変換無しであれば緑木緑《ミドリギ リョク》と表示されます。
降水確率、1%(お試し読書中)
お名前の変換は此方です。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふんわりと真ん中から別けられた長い前髪、真っ白な肌が雨の冷たさで少しピンクに染まっている。整った眉に似合う凛とした大きな瞳が印象的だった。綺麗という言葉がぴったりな顔だった。
背中を向けてしまった彼女は、ここからでも解る細い指を、鞄と共に頭の高さへ。
三井はその動作に続くように、ゆっくりと近づいてみる。
案の定、彼女の手元に傘はない。
「(この機会逃すのは流石に…)」
緑の革靴が大量のシャワーへ、一歩を踏みだす、それが合図だったかのように三井は。
「― おい!」
「わっ;」
突発的に浴びせられた声に緑は驚き、鞄を下ろすことも忘れて振り返る。
その先に居るのは10センチ以上身長差がありそうな体格の良い男子生徒。短髪を乱暴にかきながらこちらを見ている。
一瞬で入学から記憶を蘇らせてみるが、誰にも当てはまらない。
そして、ゆっくりと鞄を下ろしながら緑は辺りを見渡してみる。
見知らぬ彼は、他の誰かを呼んだ可能性もあるからだ。が、依然としてその人物を捕えられず、緑が呼び止められたのだと確信する。
「…えっと…」
首を傾げながら、探るような返事をする緑。
三井が嫌な汗をかいている理由は、近くで見る緑が想像以上に綺麗だったからだ。
三井の手にはビニール傘が握られている。今朝母親に何度も言われ嫌々…そして親不孝の罪悪感から、断りきれなかった荷物だった。
それが、ここへ繋がるとは。
密かに心の奥で感謝しつつ、口を開く。
「お前、傘は?」
.