怪我して恋して怒られて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夏油さんって…ふしぎな人
怪我して恋して怒られて
「君はまたか!」
ピシャーンッ!
雷が落ちたような勢い
私の名前は[#da=1#]
呪術高専一年担当、夏油傑さんの補助監督をしている
「あれほど現場に赴く時には呪霊に…周囲に気をつけろと言い聞かせているのに!」
「ごめんなさいごめんなさい!気をつけてたつもりなんですけれd「いつもそれだ!私があと一歩間に合わなければ最悪君は今ここにいなかった事になるんだぞ!?」
私はいつも夏油さんに叱られてばかりだ。と言っても夏油さんは特級術師、現場にいる呪霊はどれも特級な訳で…不可抗力と言うか……
(な〜んて言ったら怒るだろうなぁ…)
「……君、反省してないだろ」
「え゛!?してますよッ」
顔に出てたかな?
「そうかな?失礼な事を考えてる顔をしていたけど」
「そんな事ありませんッ!これからはちゃんと周りを確認します!」
「それ確か三度目の任務の時に呪霊にやられて怪我をしてさ、全く同じ事を言われた気がするんだけど」
夏油さんはおかしい
「なんでそんな明確に怪我をした時を覚えているんですか?」
普通なら忘れるのに
補助監督の怪我や失態なんて……
「君ほどドジする補助監督は滅多に居ないから」
(うぐ……刺さる…)
「明日も早いからもう休んで」
「夏油さんはまだお休みになられないんですか?」
最近連続任務続きで夏油さんもだいぶ疲れてるはずなのに
「後輩の任務がくい込んでいるみたいだから…。もう一件だけ片付けてくるよ」
「…お気を付けて」
大きな声で言ってやりたい。怒りたいのは夏油さんだけじゃないって
「夏油さん、どこ行ったんだろ?」
大人しく戻ろうと思ったんだけれど、明日の任務詳細を伝えそびれてしまった私は夏油さんを探して高専に戻ってきた
(夏油さんの後輩?の任務があるのはこの辺りって聞いたけど……)
「あッ……いた」
遠目越し、呪霊と戦う夏油さんを見つけた。鋭い蹴りと瞬発的に呪霊を操る賢さ
(やっぱ凄いなぁ)
感心してその戦いを見ていたら、夏油さんの後ろに黒いモヤが見えた。多分、準一級レベルの呪いだ
「夏油さん……気づいてるの?」
ジッと見守る
夏油さんはただただ前に集中していて、後ろには気づいていないみたいだった
準一級の呪霊は夏油さんに攻撃を仕掛けるつもりだ。夏油さんはなおも気づかない
(動け……私の体!)
走って夏油さんに手を伸ばす
体勢を崩した彼は驚いたように目を見開いていた
(良かっ)
夏油さんが無事ならそれでよし
鋭い痛みも生暖かい血も、もう何もどうでもよかった
「[#da=1#]ッ!!」
夏油side
…
迂闊だった
[#da=1#]に庇われるまで背後に呪霊が居たなんて気付かなかった
「……」
微かだが呪力は感じられる
急いで硝子に診せれば間に合うはずだ
連日続く任務のせいだろうか
妙に危機感が欠けてしまう
「感謝しないとね」
まさか真逆の立場になろうとは
そんな事を思いながら私の片手に呪霊が収まる
[#da=1#]を抱き上げて高専に戻る。この時間、硝子ならまだ起きているはずだ
「……」
(身体が冷たい)
傷が浅くても彼女が持ち合わせているのは呪霊が見えるだけの呪力量のみだ。肉体は何も鍛えてないただの一般市民と変わりない
携帯を取り出して硝子を呼び出す
『夏油?どうしたんだよこんな夜中に』
「すまない、[#da=1#]を見てやってくれないか?」
『いいよ。連れてきな』
いつもの素っ気ないような硝子の声が聞こえてプツッと通話が途切れた
[#da=1#]はその間目を覚まさなかった
[#da=1#]side
…
(あれ、私なにしてたんだろ?)
確か…夏油さんを庇って
「夏油さ…」
「おはよ、具合どう?」
何度お世話になったことか、家入さんが椅子に座ったまま私に目を向けた
「あ、お陰様で治りました」
「今回は少し危なかったねー。死にかけだったよ」
え、そんなにヤバかった?
「お手数お掛けしました…」
「いいのいいの、仕事だし。それよりソッチ、何とかしてくれる?話があるんだって」
ソッチって…
家入さんが指差す方、キレ長い眼差しと目が合う
(げ、夏油さん!?)
「じゃ、私は寝るから後よろしく。戸締り忘れんなよ〜」
「え!家入さ」
ピシャッ
ドア閉められた!
流石逃げ方を知ってらっしゃるようにめっちゃ上手く逃げた!
(話って絶対怒られるやつだ〜…)
「話してもいいかい?」
ゾワワ〜っと背筋が凍る
夏油さんの声のトーンは変わらないからこそ怖いものがあるのだ
「はい…」
怒られ慣れてるんだ!どうとでもなれ…
腹を括ってベッドから起き上がると夏油さんが私をベッドに押し戻した
(え!?なになに、怖ッ…)
「何してるんだ安静にしてくれ!」
(え、そっち!?)
もう疑問の嵐だ。けど…そんな事よりも今の私と夏油さんのポージングが……事の始まりのようで危ないというか……
「夏油さん…なんか少し恥ずかしい…ので、どいてくれませんか?」
「ッ…!すまない……」
夏油さんが不思議なのは今に始まったことではないが、今日はとことん変だ
「…私の注意不足で君を危険に晒した。本当にごめんね」
やたらとスキンシップが
(撫で…?)
「そんな、補助監なんて盾みたいなものですから…」
「盾じゃない」
(抱き…?)
多いような…
「君に庇われて…傷つけられた時に気付いたんだ。私は[#da=1#]が特別なんだって」
伝わる夏油さんの温もりを通して、心音が彼にバレたらどうしようなんてハラハラした。真っ赤になる頬をどう隠そうなんて考えて…頭がいっぱいいっぱいだった
「[#da=1#]が好きだよ」
「夏油さ……、んむ…」
呼ぶより前に、私が好きだって伝えるような優しい口付けが降り注いだ。夏油さんは冗談とかイタズラでこんな事をする人ではない
「もう二度と無理はしないで欲しい。出来るなら私の手の届く場所にいて欲しいんだ。いざと言う時に守ってやれない…」
(まさか)
「夏油さん、私が怪我する度に怒ってたのって……」
夏油さんは少し隠すように口元に手を持っていって俯いた
「君を見ているつもりだったんだ。それなのに[#da=1#]が怪我をしているのを見る度自分が情けなくてね」
「自分に怒ってたんですか?」
「……」
黙り込んだ夏油さんに私は一瞬頬を膨らます。それでも頬を染める夏油さんが可愛くて吹き出してしまった
「フフッ……」
「笑うところじゃないだろう?」
「それに笑ったんじゃないです」
きっと夏油さんに言ったら怒るだろうけれど
「なにに笑ったんだ?」
「秘密でーす!」
素直になれない夏油さんが可愛いな
なんて
END
1/1ページ