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降水確率、1%(お試し読書中)
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目的の駅に着いたというのに、二人の気持ちは不思議と虚しさを残す。互いの顔に出る事は無かったが。
緑がお礼を言う間もない程、器用に傘をまとめながら先を行く三井の後を追い、緑も定期券を鳴らした。
一段多めに階段をまたぐ三井だったが、直ぐに緑の歩調に合わせたように思えた。緑は距離の縮んだ三井を見上げると、声が降ってくる。
「どの電車だ?」
「丁度、入ってくる電車です」
「なんだ、一緒じゃねーか」
「そうなんですか?」
階段を上り終えれば、雨に打たれた電車が姿を現す。車内は混んでおらず席も空いていたが、制服の恋人同士が携帯電話をいじりながら、笑い合っている姿が不思議と目につく。
そのお陰か、二人は直線上にある出入り口付近で向き合うことになった。自分で緑を連れて来たものの状況に慣れず、誤魔化すように三井はドアの窓から外を眺めた。
薄ら窓に映る、彼女の横顔を三井は捕える。他を眺めているようで目が合う事は無い。
特に会話も無く扉が閉まり、ごとんと音を立て始める電車。
二人は揺れに体を任せつつ、向き合ったまま立ち尽くしていた。
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