輪廻転生 連載中
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…ねぇ、いつまで手ぇ繋いでるの?」
僕の少し後ろで名無しがモゴモゴ話すようにそう口を開いた
「喫茶店出てからずっと繋いでるじゃん。あのさ、そんなに繋がなくていいんだよ?はぐれないし、いなくならないし…」
必死に説得してる。そして感じる
彼女の脈拍、体温の上昇…
隠そうとしているんだろうけれど、僕の事を未来形まで知っているのなら六眼に嘘が付けないのは分かっているはず
(バレバレだってのに…可愛い)
動揺しすぎて自分の鼓動や体温は全て僕に伝わっていると言う事を忘れているんだろう
「…悟?」
初めて見た時…何の変哲もない一般市民だと思った。守られる側の弱い奴だと思ってた
「伊地知といる時の名無し見ててさ」
仮に伊地知だとしても僕以外に笑いかけるその笑顔に少なからず苛立ちを覚えたんだ
「なんで伊地知と話してんだろうなって思ったよ。思い切りプライベートだし、誘う相手なら誰でもよかったじゃん」
なんで伊地知を誘ったんだ?
「僕の事好きなら僕を誘って欲しかったよねぇ」
名無しが他の男に取られたらどうしよう。その内どこかの補助監督とか…窓とか…もしかしたら七海とか?
結婚して…子供産んで…幸せな家庭を別の男と過ごすとしたら?
(嫌だ)
「僕と付き合ってよ。名無し」
他の男と幸せになるなんて許せない
だって僕を好きなんだろ?僕のために死のうとしてるのに…その笑顔を別のヤツに向ける気?
「さっき自覚したんだよね。僕…名無しの事……吐き気がするくらい好きなんだよ」
「ぁ…え?なんて?」
混乱してる…可愛い
「六眼で分かるよ。君がドキドキしてるって…。でも名無しは分からないよね。僕が本気で好きなんだって」
僕が拒まない限り絶対触れることの出来ない領域
名無しの手を掴んで、僕はそこに彼女を引きずり込んだ
「分かる?僕の心臓…ドキドキしてるの」
「…わか…るよ……」
心配だと思った
離れてくかもしれないって
"僕"の隣に立つって事はつまり五条家の敷居を跨ぐということ。それを怖がって離れないように今僕にできること
「ねぇ名無し、僕の愛(呪い)受けとってくれる?」
憂太に言ったことがある。『愛ほど歪んだ呪いはない』って。僕はきっと今作ってしまったんだ。歪んだ呪いを
「…」
「YesかNOで答えるだけだよ。そしたら僕は世界中の誰よりも君を幸せにするから」
困惑しながら名無しは僕を見上げる。頬を火照らせてまた僕から目を逸らした彼女は小さな声で返事を返す
「…お願いします……」
「なんで敬語なの」
わしゃわしゃと頭を撫でてやると名無しが自分で頬をつねった
「夢みたいで…嬉しくて…ずっと大好きだった人の特別になれる事が…こんなに幸せな事なんだって」
「オーバーだなぁ。ただの告白でしょ」
そう言って笑ってみせると名無しが目元を細めてふんわりと笑った
「私、絶対に悟の事死なせないから。絶対…守るから」
(そういやこの子、僕が死ぬその瞬間に盾になろうとしてたっけ)
「じゃあ……名無しが絶対に死なない縛り、結んでもいい?」
「縛り?」
僕より先に死のうとするのなら…阻止するためにそれより前のアクションが必要だ
「僕は名無しを遠隔から守れるように、僕の呪力を名無しにほんの少し分ける。…その代わり、名無しは僕より先に死なない事」
「その縛りじゃ…!」
うん、そうだね。君が庇いたいその一瞬の僕の致命傷を自分が受けて死ぬのなら、縛りは不成立になる
「安心してよ。名無しが受ける縛りの代償は僕に返るようにするから」
「…!」
(そしたら君、自分が死ねば僕も死ぬかもしれないって自覚してくれるでしょ)
「そもそも僕より弱い君がこれからの任務をちゃんとこなしてそこまで生きていられたらの話になるんだから」
「…」
俯いた名無しが少しの間の後にため息をついて僕を見上げた
「そういう所、私の好きな悟だから許しちゃうんだよね。ホント酷い人」
「お生憎様。僕の事惚れさせるのが悪いんだよ」
僕だってこんな気持ち初めてだ
人を愛そうなんて術師を続けるなら、増して"五条悟"なら弱みを作るようなものなのに守りたいとまで思ってしまう
「縛りがあっても守る時は守るから!」
さっきまで照れてたくせに、急に改まって気張る名無しを笑っていたらポケットで携帯が震えた
それははじまりの合図で、渋谷に大きな帳が降ろされるまさにその時だった…