変換無しであれば緑木緑《ミドリギ リョク》と表示されます。
降水確率、1%(お試し読書中)
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しっかりとした眼差しの緑の目が、丸くなる。
「持ってないので、今走って帰ろうかと…」
この堂々たるや恐らく上級生である男子生徒を目の前に、緑は不思議な感覚に襲われていた。妙に鼓動が速まっているのだ。
彼の声が低く良く響くせいだろうか、整った顔のせいなのか。眉間のシワで怖さもあるのか。
近づいてきた彼の肩幅は広く筋肉質であると、学生服でも解る。ビニール傘のボタンを開放する手は随分と大きく、長い指だった。
三井は頭一つ分低い緑の小さい顔を見下ろす。
緑のまつ毛は霧を浴びて、まるで雪の結晶を纏っているようだった。
緑は頭一つ分高い三井を見上げていた。
三井の口元に縫い傷があった。
殆ど治っていたが顔中に怪我の跡が見えた。
雨音が軽くなっていくと同時に、三井と緑は知らず内に警戒心を開放していく。
不思議だが、それはとても自然に起こったようだった。
先に我に返ったのは三井だった。
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