タイムスリップ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
見つけてしまった
"もう一つ"の未来
タイムスリップ
私が死んだのはあの日
天内理子ちゃんと同じ日に死んだ。私は護衛を命じられた悟と傑をもしもの時に備えて反転で治すと言う至って簡単な理由で二人について行った
どういう訳か、私は自分が死んだ瞬間から理子ちゃんに出会う少し前まで時を遡ってしまう
結末さえ分かってしまえば理子ちゃんを助けられる。最初の頃はそれでホッとしてた
あぁ、これで理子ちゃんも大人になって…傑も悟も私と硝子と四人で高専を卒業して将来立派な術師になれるって
……それでも私、知らなかった
傑が離れてしまう事も、理子ちゃんをどうしても助けられない事も
(上手くいかない……)
そう思った矢先だ。私は今度こそって何度も死んで…傑が離れずに済むって時
「[#da=1#]」
私は傑に目を向けすぎてしまったみたいで…
「?」
いつの日か、傑の思い悩んだしんどそうな顔と同じ目で悟が私と目を合わせてくれなくなった
「何か……悩み事?」
悟が俯く。コーラの缶を水滴が伝った
「お前はさ、もし俺が同じ時間を繰り返してるって言ったら信じるか?」
悟のその言葉に私の手が止まった
「信じるよ」
(悟は逆に信じてくれるのかな?)
そう思ってさりげなく盗み見た綺麗な青が見開かれていた
「そうか」
素っ気ない返事の後、悟が立ち上がる
「どこ行くの?この後任務?」
もう二度と悟に会えないような嫌な空気が漂って思わず引き止めると彼は私の頭にポンと手を置き笑った
「何?」
「俺はまぁそんな所。[#da=1#]はこの後どこ行くんだ?」
(変なこと聞くなぁ……)
「七海と灰原と…補助で私が呪霊祓いに行く予定だけど」
「それ、俺が行くよ」
「…なんで?」
確かに私がこれから行くのは灰原を死に至らしめた土地神の討伐だけど…。今の悟はその呪霊が一年生に務まる任務だと言うことしか知らないはず
「ん〜、俺が行きたいから。もう夜蛾センにも言っちまったし」
(まぁ、見た事ない未来かも?悟から動くなんて珍しい。今までのループでこんな事なかったし)
「そっか、分かった。気をつけてね」
「誰に言ってんだよ」
悟が私や灰原、七海の代わりに土地神の討伐へ向かったお陰で灰原も何事もなくその一日を終えた。でも問題が起きたのはその日の夕方だった
「悟が帰ってこないの?」
「昼から出掛けてもう三時間以上過ぎてる。悟なら三十分で終わる任務のはずだ」
傑が心配そうに顔を顰める。そりゃそうだ、傑は悟が今祓いに行ってる呪霊はただの低級呪霊だと思ってる
でも、それは土地神だ。だとしても悟なら充分勝てるはず。とうの昔に戻ってもおかしくないのに……
「私見てくるよ」
「大丈夫かい?私も行こうか?」
心配する傑に私はクスクス笑った。呪詛師に堕ちなかった傑はこんなにも穏やかで心配性になるんだと、初めて新しい未来を見たから
「大丈夫、傑は硝子と一緒に理子ちゃんのそばに居てあげて!」
脳裏から離れない。少し前の……悟の思い悩んだあの顔
(まさか)
一番取り返しのつかない未来を辿っているかもしれない。悟の残穢を辿っている間、次第にその痕跡が"あの集落"に向かっていることに気づく
「冗談でしょ…?」
傑が双子を救った集落。そこは熱くてむせ返るほどの炎に包まれていた
「[#da=1#]。やっぱ"そう"か」
グイッと返り血を拭った悟が笑った
「お前死んだ時から戻ってきてんだろ」
「…え……」
悟の言葉にドキリとする。だってそれなら今目の前にいる悟は……
「悟も、戻ってるの?」
「まぁな、何度戻っても何も良くならねぇよ。何回か繰り返してる間に勘づいてさ……"僕"が呪詛師に堕ちた方が上手くいくんじゃないかなって」
「……そんな事…」
「傑がやりたかった事、僕は理解できなかったから。じゃあ自分でやって見りゃいいんじゃね?って」
悟が燃え盛る集落を眺めていつものようにケラケラ笑った
「そしたらほら見ろよ、僕以外みんな生きてんじゃん。…お前も」
「私?」
「僕さ、[#da=1#]が死ぬよりうんと前から行ったり来たりしてる。何度も何度も、目の前でお前が死ぬの見て、天内が殺されるのを見て、それを何回もな。ちなみに今僕がいるココは灰原を庇ってお前が死ぬ未来だから」
「……だから変わって一人で行ったの?」
『御明答』そう言った悟が大の字に寝転がって夕闇に紛れる星を青に写した。直接見てないけど、きっと星屑みたいに綺麗なんだろうなって思った
「僕が呪詛師になったらさ、呪術師詰みゲーだよね。ウケる」
「ウケない。どうするつもりなの?」
悟がう〜んと唸ったあと起き上がる。いつものサングラスを私にかけた彼は甘く口付けて少し離れた
「コイツら引き取ってくんね?」
(…あ)
遠くから走ってきたのはまだ小さな子供。確か……
「美々子ちゃんと、菜々子ちゃん?」
「そ、合わせてやりてーの。傑と」
まだ警戒心が抜けていない美々子ちゃんと菜々子ちゃんは悟にしがみついて離れない。怖がるような目で私を見上げていた
「ほらほら、コイツ俺の知り合いだから。怖いやつじゃねーよ」
そう言って頭を撫でる悟を見ていたら私の心の中でもう一つの未来が紐解かれ始めた
五条side
…
「悟、私もそっち行く」
[#da=1#]がグラサンを僕に返してさっきと同じように口付ける。ふんわり香る[#da=1#]の匂い。血生臭くない優しい香り
『ごめん、悟……』
何回も死なせた
何回も苦しませたんだ
コイツを生かすために
傑を呪詛師にさせない為に
僕は何度も戻って影から守ろうとした。何度何をしても上手くいかなかった理由。それはもう一人…[#da=1#]がループを繰り返しているからだ
同じ時を繰り返す者が二人いるせいで時間が歪んで食い違いが起こるんだ
「お前さ、何言ってるか分かってんの?呪詛師だよ?」
「分かってる」
美々子と菜々子に視線を合わせた[#da=1#]が二人の頭を優しく撫でた
「私も見たいもん。この先の未来がどうなるか」
(何しても変わんねぇなコイツ…)
「何回やり直してもお前のそーゆー所、全然変わらないの、僕は好き」
その日、僕と[#da=1#]は高専に戻らなかった。文字通り"現代最強呪詛師"が誕生した瞬間だった
「私と悟が呪詛師になった訳だけど、この後どうなると思う?」
「さぁ?呪詛師は犯罪者みたいなモンだからねぇ…。みんな僕達のこと殺りに来るんじゃねーの?」
不敵に笑って見せると[#da=1#]は頼もしいというように笑った
「"五条悟"を殺せる人間なんていると思う?」
「僕はいないと思う」
「私も」
いたずらっ子みたいに笑いあってたら菜々子が僕の足から離れて[#da=1#]のスカートを握り締めた
「お姉さんも一緒に来てくれる?」
[#da=1#]が少し涙声の菜々子の頬についた怪我に優しく手を置く。痛々しく血の滲んでいた傷はすぐに治った
「うん、大丈夫。お姉ちゃんもついて行くよ」
嬉しそうに頬を染める菜々子。[#da=1#]は僕の足元にいた美々子にも声をかけた
「美々子ちゃん、こっちおいで。治してあげる」
ぬいぐるみを抱きしめた美々子が少し身動ぎして僕のズボンを握り締める
「ほら、行ってこいって」
背中を押すと美々子が不安そうに[#da=1#]の前まで歩いて行った
「美々子はね、足怪我してるの!お姉さん治せる?」
「大丈夫」
あっという間に双子の警戒心を解いた[#da=1#]を遠目越しに見守った。この後なんて正直何が起こるか分からない
僕自身でも呪詛師になろうなんて考えてなかったし、[#da=1#]が何ループも繰り返していた僕に気づくとも思わなかったからだ
(まぁ、[#da=1#]が生きてりゃ何でもいいか)
どうでも良くなった僕は美々子、菜々子と[#da=1#]とまるで家族にでもなったように集落から出た
END
"もう一つ"の未来
タイムスリップ
私が死んだのはあの日
天内理子ちゃんと同じ日に死んだ。私は護衛を命じられた悟と傑をもしもの時に備えて反転で治すと言う至って簡単な理由で二人について行った
どういう訳か、私は自分が死んだ瞬間から理子ちゃんに出会う少し前まで時を遡ってしまう
結末さえ分かってしまえば理子ちゃんを助けられる。最初の頃はそれでホッとしてた
あぁ、これで理子ちゃんも大人になって…傑も悟も私と硝子と四人で高専を卒業して将来立派な術師になれるって
……それでも私、知らなかった
傑が離れてしまう事も、理子ちゃんをどうしても助けられない事も
(上手くいかない……)
そう思った矢先だ。私は今度こそって何度も死んで…傑が離れずに済むって時
「[#da=1#]」
私は傑に目を向けすぎてしまったみたいで…
「?」
いつの日か、傑の思い悩んだしんどそうな顔と同じ目で悟が私と目を合わせてくれなくなった
「何か……悩み事?」
悟が俯く。コーラの缶を水滴が伝った
「お前はさ、もし俺が同じ時間を繰り返してるって言ったら信じるか?」
悟のその言葉に私の手が止まった
「信じるよ」
(悟は逆に信じてくれるのかな?)
そう思ってさりげなく盗み見た綺麗な青が見開かれていた
「そうか」
素っ気ない返事の後、悟が立ち上がる
「どこ行くの?この後任務?」
もう二度と悟に会えないような嫌な空気が漂って思わず引き止めると彼は私の頭にポンと手を置き笑った
「何?」
「俺はまぁそんな所。[#da=1#]はこの後どこ行くんだ?」
(変なこと聞くなぁ……)
「七海と灰原と…補助で私が呪霊祓いに行く予定だけど」
「それ、俺が行くよ」
「…なんで?」
確かに私がこれから行くのは灰原を死に至らしめた土地神の討伐だけど…。今の悟はその呪霊が一年生に務まる任務だと言うことしか知らないはず
「ん〜、俺が行きたいから。もう夜蛾センにも言っちまったし」
(まぁ、見た事ない未来かも?悟から動くなんて珍しい。今までのループでこんな事なかったし)
「そっか、分かった。気をつけてね」
「誰に言ってんだよ」
悟が私や灰原、七海の代わりに土地神の討伐へ向かったお陰で灰原も何事もなくその一日を終えた。でも問題が起きたのはその日の夕方だった
「悟が帰ってこないの?」
「昼から出掛けてもう三時間以上過ぎてる。悟なら三十分で終わる任務のはずだ」
傑が心配そうに顔を顰める。そりゃそうだ、傑は悟が今祓いに行ってる呪霊はただの低級呪霊だと思ってる
でも、それは土地神だ。だとしても悟なら充分勝てるはず。とうの昔に戻ってもおかしくないのに……
「私見てくるよ」
「大丈夫かい?私も行こうか?」
心配する傑に私はクスクス笑った。呪詛師に堕ちなかった傑はこんなにも穏やかで心配性になるんだと、初めて新しい未来を見たから
「大丈夫、傑は硝子と一緒に理子ちゃんのそばに居てあげて!」
脳裏から離れない。少し前の……悟の思い悩んだあの顔
(まさか)
一番取り返しのつかない未来を辿っているかもしれない。悟の残穢を辿っている間、次第にその痕跡が"あの集落"に向かっていることに気づく
「冗談でしょ…?」
傑が双子を救った集落。そこは熱くてむせ返るほどの炎に包まれていた
「[#da=1#]。やっぱ"そう"か」
グイッと返り血を拭った悟が笑った
「お前死んだ時から戻ってきてんだろ」
「…え……」
悟の言葉にドキリとする。だってそれなら今目の前にいる悟は……
「悟も、戻ってるの?」
「まぁな、何度戻っても何も良くならねぇよ。何回か繰り返してる間に勘づいてさ……"僕"が呪詛師に堕ちた方が上手くいくんじゃないかなって」
「……そんな事…」
「傑がやりたかった事、僕は理解できなかったから。じゃあ自分でやって見りゃいいんじゃね?って」
悟が燃え盛る集落を眺めていつものようにケラケラ笑った
「そしたらほら見ろよ、僕以外みんな生きてんじゃん。…お前も」
「私?」
「僕さ、[#da=1#]が死ぬよりうんと前から行ったり来たりしてる。何度も何度も、目の前でお前が死ぬの見て、天内が殺されるのを見て、それを何回もな。ちなみに今僕がいるココは灰原を庇ってお前が死ぬ未来だから」
「……だから変わって一人で行ったの?」
『御明答』そう言った悟が大の字に寝転がって夕闇に紛れる星を青に写した。直接見てないけど、きっと星屑みたいに綺麗なんだろうなって思った
「僕が呪詛師になったらさ、呪術師詰みゲーだよね。ウケる」
「ウケない。どうするつもりなの?」
悟がう〜んと唸ったあと起き上がる。いつものサングラスを私にかけた彼は甘く口付けて少し離れた
「コイツら引き取ってくんね?」
(…あ)
遠くから走ってきたのはまだ小さな子供。確か……
「美々子ちゃんと、菜々子ちゃん?」
「そ、合わせてやりてーの。傑と」
まだ警戒心が抜けていない美々子ちゃんと菜々子ちゃんは悟にしがみついて離れない。怖がるような目で私を見上げていた
「ほらほら、コイツ俺の知り合いだから。怖いやつじゃねーよ」
そう言って頭を撫でる悟を見ていたら私の心の中でもう一つの未来が紐解かれ始めた
五条side
…
「悟、私もそっち行く」
[#da=1#]がグラサンを僕に返してさっきと同じように口付ける。ふんわり香る[#da=1#]の匂い。血生臭くない優しい香り
『ごめん、悟……』
何回も死なせた
何回も苦しませたんだ
コイツを生かすために
傑を呪詛師にさせない為に
僕は何度も戻って影から守ろうとした。何度何をしても上手くいかなかった理由。それはもう一人…[#da=1#]がループを繰り返しているからだ
同じ時を繰り返す者が二人いるせいで時間が歪んで食い違いが起こるんだ
「お前さ、何言ってるか分かってんの?呪詛師だよ?」
「分かってる」
美々子と菜々子に視線を合わせた[#da=1#]が二人の頭を優しく撫でた
「私も見たいもん。この先の未来がどうなるか」
(何しても変わんねぇなコイツ…)
「何回やり直してもお前のそーゆー所、全然変わらないの、僕は好き」
その日、僕と[#da=1#]は高専に戻らなかった。文字通り"現代最強呪詛師"が誕生した瞬間だった
「私と悟が呪詛師になった訳だけど、この後どうなると思う?」
「さぁ?呪詛師は犯罪者みたいなモンだからねぇ…。みんな僕達のこと殺りに来るんじゃねーの?」
不敵に笑って見せると[#da=1#]は頼もしいというように笑った
「"五条悟"を殺せる人間なんていると思う?」
「僕はいないと思う」
「私も」
いたずらっ子みたいに笑いあってたら菜々子が僕の足から離れて[#da=1#]のスカートを握り締めた
「お姉さんも一緒に来てくれる?」
[#da=1#]が少し涙声の菜々子の頬についた怪我に優しく手を置く。痛々しく血の滲んでいた傷はすぐに治った
「うん、大丈夫。お姉ちゃんもついて行くよ」
嬉しそうに頬を染める菜々子。[#da=1#]は僕の足元にいた美々子にも声をかけた
「美々子ちゃん、こっちおいで。治してあげる」
ぬいぐるみを抱きしめた美々子が少し身動ぎして僕のズボンを握り締める
「ほら、行ってこいって」
背中を押すと美々子が不安そうに[#da=1#]の前まで歩いて行った
「美々子はね、足怪我してるの!お姉さん治せる?」
「大丈夫」
あっという間に双子の警戒心を解いた[#da=1#]を遠目越しに見守った。この後なんて正直何が起こるか分からない
僕自身でも呪詛師になろうなんて考えてなかったし、[#da=1#]が何ループも繰り返していた僕に気づくとも思わなかったからだ
(まぁ、[#da=1#]が生きてりゃ何でもいいか)
どうでも良くなった僕は美々子、菜々子と[#da=1#]とまるで家族にでもなったように集落から出た
END
1/1ページ