迷惑なの
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「先輩、お昼一緒に行こーぜ」
ジワジワ日差しが照り付ける昼下がり。五条が私を覗き込んで口角を上げる
「一人でどうぞ」
カコカコ…
無機質な音が教室の中で音を立てている。頬を膨らませる五条を放置したまま私は再び携帯に目を移した
「先輩さぁ〜俺の事嫌い?」
「どっちでもない」
「うっわ゛〜…世界一困る回答」
そう言った五条は最近私によく構う。頻繁にご飯に誘ってくるし、任務だって暇さえあれば必要ないのに着いてくる
「先輩が俺の事嫌いなんじゃ術師やってらんねーよ。寧ろ術師やってる時点でご褒美欲しいくらい」
(いつからそんなにあまえんぼになったんだか……)
フッと漏れる笑い声に私は五条の頭を撫でる
「そう言う五条の子供みたいなトコは可愛いから嫌いじゃないけど」
からかいがいがあって面白いし。最強の弱点握ったり…みたいなモノで気分いいし
(でもいつかアンタは年齢とやかく言わずに追い越して上り詰めるんでしょうね。術師のテッペン)
五条side
…
「なー…傑、硝子。先輩先輩ってさ……好きな奴いんのかな」
「塩らしいな、クズ」
「急にどうしたんだい?」
次の日の休み時間、俺は思い切って二人に聞いてみた。傑は何も聞いてなさそうだけど、硝子なら何かしら聞いてそうに見えたからだ
「この狭苦しい高専でさ、俺以外に惚れるヤツいんのかなーって」
深々ため息をついた硝子。頭を抱え込む傑。その内硝子が口を開く
「先輩先輩の好き嫌いは知らないけど、最近様子がおかしいのは何となく分かる」
傑が硝子の言葉に続いてまた口を開いた
「確かに、元気がない気がするよね。なんと言うか……いつもの先輩先輩らしくないって言うか」
(いつもの…)
『五条』
『鬱陶しい、触らないで』
「まぁ、確かに?」
『五条は何も気にせず任務行けばいいよ』
『五条、頑張りなよ』
「なんつーか…優しいかも」
変な感じ。先輩らしくないってか……いつもの毒舌がねぇから
「なんだろーな、女心……特に先輩先輩の心情ってわかんね〜」
先輩side
…
「先輩、ちょっと放課後体育館来なよ」
いつもの顔で
いつもの言葉
(またか)
「いいよ」
この女子は私のクラスメイト。高専の数少ない生徒だ。非術師と同じような何気ない日常会話とか、学生らしい青さは何もない。クラスメイトと話す内容はいつも決まって"あの子"の話
「五条くんと自分が釣り合ってるって本気で思ってるの?」
「何回も言ってるじゃん。釣り合う要素がないって」
キッパリ答えても返ってくるのは怒号と怒り。これが非術師だったらとうに呪いが生まれているくらいだ
「じゃあなんで毎日話してんのよ!おかしいでしょ!?釣り合わないなら近寄る価値もないでしょ!」
(嫉妬、醜い)
『先輩先輩♡』
『センパ〜イ、二人対戦で桃鉄やろーぜ』
『任務ぅ?暇だし着いてってやるよ』
「釣り合う釣り合わないどうでもいいけど、五条五条って毎回私に言うのも…五条から避けろって本人を傷つけるような事言ってくるのも迷惑なの」
毎度毎度言っても無駄なんだろうけど…。だからって本人は何も悪い事してないし、ただ仲良くしたいだけだろうし…
「そう、改善する気ないんだ?」
(やっぱり無駄か)
「ねぇ先輩、私今日体育準備室の片付けなんだけどさ、それ変わってくれる?そしたら五条くんの事これ以上問い詰めないからさ」
「別にいいけど」
「ホント?助かる〜!ありがとう」
妙に簡単に引き下がったモノだ。体育準備室の片付けなんて雑用の中でも一番簡単でラッキーな役割だと思うけど…
(変なの)
ガラッ
準備室を開けて何となく察した。その"変わって"って意味
「マジで来たじゃん先輩」
「フカフカのマット用意しといたぜ」
「ほら、楽しもうぜ」
後ろで閉まる鍵、前に押される感覚。なるほどね。最初からこうするつもりだったんだ
「大人しいね?」
「慣れてんの?」
「いや?泣いてんじゃん。可愛い所あるんだな」
『先輩は泣かないでしょ、我慢強いもん』
頬を伝うのは透明な雫だ
(ホントだ、何でだろう?私…コイツらに抱かれるのが嫌なんだ)
『泣いてる先輩見てぇけどな〜』
(何で……)
『先輩、彼氏いんの?』
なんで五条を思い出すんだろう
「夜蛾セン来ても面倒だし、早いとこ回そうぜ」
五条side
…
(先輩先輩のクセに、放課後桃鉄やろって約束したのにどこ行ったんだよ…)
先輩じゃ99年持たねぇから50年にして…今日でようやく50行くってのに
(あ、先輩先輩のクラスメイト)
「なぁ」
「五条くん?どうしたの?」
嬉しそうに駆け寄ってくる先輩が鬱陶しい。なんつーかストレスだ
「先輩先輩知らねぇ?」
「さぁ?私もすぐこっち来たから分かんないなぁ」
俺は見逃さなかった。先輩の微かな体温の変化と鼓動の変化
「知ってんだろ、場所」
「なんで?」
『五条、また放課後ね』
『次の決算負けないから』
『誰が泣くか』
とぼけてんの、俺に
「先輩どこにやったんだよ。居場所知ってんだろ?」
「……」
「今なら無傷で目の前から消えてやるから、先輩の居場所教えろよ」
急激な緊張による体温の低下と、脈拍の上昇。先輩は廊下の向こうを指さした
「体育…準備室……に、居る」
「何もしてねぇな?」
「……」
先輩side
…
多分コイツらが満足するまで開かないであろう準備室の扉が開いた
…と言うよりこじ開けられた
何事かと見上げた先に五条がいた
「お前ら、何やってんの?」
珍しいの
結構怒ってるみたいだ
「ご…」
人を殴りかねない顔をしていたから止めようとしたのに、それより前に五条は動いていた
「五条、ソイツら死んじゃうよ」
私が声をかけて五条がようやく止まる。夜蛾センに報告しようと携帯を取り出すと同時、五条のジャケットが降ってきた
「なんかされた?」
「別に」
「嘘つけよ、服なんも着てねぇのに何もされてねぇ訳ないじゃん」
夜蛾センには俺が電話する
私に一切目もくれないままそう言った五条が準備室の扉に手をかけた
「なんで来たの?」
「……」
聞いても五条は黙ったままだ。このままシカトするつもりだろうか?もう一度口を開こうとした時だった
「…約束したじゃん、放課後桃鉄やろって。先輩が来ねぇから」
「ごめん、着替えたら五条の部屋行くよ」
無造作に投げ捨てられた制服のシャツに袖を通しながら謝ると五条が後ろから抱きつく
たかがシャツ一枚越しにほのかな温もりが伝わった
「?」
「そうじゃねーだろ」
(心配かけたな。五条にはバレないように振舞ってたつもりなんだけど…硝子と傑の方が鋭かったか)
「先輩さ、怖くなかった?流石にそこまで心ねぇ先輩じゃないって思ってんだけど」
ポンポンと優しく五条の手を撫でる。その時またさっきと同じ、前がぼやけて五条のシャツに透明の水滴が落ちた
「先輩?」
五条が前に回り込む。視界に映る青が驚いたように私を写していた
「なんだよ、やっぱ怖かったんだろ?」
「うるさい……」
知らない
知らない
私は泣くような奴じゃない
五条の手を払うけど、自分でも驚く程にそのチカラは弱々しい。生理でも近いのかな?
「あ〜あ、なんだよ。スゲー泣くじゃん。怖かったなぁ」
止まれって思う程に涙が零れる。五条はまるで子供をあやす様に私を真正面から抱き締めて頭を撫でる
「いいって、今日は桃鉄我慢するよ。先輩あやすのが先」
後日〜
…
「先輩、なんとも思わないの?」
歌姫が有り得ないと言う顔で私の頭上に目をやっている。カコカコ携帯を弄る私は硝子に貰った飴を口の中で転がした
「慣れた」
「なぁなぁ先輩、今度ここのパフェ食い行こ」
後ろで携帯を弄っていた五条は私をすっぽり抱きながら期間限定のパフェの画像を見せてきた。どうやらカップル割が付いてくるらしい
「いつ行くの」
「放課後」
「いいよ」
「ッしゃ!」
嬉しそうに笑う五条と私は恋仲でもなんでもない。強いて言えば"友達以上恋人未満"って所で止まってる
(私が止めてるんだけど)
「今度さ、桃鉄99年やろうぜ」
「うん」
五条はあの日以降、何度も『好き』って伝えてくる。私はそれに『そうなんだ』しか返していない
「99年の辛さを先輩は耐えられるかなぁ?」
『私も好き』って返したら…五条は今より喜ぶのかな?
(ちょっと見てみたいかも)
「ねぇ五条」
歌姫が遠くに硝子を見つけて席を外す。二人きりなら面白い反応してくれるかな?
「なんだよ」
「私、五条の事好きかも」
カラーン……
コーラ缶が転がり落ちる
「バカ、何して「嘘とか言わねぇ?」
「うん」
「……」
(五条から返事が返ってこない。なんだつまんないの)
横目で相変わらず引っ付いたままの五条を見上げると彼は微かに頬を染めていた
「なに、照れてんの?」
ふにッ…と五条の頬を摘む。五条はさっきより頬を染めて綺麗な青を逸らした
「いや……じゃあカップル割もホンモノになるし、俺もようやくハッキリ言えるんだなって思ったんだよ」
「?」
五条が幸せそうに笑った
「俺も先輩大好きだって。俺の彼女だって見栄張れる」
(何それ……ずるい)
「あ、照れてんだろ。可愛いの」
そうだよ、照れてる
五条相手に照れてるのがなんか悔しい
「やかましい、パフェ奢りね」
可愛い後輩のくせに、生意気なんだから
END
ジワジワ日差しが照り付ける昼下がり。五条が私を覗き込んで口角を上げる
「一人でどうぞ」
カコカコ…
無機質な音が教室の中で音を立てている。頬を膨らませる五条を放置したまま私は再び携帯に目を移した
「先輩さぁ〜俺の事嫌い?」
「どっちでもない」
「うっわ゛〜…世界一困る回答」
そう言った五条は最近私によく構う。頻繁にご飯に誘ってくるし、任務だって暇さえあれば必要ないのに着いてくる
「先輩が俺の事嫌いなんじゃ術師やってらんねーよ。寧ろ術師やってる時点でご褒美欲しいくらい」
(いつからそんなにあまえんぼになったんだか……)
フッと漏れる笑い声に私は五条の頭を撫でる
「そう言う五条の子供みたいなトコは可愛いから嫌いじゃないけど」
からかいがいがあって面白いし。最強の弱点握ったり…みたいなモノで気分いいし
(でもいつかアンタは年齢とやかく言わずに追い越して上り詰めるんでしょうね。術師のテッペン)
五条side
…
「なー…傑、硝子。先輩先輩ってさ……好きな奴いんのかな」
「塩らしいな、クズ」
「急にどうしたんだい?」
次の日の休み時間、俺は思い切って二人に聞いてみた。傑は何も聞いてなさそうだけど、硝子なら何かしら聞いてそうに見えたからだ
「この狭苦しい高専でさ、俺以外に惚れるヤツいんのかなーって」
深々ため息をついた硝子。頭を抱え込む傑。その内硝子が口を開く
「先輩先輩の好き嫌いは知らないけど、最近様子がおかしいのは何となく分かる」
傑が硝子の言葉に続いてまた口を開いた
「確かに、元気がない気がするよね。なんと言うか……いつもの先輩先輩らしくないって言うか」
(いつもの…)
『五条』
『鬱陶しい、触らないで』
「まぁ、確かに?」
『五条は何も気にせず任務行けばいいよ』
『五条、頑張りなよ』
「なんつーか…優しいかも」
変な感じ。先輩らしくないってか……いつもの毒舌がねぇから
「なんだろーな、女心……特に先輩先輩の心情ってわかんね〜」
先輩side
…
「先輩、ちょっと放課後体育館来なよ」
いつもの顔で
いつもの言葉
(またか)
「いいよ」
この女子は私のクラスメイト。高専の数少ない生徒だ。非術師と同じような何気ない日常会話とか、学生らしい青さは何もない。クラスメイトと話す内容はいつも決まって"あの子"の話
「五条くんと自分が釣り合ってるって本気で思ってるの?」
「何回も言ってるじゃん。釣り合う要素がないって」
キッパリ答えても返ってくるのは怒号と怒り。これが非術師だったらとうに呪いが生まれているくらいだ
「じゃあなんで毎日話してんのよ!おかしいでしょ!?釣り合わないなら近寄る価値もないでしょ!」
(嫉妬、醜い)
『先輩先輩♡』
『センパ〜イ、二人対戦で桃鉄やろーぜ』
『任務ぅ?暇だし着いてってやるよ』
「釣り合う釣り合わないどうでもいいけど、五条五条って毎回私に言うのも…五条から避けろって本人を傷つけるような事言ってくるのも迷惑なの」
毎度毎度言っても無駄なんだろうけど…。だからって本人は何も悪い事してないし、ただ仲良くしたいだけだろうし…
「そう、改善する気ないんだ?」
(やっぱり無駄か)
「ねぇ先輩、私今日体育準備室の片付けなんだけどさ、それ変わってくれる?そしたら五条くんの事これ以上問い詰めないからさ」
「別にいいけど」
「ホント?助かる〜!ありがとう」
妙に簡単に引き下がったモノだ。体育準備室の片付けなんて雑用の中でも一番簡単でラッキーな役割だと思うけど…
(変なの)
ガラッ
準備室を開けて何となく察した。その"変わって"って意味
「マジで来たじゃん先輩」
「フカフカのマット用意しといたぜ」
「ほら、楽しもうぜ」
後ろで閉まる鍵、前に押される感覚。なるほどね。最初からこうするつもりだったんだ
「大人しいね?」
「慣れてんの?」
「いや?泣いてんじゃん。可愛い所あるんだな」
『先輩は泣かないでしょ、我慢強いもん』
頬を伝うのは透明な雫だ
(ホントだ、何でだろう?私…コイツらに抱かれるのが嫌なんだ)
『泣いてる先輩見てぇけどな〜』
(何で……)
『先輩、彼氏いんの?』
なんで五条を思い出すんだろう
「夜蛾セン来ても面倒だし、早いとこ回そうぜ」
五条side
…
(先輩先輩のクセに、放課後桃鉄やろって約束したのにどこ行ったんだよ…)
先輩じゃ99年持たねぇから50年にして…今日でようやく50行くってのに
(あ、先輩先輩のクラスメイト)
「なぁ」
「五条くん?どうしたの?」
嬉しそうに駆け寄ってくる先輩が鬱陶しい。なんつーかストレスだ
「先輩先輩知らねぇ?」
「さぁ?私もすぐこっち来たから分かんないなぁ」
俺は見逃さなかった。先輩の微かな体温の変化と鼓動の変化
「知ってんだろ、場所」
「なんで?」
『五条、また放課後ね』
『次の決算負けないから』
『誰が泣くか』
とぼけてんの、俺に
「先輩どこにやったんだよ。居場所知ってんだろ?」
「……」
「今なら無傷で目の前から消えてやるから、先輩の居場所教えろよ」
急激な緊張による体温の低下と、脈拍の上昇。先輩は廊下の向こうを指さした
「体育…準備室……に、居る」
「何もしてねぇな?」
「……」
先輩side
…
多分コイツらが満足するまで開かないであろう準備室の扉が開いた
…と言うよりこじ開けられた
何事かと見上げた先に五条がいた
「お前ら、何やってんの?」
珍しいの
結構怒ってるみたいだ
「ご…」
人を殴りかねない顔をしていたから止めようとしたのに、それより前に五条は動いていた
「五条、ソイツら死んじゃうよ」
私が声をかけて五条がようやく止まる。夜蛾センに報告しようと携帯を取り出すと同時、五条のジャケットが降ってきた
「なんかされた?」
「別に」
「嘘つけよ、服なんも着てねぇのに何もされてねぇ訳ないじゃん」
夜蛾センには俺が電話する
私に一切目もくれないままそう言った五条が準備室の扉に手をかけた
「なんで来たの?」
「……」
聞いても五条は黙ったままだ。このままシカトするつもりだろうか?もう一度口を開こうとした時だった
「…約束したじゃん、放課後桃鉄やろって。先輩が来ねぇから」
「ごめん、着替えたら五条の部屋行くよ」
無造作に投げ捨てられた制服のシャツに袖を通しながら謝ると五条が後ろから抱きつく
たかがシャツ一枚越しにほのかな温もりが伝わった
「?」
「そうじゃねーだろ」
(心配かけたな。五条にはバレないように振舞ってたつもりなんだけど…硝子と傑の方が鋭かったか)
「先輩さ、怖くなかった?流石にそこまで心ねぇ先輩じゃないって思ってんだけど」
ポンポンと優しく五条の手を撫でる。その時またさっきと同じ、前がぼやけて五条のシャツに透明の水滴が落ちた
「先輩?」
五条が前に回り込む。視界に映る青が驚いたように私を写していた
「なんだよ、やっぱ怖かったんだろ?」
「うるさい……」
知らない
知らない
私は泣くような奴じゃない
五条の手を払うけど、自分でも驚く程にそのチカラは弱々しい。生理でも近いのかな?
「あ〜あ、なんだよ。スゲー泣くじゃん。怖かったなぁ」
止まれって思う程に涙が零れる。五条はまるで子供をあやす様に私を真正面から抱き締めて頭を撫でる
「いいって、今日は桃鉄我慢するよ。先輩あやすのが先」
後日〜
…
「先輩、なんとも思わないの?」
歌姫が有り得ないと言う顔で私の頭上に目をやっている。カコカコ携帯を弄る私は硝子に貰った飴を口の中で転がした
「慣れた」
「なぁなぁ先輩、今度ここのパフェ食い行こ」
後ろで携帯を弄っていた五条は私をすっぽり抱きながら期間限定のパフェの画像を見せてきた。どうやらカップル割が付いてくるらしい
「いつ行くの」
「放課後」
「いいよ」
「ッしゃ!」
嬉しそうに笑う五条と私は恋仲でもなんでもない。強いて言えば"友達以上恋人未満"って所で止まってる
(私が止めてるんだけど)
「今度さ、桃鉄99年やろうぜ」
「うん」
五条はあの日以降、何度も『好き』って伝えてくる。私はそれに『そうなんだ』しか返していない
「99年の辛さを先輩は耐えられるかなぁ?」
『私も好き』って返したら…五条は今より喜ぶのかな?
(ちょっと見てみたいかも)
「ねぇ五条」
歌姫が遠くに硝子を見つけて席を外す。二人きりなら面白い反応してくれるかな?
「なんだよ」
「私、五条の事好きかも」
カラーン……
コーラ缶が転がり落ちる
「バカ、何して「嘘とか言わねぇ?」
「うん」
「……」
(五条から返事が返ってこない。なんだつまんないの)
横目で相変わらず引っ付いたままの五条を見上げると彼は微かに頬を染めていた
「なに、照れてんの?」
ふにッ…と五条の頬を摘む。五条はさっきより頬を染めて綺麗な青を逸らした
「いや……じゃあカップル割もホンモノになるし、俺もようやくハッキリ言えるんだなって思ったんだよ」
「?」
五条が幸せそうに笑った
「俺も先輩大好きだって。俺の彼女だって見栄張れる」
(何それ……ずるい)
「あ、照れてんだろ。可愛いの」
そうだよ、照れてる
五条相手に照れてるのがなんか悔しい
「やかましい、パフェ奢りね」
可愛い後輩のくせに、生意気なんだから
END
1/1ページ