろう
それなのに私は、申し訳ないと思える余裕すら失っていた
「……咲月ちゃん、帰ろうか」
一通り連絡を終えたおじさんが声をかけてくれて、私はそこでようやく頷いてよろよろと腰を上げる
そして、今更ながら私の家族はおじさん以外居なくなってしまった事に気がつく
私には兄妹が居ないし、父と母の両親、つまり祖父母も他界している
母の弟であるおじさんは未婚なので、従兄弟と呼べる人も居ない
H歴においで独身の男が突然子供を養うなんて、金銭的な面ではかなり現実的ではないだろう
「咲月ちゃん、これからの事なんだけど……」
「……はい」
「……これからはおじさんと一緒に暮らすか、1人暮らしをするか、という事になると思うんだ」
「はい」
帰りの車の中でおじさんは重い口をようやく開いた
よく見れば、やはり目は赤い
「その、咲月ちゃんはどうしたい……?」
「私は、1人暮らしがしたいです。家もあるし……」
我が家は戸建てに住んでいるので、住むところには困らないだろうと思っていた
それなのに
「……すまない、咲月ちゃん……。おじさんのお給料では、君の家のローンの返済が難しいんだ。だから、あの家は……」
思い出の詰まった我が家さえ、私は奪われてしまうのだ
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