変換無しであれば緑木緑《ミドリギ リョク》と表示されます。
降水確率、1%(お試し読書中)
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電車内でアナウンスが聞こえる。緑はひっそりと、ため息を落とす。
「私、次で降ります」
「おー」
揺れる電車の速度が落ちて行く中、三井は手元の傘を緑に差し出す。緑は目を見開いたまま、静かにそれを受け取った。
「駅から歩くだろ」
「…それだと、三井先輩が」
「ジャージが...三回目か、この話。」
「解っていますけど、私はコンビニで傘も買えますし…」
「今日だけのために馬鹿くせぇだろ。だったらジュースでも買って帰れ」
困ったように笑う三井に、緑は目が離せなくなる。
“ジュース”を選んだ辺りが、まるで子供をあしらうようで気になったが、世話になった相手だ。どうも反対を押し切れない。
「テスト最終日で風邪でもひいたら…」
「関係ねぇ…って、虚しくなるから何度も同じ事を言わせんじゃねーよ。」
冗談も言ってくれた三井の優しさを無駄にしてまで、傘を返す必要は無い。
緑は素直に傘を自分に引き寄せた。
丁度、二人側の扉が開く。緑は傘と共に下車し、ボストンバッグをかけ直す車内の三井と見つめ合う。
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