傑くん
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ずっと鳴り続ける着信音
取ることのないその着信履歴には時折の硝子ちゃんと、大半を占める悟くんの名前
私は出ない
言われる事は同じだから
みんな嘘をつくから
傑くん
「傑くんおかえりなさい。…って、また怪我したの?」
夕飯の支度をしていた私の背を傑くんが抱き締める。微かに漂う錆び付いたような香りと、傑くんの優しい香りが鼻腔をくすぐった
「ねぇ、傑くんってば。私に引っ付いてる場合じゃないんだよ?どこ怪我したの?」
「腕をかすっただけだよ」
傑くんが腕を見せてくれる。確かにかすり傷だけど、普通の治療じゃ治りが遅い傷だ
「ちょっと待っててね。治してあげる」
硝子ちゃんと同じように、私は反転術式を使える。傑くんの負傷した部を覆うように手をかざすと、その部分はみるみると治っていった
私の負と負のエネルギーから成り立つ反転術式は最初の頃、硝子ちゃんより全然下だった。でもいつからか…私の術式が硝子ちゃんの上をいってしまった
それだけの"負"があったということなのかな?
(覚えてないや)
「ありがとう。治ったよ」
「どういたしまして」
居間に戻る傑くんを見送った後、夕飯の支度に戻ろうとする私の腕が後ろに引かれた
「治さなくていいよ。[#da=1#]」
怒りの色が見える眼差しが私を見つめる。冷めた声に私はクスリと笑った
「菜々子ってばまだそんなこと言ってるの?傑くんは疲れてるんだから治してあげないと可哀想でしょ?」
「ッ〜…美々子も何か言ってよ!!私もう嫌だよッ」
美々子と菜々子は傑くんが集落から助けたって言う二人の女の子だ。呪術高専を抜けた彼と二人で育ててきた子供
「[#da=1#]」
美々子が私を見上げて落ち着いた声の色で口を開いた
「"アレ"が夏油様に見える?」
「え?…うん。傑くんだよ」
二人とも最近そればかり私に聞いてくる。やめなよって、離れようって。逃げようとかもよく言われる
「アレは夏油様なんかじゃない![#da=1#]の事、利用してるんだよッ!?みんなで逃げようよ!夏油様の事を楽にしてあげられるなら…五条悟に頼んででも祓ってあげたい!このままじゃ…!」
「やだ、菜々子。傑くんの事呪霊扱いしちゃって」
菜々子が俯く隣、美々子は私を真っ直ぐ見上げる。静か謎の瞳に私は手をギュッと握り締めた
「ねぇさ、私はそばにいて欲しいんだ。傑くんがいてくれるだけで幸せなんだもん」
「[#da=1#]…」
「だからさ…私に何も考えさせないで?二人が嫌なら、美々子と菜々子だけでも、呪術高専に引き取ってもらって構わないから」
俯いてた菜々子がバッと顔を上げて怒ったように涙を流す
「出来るわけないでしょッ!?私達、[#da=1#]の事大好きなんだもん!夏油様が大事にしてた[#da=1#]なのに…放って置けるわけないじゃないッ!!」
「や、喧嘩かい?」
「あ、傑くん」
ニッコリ微笑む最愛の人は困ったように首を傾げた
「美々子、菜々子。[#da=1#]を困らせたらダメじゃないか。何を怒っているんだい?」
「お前のせいだろッ!夏油様を返せッ」
少し首を傾けた傑くんが口角を上げる
「返す?返して欲しいなら私は"器"が欲しいな。五条悟に精神的ダメージを与える事のできる、親友の恋人の器とかね」
「は……?」
ニッコリ笑う傑くんに菜々子がゴミを見るような目を彼に向け、美々子は眉間に皺を寄せた
「どっちかだよ。"この体"を返して欲しいのなら、私の求める"器"を用意してくれればいい。しかもYesが返れば二人ともハッピーエンドじゃないか。会えるんだから」
傑くんは私を見つめている。温かくて優しい目で
「美々子、やること分かってるよね」
「菜々子こそ」
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
気づけば美々子と菜々子が前に出て、傑くんと戦っている。当然私は止めたけれど、美々子も菜々子も瀕死の所で傑くんはその手を止めた
「[#da=1#]、君はどうしたい?」
「何が?」
返り血の付いた手で傑くんは私の頬を撫でる
「"私"に殺されたい?」
「……傑くんはそんな事しない」
「…」
「そんな事する人じゃないもん」
「そうだね。"夏油傑"なら、そんな事はしなかっただろうね」
傑くんが笑った
フワッと優しく
懐かしい笑顔で
それと同時、まるでスローモーションのように目の前に鮮血が広がる。それが私の血だと、腹を切られたと気付いた時、菜々子の声が薄ら聞こえた
「すぐ…るくん?」
『[#da=1#]』
「なんだ、幸せそうじゃないか」
『好きだよ』
手を伸ばせばそこに傑くんがいる。触れられる距離に
「おやすみ、[#da=1#]」
生暖かい錆び付いた味のする口付けの中、私の涙は血溜まりに落ちた
…羂索side…
「可哀想。結局残されるのは傑くんだけだったんだよ」
プツン
切れた糸が地面に落ちる
随分長い事世話になった身体が目の前に転がっていた。近くに転がる残り二つの死にかけを片そうと手を動かした時だった
「あー…やっぱり。魂は少し残るか…」
どう頑張っても手が止まる
何なら夏油傑にすら触れられない
「これはこれで厄介。まぁいいか」
スッと腕を引っ込め、その場を離れる
「問題はこの後悟くんが何を思うかだからね…」
死にかけ二人と死人を残して私はその場を立ち去る。さぁ、どう思うかな?この身体を見た時、五条悟はどう思うだろう
「……楽しみで堪らないよ」
人間とは愚かだ
単純でひ弱で、感情に振り回されるそのザマは何年と見ていて私を飽きさせない
『傑くん』
あぁ、ただこれだけは言える
「君ら二人ほど真っ直ぐで歪みがなかった人間は久しぶりに見たかな」
END
取ることのないその着信履歴には時折の硝子ちゃんと、大半を占める悟くんの名前
私は出ない
言われる事は同じだから
みんな嘘をつくから
傑くん
「傑くんおかえりなさい。…って、また怪我したの?」
夕飯の支度をしていた私の背を傑くんが抱き締める。微かに漂う錆び付いたような香りと、傑くんの優しい香りが鼻腔をくすぐった
「ねぇ、傑くんってば。私に引っ付いてる場合じゃないんだよ?どこ怪我したの?」
「腕をかすっただけだよ」
傑くんが腕を見せてくれる。確かにかすり傷だけど、普通の治療じゃ治りが遅い傷だ
「ちょっと待っててね。治してあげる」
硝子ちゃんと同じように、私は反転術式を使える。傑くんの負傷した部を覆うように手をかざすと、その部分はみるみると治っていった
私の負と負のエネルギーから成り立つ反転術式は最初の頃、硝子ちゃんより全然下だった。でもいつからか…私の術式が硝子ちゃんの上をいってしまった
それだけの"負"があったということなのかな?
(覚えてないや)
「ありがとう。治ったよ」
「どういたしまして」
居間に戻る傑くんを見送った後、夕飯の支度に戻ろうとする私の腕が後ろに引かれた
「治さなくていいよ。[#da=1#]」
怒りの色が見える眼差しが私を見つめる。冷めた声に私はクスリと笑った
「菜々子ってばまだそんなこと言ってるの?傑くんは疲れてるんだから治してあげないと可哀想でしょ?」
「ッ〜…美々子も何か言ってよ!!私もう嫌だよッ」
美々子と菜々子は傑くんが集落から助けたって言う二人の女の子だ。呪術高専を抜けた彼と二人で育ててきた子供
「[#da=1#]」
美々子が私を見上げて落ち着いた声の色で口を開いた
「"アレ"が夏油様に見える?」
「え?…うん。傑くんだよ」
二人とも最近そればかり私に聞いてくる。やめなよって、離れようって。逃げようとかもよく言われる
「アレは夏油様なんかじゃない![#da=1#]の事、利用してるんだよッ!?みんなで逃げようよ!夏油様の事を楽にしてあげられるなら…五条悟に頼んででも祓ってあげたい!このままじゃ…!」
「やだ、菜々子。傑くんの事呪霊扱いしちゃって」
菜々子が俯く隣、美々子は私を真っ直ぐ見上げる。静か謎の瞳に私は手をギュッと握り締めた
「ねぇさ、私はそばにいて欲しいんだ。傑くんがいてくれるだけで幸せなんだもん」
「[#da=1#]…」
「だからさ…私に何も考えさせないで?二人が嫌なら、美々子と菜々子だけでも、呪術高専に引き取ってもらって構わないから」
俯いてた菜々子がバッと顔を上げて怒ったように涙を流す
「出来るわけないでしょッ!?私達、[#da=1#]の事大好きなんだもん!夏油様が大事にしてた[#da=1#]なのに…放って置けるわけないじゃないッ!!」
「や、喧嘩かい?」
「あ、傑くん」
ニッコリ微笑む最愛の人は困ったように首を傾げた
「美々子、菜々子。[#da=1#]を困らせたらダメじゃないか。何を怒っているんだい?」
「お前のせいだろッ!夏油様を返せッ」
少し首を傾けた傑くんが口角を上げる
「返す?返して欲しいなら私は"器"が欲しいな。五条悟に精神的ダメージを与える事のできる、親友の恋人の器とかね」
「は……?」
ニッコリ笑う傑くんに菜々子がゴミを見るような目を彼に向け、美々子は眉間に皺を寄せた
「どっちかだよ。"この体"を返して欲しいのなら、私の求める"器"を用意してくれればいい。しかもYesが返れば二人ともハッピーエンドじゃないか。会えるんだから」
傑くんは私を見つめている。温かくて優しい目で
「美々子、やること分かってるよね」
「菜々子こそ」
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
気づけば美々子と菜々子が前に出て、傑くんと戦っている。当然私は止めたけれど、美々子も菜々子も瀕死の所で傑くんはその手を止めた
「[#da=1#]、君はどうしたい?」
「何が?」
返り血の付いた手で傑くんは私の頬を撫でる
「"私"に殺されたい?」
「……傑くんはそんな事しない」
「…」
「そんな事する人じゃないもん」
「そうだね。"夏油傑"なら、そんな事はしなかっただろうね」
傑くんが笑った
フワッと優しく
懐かしい笑顔で
それと同時、まるでスローモーションのように目の前に鮮血が広がる。それが私の血だと、腹を切られたと気付いた時、菜々子の声が薄ら聞こえた
「すぐ…るくん?」
『[#da=1#]』
「なんだ、幸せそうじゃないか」
『好きだよ』
手を伸ばせばそこに傑くんがいる。触れられる距離に
「おやすみ、[#da=1#]」
生暖かい錆び付いた味のする口付けの中、私の涙は血溜まりに落ちた
…羂索side…
「可哀想。結局残されるのは傑くんだけだったんだよ」
プツン
切れた糸が地面に落ちる
随分長い事世話になった身体が目の前に転がっていた。近くに転がる残り二つの死にかけを片そうと手を動かした時だった
「あー…やっぱり。魂は少し残るか…」
どう頑張っても手が止まる
何なら夏油傑にすら触れられない
「これはこれで厄介。まぁいいか」
スッと腕を引っ込め、その場を離れる
「問題はこの後悟くんが何を思うかだからね…」
死にかけ二人と死人を残して私はその場を立ち去る。さぁ、どう思うかな?この身体を見た時、五条悟はどう思うだろう
「……楽しみで堪らないよ」
人間とは愚かだ
単純でひ弱で、感情に振り回されるそのザマは何年と見ていて私を飽きさせない
『傑くん』
あぁ、ただこれだけは言える
「君ら二人ほど真っ直ぐで歪みがなかった人間は久しぶりに見たかな」
END
1/1ページ