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降水確率、1%(お試し読書中)
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自身も低くはない身長を持つのだが
各駅で何人か入ってくる際、バスケ部である三井の高さが際立つ。
そんな彼を素通り出来ない乗客の視線と、この長身に整った顔立ちだ、女子学生が密かに黄色い声をあげている事に疑問など一切持たないが、何食わぬ顔で流れる景色を追っている三井に、少々驚く。
緑は、目が合わない三井の登下校の様子を、静かに垣間見る楽しさを知ってしまったようで、若干申し訳なくなる。
三井は只、毎日「流川」と騒ぐ同校の女子のお蔭で感覚が麻痺し、反応に至らないだけなのだが。
いくつか過ぎた駅で、緑は小さく息を漏らし、口を開いた。
「今日は本当にありがとうございます。でも三井先輩の左肩、濡れてますね。本当にすみません」
「たいして濡れてねぇよ。ジャージがあるって言っただろ」
「…ふ」
「?」
「いえ。」
疑問符を残し、窓に視線を戻す三井。
緑がつい笑ってしまったのは、素直ではない三井の言葉のせいだった。
恐らく、気にするなという事だ。
三井が放つ言葉の陰にある優しさを知った緑は、嬉しさを隠しきれなかった。
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