#1. 卯月さんと映画
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映画に出るのは、初めてではない。
カフェで寛ぐモブ役から、ヒロインの親友役までなら何度か出演させていただく機会があった。
でも、主役は初めて。
今日まで練習はしたし、私以外の台詞も覚えるくらい読み込んだけど、実際に現場に来て演じるのは別の話だ。
……緊張、する。
「早瀬さん、リハーサルのお時間です!」
「!」
大きく息を吸って、深く吐く。
「はい! 今行きます!」
さあ、頑張れ、早瀬暦。
『先輩……?』
映画は始まりから撮っているわけではない。
監督やその日の状況によるけれど、現場に合わせてシーンを全部撮ることが多い。
現にこのシーンは映画に中盤で、卯月さんの演じる先輩の部屋で、風邪を引いた先輩の看病のために訪問した主人公が、部屋で押し倒されているところだ。
卯月さんの整った顔が目と鼻の先で、それはもうファンに叩かれそうで今から少し怖いくらいだった。
『男の部屋に一人で入るなんて……何されても文句言えないよ』
ほんとにね。私だったらそもそも看病になんて行かないよ。
だけどこれは恋愛物語だから。
ヒロインは先輩に恋心を抱いているから。
私は先輩の、もとい卯月さんの前髪をよけて額に触れた。
『……熱い』
別に熱くないけど。
心配そうに私は卯月さんの身体を離して起き上がり、
『熱あるくせに、そんなに強がらないで下さい』
台本通り労わりを込めて伝える。
『……ふっ、敵わないなあ』
あ、笑うとちょっと幼いんだ。
ここで一旦カットがかかった。
私も卯月さんも、完璧な演技だったと思う。
初っ端からのラブシーンにしては上々。
むしろこれで駄目だったらどうしようか。
監督(男)、蹴る??
「うーん……、なんかイマイチだな」
……よし蹴ろう。
カフェで寛ぐモブ役から、ヒロインの親友役までなら何度か出演させていただく機会があった。
でも、主役は初めて。
今日まで練習はしたし、私以外の台詞も覚えるくらい読み込んだけど、実際に現場に来て演じるのは別の話だ。
……緊張、する。
「早瀬さん、リハーサルのお時間です!」
「!」
大きく息を吸って、深く吐く。
「はい! 今行きます!」
さあ、頑張れ、早瀬暦。
『先輩……?』
映画は始まりから撮っているわけではない。
監督やその日の状況によるけれど、現場に合わせてシーンを全部撮ることが多い。
現にこのシーンは映画に中盤で、卯月さんの演じる先輩の部屋で、風邪を引いた先輩の看病のために訪問した主人公が、部屋で押し倒されているところだ。
卯月さんの整った顔が目と鼻の先で、それはもうファンに叩かれそうで今から少し怖いくらいだった。
『男の部屋に一人で入るなんて……何されても文句言えないよ』
ほんとにね。私だったらそもそも看病になんて行かないよ。
だけどこれは恋愛物語だから。
ヒロインは先輩に恋心を抱いているから。
私は先輩の、もとい卯月さんの前髪をよけて額に触れた。
『……熱い』
別に熱くないけど。
心配そうに私は卯月さんの身体を離して起き上がり、
『熱あるくせに、そんなに強がらないで下さい』
台本通り労わりを込めて伝える。
『……ふっ、敵わないなあ』
あ、笑うとちょっと幼いんだ。
ここで一旦カットがかかった。
私も卯月さんも、完璧な演技だったと思う。
初っ端からのラブシーンにしては上々。
むしろこれで駄目だったらどうしようか。
監督(男)、蹴る??
「うーん……、なんかイマイチだな」
……よし蹴ろう。