キャンディーリング
お名前
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タクシーに乗っている時の記憶は殆どない
ただ指先が冷えて、心臓が痛いくらい脈打って、足先から痺れて感覚がなくなるような、長い時間だったように思う
けれど実際腕時計で確認すれば時計の針は20分ほど過ぎただけだった
病院に駆け込めば何も知らない看護師に嫌な顔をされた
それもそうだ
院内で走るなんて迷惑以外でも何者でもない
「あのっ、両親が、事故にっ……!
」
「落ち着いてください。まずはお名前を」
「市ノ瀬ですっ……!市ノ瀬咲月です!両親が事故に合って、危ない状況たって、連絡がっ……!」
身を乗り出すようにまくし立てれば、看護師が息を飲むのが分かる
「市ノ瀬、咲月さん」
「そうです……!」
「……ご案内しますね。椅子にかけてお待ちください」
「そんなっ……!」
1分1秒を争う言い方をしたのはそっちじゃないか……!
そんな言葉が喉から漏れそうになる
落ち着いた様子で内線をかける彼女に余計苛立ちが募った
しばらくすれば白衣の医師がこちらにやって来る
「……市ノ瀬咲月さんですね?」
「そうです!父と母は?!大丈夫なんですよね?!」
「……まずは1度落ち着きましょう。大丈夫ですから、こちらに」
そう微笑んだ背の高い男の後をひたすらに歩く
これだけ広い病院をどれだけ歩かされるのか、それとも大声を出した私への当てつけなのか
そんな事を考えていれば1番奥の部屋のドアを開けられる
どうぞ、と微笑む彼の言葉に従い、真っ白な診察室に足を踏み入れた
「あの、両親に会わせて下さい」
「……市ノ瀬さん」
「大丈夫なんでしょう?だったら会っても問題ないじゃないですか。あ、それとも集中治療室だったら私でも会えないのかな?あはは、そういうの、よく分からなくて……」
「市ノ瀬さん」
しん、とした静寂に包まれる部屋が、全てを物語っているように思えた
「……お、とうさんと、お母さんは……」
「……残念ですが……」
「嘘、ですよね?だって、さっきは大丈夫だって……」
振り絞った声は情けなく震えている
「……お父様は、お母様を庇われるようにして、即死でした。お母様も、病院に運び込まれた時には……。できる限りの事はさせて頂きましたが……」
亡くなられました、という言葉が嫌に響いた気がした
ただ指先が冷えて、心臓が痛いくらい脈打って、足先から痺れて感覚がなくなるような、長い時間だったように思う
けれど実際腕時計で確認すれば時計の針は20分ほど過ぎただけだった
病院に駆け込めば何も知らない看護師に嫌な顔をされた
それもそうだ
院内で走るなんて迷惑以外でも何者でもない
「あのっ、両親が、事故にっ……!
」
「落ち着いてください。まずはお名前を」
「市ノ瀬ですっ……!市ノ瀬咲月です!両親が事故に合って、危ない状況たって、連絡がっ……!」
身を乗り出すようにまくし立てれば、看護師が息を飲むのが分かる
「市ノ瀬、咲月さん」
「そうです……!」
「……ご案内しますね。椅子にかけてお待ちください」
「そんなっ……!」
1分1秒を争う言い方をしたのはそっちじゃないか……!
そんな言葉が喉から漏れそうになる
落ち着いた様子で内線をかける彼女に余計苛立ちが募った
しばらくすれば白衣の医師がこちらにやって来る
「……市ノ瀬咲月さんですね?」
「そうです!父と母は?!大丈夫なんですよね?!」
「……まずは1度落ち着きましょう。大丈夫ですから、こちらに」
そう微笑んだ背の高い男の後をひたすらに歩く
これだけ広い病院をどれだけ歩かされるのか、それとも大声を出した私への当てつけなのか
そんな事を考えていれば1番奥の部屋のドアを開けられる
どうぞ、と微笑む彼の言葉に従い、真っ白な診察室に足を踏み入れた
「あの、両親に会わせて下さい」
「……市ノ瀬さん」
「大丈夫なんでしょう?だったら会っても問題ないじゃないですか。あ、それとも集中治療室だったら私でも会えないのかな?あはは、そういうの、よく分からなくて……」
「市ノ瀬さん」
しん、とした静寂に包まれる部屋が、全てを物語っているように思えた
「……お、とうさんと、お母さんは……」
「……残念ですが……」
「嘘、ですよね?だって、さっきは大丈夫だって……」
振り絞った声は情けなく震えている
「……お父様は、お母様を庇われるようにして、即死でした。お母様も、病院に運び込まれた時には……。できる限りの事はさせて頂きましたが……」
亡くなられました、という言葉が嫌に響いた気がした