#1. 卯月さんと映画
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私は自販機で買ったカフェオレを、卯月さんは楽屋と同じいちごオレを持って休憩用の席に座った。
「びっくりしましたね。あんなに早く休憩が入るなんて……」
「スタッフの間で『休憩の達人』って言われてるらしいですよ」
「休憩の達人……」
それはまあなんともコメントしづらい。
単に休憩を入れすぎる人なのか、休憩すると進みが良くなるのか。…………前者かなあ。
「あ、卯月さん年上ですよね? 敬語全然いらないですよ!」
「じゃあ早瀬さんも……」
「私は芸歴も年齢も下なので、譲れません」
ふむ、とうなづいた卯月さんはいちごオレを一口飲んで一言、
「わかった」
と言った。
うん、どうしよう。会話終わった。
こんなんで親睦を深められる? 無理でしょ。
何を話そう。何を、どんな風に話せば、この人は私を見るの? どうやったら、私はこの人を見ることができる?
「俺の相方さ、」
「あ、はい?」
一人で悶々と考えていると、ふと思い出したかのように卯月さんが口を開いた。
「葵って言うんだけど、昔から王子様って感じのやつで、でもそうやって周りに言われるのが苦手だったんだけど。最近は、そうでもないっていうか。そういう期待みたいなのに応える方向に、前向きに進んでるんだよね」
まだ完全に慣れたわけじゃないみたいだけど。
と付け足して言う卯月さんは少しだけ微笑んでいるように見えた。
「嬉しい、です?」
「うん。たまに悩んでたから。あとちょっと羨ましいなあ、と」
「羨ましい?」
「葵は成長早いからな。隣に立つ俺も負けてられない」
……アイドル業界はいつも入れ替わりが激しい。遠くないけど近くもない、分厚い壁の向こう側の世界は私にはわからない。けれど、彼らはその世界で立ち続け、進化し続けている。底にある努力の上に立っている。それでも足りないと喘ぐのか。
「と、いうわけで。俺の成長のために、ここはいっちょ親睦を深めましょ。まずは握手?」
差し出された手を握り返そうか、ちょっと迷った。まあここで返さないのも不自然だし、失礼だよね。
新さんの右手に左手で応えてしっかりと握り返した。
「びっくりしましたね。あんなに早く休憩が入るなんて……」
「スタッフの間で『休憩の達人』って言われてるらしいですよ」
「休憩の達人……」
それはまあなんともコメントしづらい。
単に休憩を入れすぎる人なのか、休憩すると進みが良くなるのか。…………前者かなあ。
「あ、卯月さん年上ですよね? 敬語全然いらないですよ!」
「じゃあ早瀬さんも……」
「私は芸歴も年齢も下なので、譲れません」
ふむ、とうなづいた卯月さんはいちごオレを一口飲んで一言、
「わかった」
と言った。
うん、どうしよう。会話終わった。
こんなんで親睦を深められる? 無理でしょ。
何を話そう。何を、どんな風に話せば、この人は私を見るの? どうやったら、私はこの人を見ることができる?
「俺の相方さ、」
「あ、はい?」
一人で悶々と考えていると、ふと思い出したかのように卯月さんが口を開いた。
「葵って言うんだけど、昔から王子様って感じのやつで、でもそうやって周りに言われるのが苦手だったんだけど。最近は、そうでもないっていうか。そういう期待みたいなのに応える方向に、前向きに進んでるんだよね」
まだ完全に慣れたわけじゃないみたいだけど。
と付け足して言う卯月さんは少しだけ微笑んでいるように見えた。
「嬉しい、です?」
「うん。たまに悩んでたから。あとちょっと羨ましいなあ、と」
「羨ましい?」
「葵は成長早いからな。隣に立つ俺も負けてられない」
……アイドル業界はいつも入れ替わりが激しい。遠くないけど近くもない、分厚い壁の向こう側の世界は私にはわからない。けれど、彼らはその世界で立ち続け、進化し続けている。底にある努力の上に立っている。それでも足りないと喘ぐのか。
「と、いうわけで。俺の成長のために、ここはいっちょ親睦を深めましょ。まずは握手?」
差し出された手を握り返そうか、ちょっと迷った。まあここで返さないのも不自然だし、失礼だよね。
新さんの右手に左手で応えてしっかりと握り返した。