輪廻転生 連載中
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
高鳴る心音と冷や汗を抑えろと言うのが無理な話だ。だって私…今推しの家の目の前にいるんだよ!?
「ハハッ、めっちゃ緊張してんじゃん。君、本当に僕の事好きだね〜」
「いやッ…好きの領域じゃないから!」
(超VIPだと思わない!?五条悟の実家に入ってるんだよ?前世の私の五条推しだった子達に刺されちゃうよ!)
「和室空けるように言ってあるから、そこでちょっと待っててよ。僕は少し回ってくるから」
ヒラヒラ呑気に手を振って去りゆく悟を見送る。和室?五条家広すぎて和室どこか分かんないよ
「あぁ、いらっしゃいましたか。悟坊ちゃまから話は聞いておりますゆえ…。ご案内しますね」
優しそうなおばあちゃんが『どうぞこちらへ』と私の前を歩く。そうか…悟は坊ちゃんだった……
「お茶菓子を用意して参りますので…もう少しお待ちくださいね」
「はぁ……」
広いお部屋にポツンと残された私はこれまた広い庭に目を向ける。これだけ大きな家の中で悟は息苦しさとか責任感とか感じなかったのだろうか?
幼少期の少年なら寂しさの一つや二つあってもおかしくないだろうけど…
(あ、なにこれ…アルバム?)
棚に置かれた黒いアルバムが目に入って思わず手を伸ばす。パカッと広げるとそこには赤い和傘をさして仏頂面のまま雪が降る庭に立つ幼い少年の姿
(この眼……)
「悟?」
五条悟幼少期ウルトラレアすぎるだろ!
本編でも指折り数えるくらいしか場面カットなかったヤツだぞこれッ!
他にもないかとペラペラめくる。めくっていて少し違和感を感じた
(全部顔が笑ってない)
真面目な顔したやつとか、表情すら一切変わらない。なんて言うか……子供らしくないって感じ
「懐かしいモン見てるね。それガキの頃外で見合い写真撮った時のやつじゃん」
「わ゛ー!」
なんの気配も感じなかった!悟はさも当たり前のように私の後ろから覗き込むようにアルバムを見ている
「僕がいない間によくそんなの引っ張り出してきたねぇ」
「ご、ごめん!なんか見えちゃって……って…悟、服どうしたの?」
隣に座り込んだ悟の服は先程とは違く、五条家当主に相応しいような和風の着物を羽織っている
「あぁこれ?実家戻るといつもこれだよ。見慣れない?」
「いや……実際見るの初めてなだけで…」
(本誌では決戦前に着ていた服だ。最期の姿が少し過ぎって気分が落ち込む)
「なんだ、僕の和服喜ぶかと思ったのに。逆に落ち込んじゃった?」
「え、あ……似合うよ。見れてよかった」
(良かったけど…)
「和服にトラウマある感じ?」
「……」
図星に答えられず黙ってしまうけれど、タイミング良くさっきのおばあちゃんがお茶菓子を用意しに来てくれた
「まぁそんな所かな…」
和室を出るおばあちゃんを見送って『ふぅん』なんて声を出す悟は羽織りを脱いでお茶菓子に手をつける
沈んだ空気を誤魔化すように私は続けて口を開いた
「ねぇ、お見合いの話って成立したの?もし仮に許嫁とかいたら……私がこの場にいるのマズいと思うんだけど」
(公式ストーリーとかファンブックでそんな話は聞いたことないけど…人外魔境戦後に許嫁が出たりとかしてたらどうしよう?)
「ンなもんさ、ガキの頃の僕が連れてこられた女に『じゃあコイツ許嫁にする』なんてホイホイ言うと思うか?」
心地悪そうに歪ませる六眼を見て思わず私は吹き出した
「ふふッ、思わないかも」
「それにさ〜流石に女の一人や二人くらい自分で選ばせて欲しいんだよね。ほら、僕ってナイスルッキングガイでしょ?星の数ほど居る中から一つしか見ないで決めるなんて勿体ないし……もう少し待ってれば今こうして目の前に面白い子が来ることだってあるし」
和菓子に伸ばした手が止まる
意味深な台詞に思わず前を見ると不敵に口角を緩める悟が私の目に写った
「やめてよ」
フイッと顔を逸らしても悟の口は閉じなかった
「だって君……僕の事好きでここまで来てさぁ…僕を助けるために死のうとしてるんでしょ?」
「……」
「僕は嫌いじゃないよ」
「ズルいね、悟は」
楽しそうに笑う悟を見て私はやっぱりと決心する。私が死のうとすれば悟はそれを止めようとする
それならその最悪な未来が来ないように、私がフラグを折りに行けばいいんだ
(悟を攻略するんじゃなくて…もう一人の敵を。宿儺を何とかすればいい)
我ながら凄いことを考えている事くらい分かってる。でも事は試しだ
(やってみよう。多分虎杖くんなら宿儺と変わる事ができるはずだから)