人魚姫
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新しく赴任してきた保育士が中学時代の同級生で、その事もあり何となく私が彼の教育係として落ち着く形となった
「それで、ここが倉庫です。運動会や発表会で使う大道具が入ってます。ここまでで質問とかはありますか?」
激務の一日を終えて、園内の施設を周りながら彼に一通りの説明をする
「市ノ瀬さん」
「はい、何でしょう?」
「……市ノ瀬さんは、青峰くんの事をどう思ってますか?」
「……テツヤ先生、それは業務とは何も関係ないことだと思いますが」
業務とは何も関係ない質問に一応釘を刺すものの、今回ばかりは折れてくれるつもりは無いらしい
吸い込まれそうな水色の瞳で、全てを見透かすように見つめられる
昔からこの目は苦手だった
「……どうしてあの時、青峰くんと桐皇に行かなかったんですか?」
「……黒子くん」
「あの時の青峰くんを平気で放って海常に行くなんて、貴女には絶対出来なかったはずです。一体何があったんですか」
「黒子くん!」
私の声に彼は押し黙る
こんな過去を掘り起こすなんて、彼らしくもない
「……もう、終わったことでしょう」
何とか振り絞った声は震えているように聞こえた
もしかしたら実際、震えていたのかもしれない
彼は中学時代の因縁に高校時代のバスケで終止符を打った
自らの中できちんと完結させ、過去のものとした
けれど何も出来なかった私にとって、あの時の事はまだ現在進行形なのだ
もう二度と手の届かない存在になってしまったとしても、だ
「私が青峰くんをどう思ってるかって……。そんなの、今更聞いてどうするの?青峰くんはNBAで活躍する国民的大スター。私は小さな保育園で保育士やってる一般人。住む世界が違うの。自然消滅した後もずっと好きです、って言えば満足なの?」
あぁ、これはただの八つ当たりだ
今朝あの夢を見たせいで余計に敏感になっている
黒子くんは何も悪くない
昔のよしみで心配してくれているだけなのだろう
「青峰くんは何も変わってないですよ」
「……変わったよ」
「変わっていません」
「変わってなくても!……もう、私には関係ない事なの」
ずっと自分に言い聞かせてきた呪いの言葉だ
自ら手を離しておいて今更惜しいだなんて、都合がいいにも程がある
私は自らの意思で逃げ出したのだから
「それで、ここが倉庫です。運動会や発表会で使う大道具が入ってます。ここまでで質問とかはありますか?」
激務の一日を終えて、園内の施設を周りながら彼に一通りの説明をする
「市ノ瀬さん」
「はい、何でしょう?」
「……市ノ瀬さんは、青峰くんの事をどう思ってますか?」
「……テツヤ先生、それは業務とは何も関係ないことだと思いますが」
業務とは何も関係ない質問に一応釘を刺すものの、今回ばかりは折れてくれるつもりは無いらしい
吸い込まれそうな水色の瞳で、全てを見透かすように見つめられる
昔からこの目は苦手だった
「……どうしてあの時、青峰くんと桐皇に行かなかったんですか?」
「……黒子くん」
「あの時の青峰くんを平気で放って海常に行くなんて、貴女には絶対出来なかったはずです。一体何があったんですか」
「黒子くん!」
私の声に彼は押し黙る
こんな過去を掘り起こすなんて、彼らしくもない
「……もう、終わったことでしょう」
何とか振り絞った声は震えているように聞こえた
もしかしたら実際、震えていたのかもしれない
彼は中学時代の因縁に高校時代のバスケで終止符を打った
自らの中できちんと完結させ、過去のものとした
けれど何も出来なかった私にとって、あの時の事はまだ現在進行形なのだ
もう二度と手の届かない存在になってしまったとしても、だ
「私が青峰くんをどう思ってるかって……。そんなの、今更聞いてどうするの?青峰くんはNBAで活躍する国民的大スター。私は小さな保育園で保育士やってる一般人。住む世界が違うの。自然消滅した後もずっと好きです、って言えば満足なの?」
あぁ、これはただの八つ当たりだ
今朝あの夢を見たせいで余計に敏感になっている
黒子くんは何も悪くない
昔のよしみで心配してくれているだけなのだろう
「青峰くんは何も変わってないですよ」
「……変わったよ」
「変わっていません」
「変わってなくても!……もう、私には関係ない事なの」
ずっと自分に言い聞かせてきた呪いの言葉だ
自ら手を離しておいて今更惜しいだなんて、都合がいいにも程がある
私は自らの意思で逃げ出したのだから