ありえねーだろ
まるで静かな恋のような
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「ん〜…久しぶりの外だ」
お腹を抱えながら私は高専の中庭を歩く。外の空気も久しぶりだ
「少し喉乾いたな…来る前に飲んでくれば良かった」
少しくらい……と中庭を外れる。自販機くらい良いかと私は小銭を入れる
「ねー、何が飲みたい?」
お腹をさすりながら飲み物を眺める。明らか妊婦に不健康なコーラが目に付いた
「お父さんはあれが好きなんだよ〜」
「悟はそのメーカー好きだよね」
「そうそう!…え?…」
振り向くとそこには見慣れない服を着た同級生の姿
「すぐ……る…」
「やっぱり、父親は悟なんだ」
何しに来たの?
なんでここにいるの?
出てくる不安は行動に出る
「そんなにお腹抱え込まなくても、私は手出しなんてしないさ」
傑に悪意は無さそうだ。だけどだからと言って私の前に現れた意味が分からない
「どうしたの?」
「少し……相談しに来たんだ」
疲れたようにベンチに座り込んだ傑を見ていたら、少し昔の光景が頭に過ぎる
「傑、なんか飲み物買ってあげるよ」
「いいの?」
さっき入れた小銭が勝手に出てきてしまった。入れてから時間が経ったからだろう。私はかがんで取り出し口に手を伸ばす
「しゃがまない方がいいよ。前のめりの体制は腹に負担がかかるから」
傑が私を起こして小銭を取る
「私は珈琲でいいよ」
自販機をピッと押した傑の隣、私はこのまま傑が帰ってきてくれればいいのにとずっと考えていた
「名無しは?」
「…ココアにする」
「それも悟好きだよね」
傑が小銭を入れてココア缶のボタンを押す。ガコンと缶が落ちて、傑はそれを渡してくれた
「ありがと」
「どういたしまして」
「名無しッ!」
急に呼ばれてびっくりする
校舎から出てきた悟が真っ直ぐ私の所へ歩いてきた
「や、久しいね」
「お前こんなとこで何やってんだよ!」
思い切り肩を掴まれてココア缶が転がり落ちた。それを拾うより先に目の前の人を落ち着かせないといけない
「だって……喉乾いたんだもん。少し中庭から離れただけだよ?」
「お前は危機感足らねーんだよ!俺が今どれだけ焦ったと思ってんだよッ…」
悟が深くため息をつく。見ていれば少し申し訳なさが出てきて呟くように謝った
「…どうしてもどこか行きてぇなら俺を連れて行けよ。一人でいなくなられたら守ってやれねぇだろ」
そう言った悟がそのやり取りを見ていた親友に目を向ける
「コイツに変な事吹き込んでねーな?」
「変な事吹き込む前に邪魔されたんだよ。でもまぁ後ででもいいかな……名無しと悟の子にも会ってみたいし、また来るよ」
呑気に手を挙げて帰る傑を止めようとしたが、今俺が名無しから離れる訳にもいかない
「傑……いつもと同じだったのに…」
「…もう違うんだよ。進む道がな」
半ば落ちた悟の声。私は転がったココア缶に視線を落として傑の背を見送った
「ほら、もう行くぞ。歌姫の奴…名無しが居ねぇってギャーギャーうるせぇんだ」
「ふふッ……はいはい……ぁイタッ…」
ズキンッと走る痛み。これまさか…
「悟……やば、い。陣痛来たかも…」
「はぁッ!?」
早い…予定日は来週って言ってたのに……
「動くなよ!運んでやるからッ!」
「誰が…取るって言ってたの?そもそも……悟の子だって、極秘のはずだから…非術師も呼べないよね?」
悟がドヤ顔で親指を立てる
「硝子サンがヒッソリ勉強してたらしい。俺とお前のために」
「わぁ〜……天才…」
そろそろ喋る気もなくなってきてしまった。呼吸するので精一杯。悟に運ばれて私は高専の医務室のベッドに寝転がされた
お腹を抱えながら私は高専の中庭を歩く。外の空気も久しぶりだ
「少し喉乾いたな…来る前に飲んでくれば良かった」
少しくらい……と中庭を外れる。自販機くらい良いかと私は小銭を入れる
「ねー、何が飲みたい?」
お腹をさすりながら飲み物を眺める。明らか妊婦に不健康なコーラが目に付いた
「お父さんはあれが好きなんだよ〜」
「悟はそのメーカー好きだよね」
「そうそう!…え?…」
振り向くとそこには見慣れない服を着た同級生の姿
「すぐ……る…」
「やっぱり、父親は悟なんだ」
何しに来たの?
なんでここにいるの?
出てくる不安は行動に出る
「そんなにお腹抱え込まなくても、私は手出しなんてしないさ」
傑に悪意は無さそうだ。だけどだからと言って私の前に現れた意味が分からない
「どうしたの?」
「少し……相談しに来たんだ」
疲れたようにベンチに座り込んだ傑を見ていたら、少し昔の光景が頭に過ぎる
「傑、なんか飲み物買ってあげるよ」
「いいの?」
さっき入れた小銭が勝手に出てきてしまった。入れてから時間が経ったからだろう。私はかがんで取り出し口に手を伸ばす
「しゃがまない方がいいよ。前のめりの体制は腹に負担がかかるから」
傑が私を起こして小銭を取る
「私は珈琲でいいよ」
自販機をピッと押した傑の隣、私はこのまま傑が帰ってきてくれればいいのにとずっと考えていた
「名無しは?」
「…ココアにする」
「それも悟好きだよね」
傑が小銭を入れてココア缶のボタンを押す。ガコンと缶が落ちて、傑はそれを渡してくれた
「ありがと」
「どういたしまして」
「名無しッ!」
急に呼ばれてびっくりする
校舎から出てきた悟が真っ直ぐ私の所へ歩いてきた
「や、久しいね」
「お前こんなとこで何やってんだよ!」
思い切り肩を掴まれてココア缶が転がり落ちた。それを拾うより先に目の前の人を落ち着かせないといけない
「だって……喉乾いたんだもん。少し中庭から離れただけだよ?」
「お前は危機感足らねーんだよ!俺が今どれだけ焦ったと思ってんだよッ…」
悟が深くため息をつく。見ていれば少し申し訳なさが出てきて呟くように謝った
「…どうしてもどこか行きてぇなら俺を連れて行けよ。一人でいなくなられたら守ってやれねぇだろ」
そう言った悟がそのやり取りを見ていた親友に目を向ける
「コイツに変な事吹き込んでねーな?」
「変な事吹き込む前に邪魔されたんだよ。でもまぁ後ででもいいかな……名無しと悟の子にも会ってみたいし、また来るよ」
呑気に手を挙げて帰る傑を止めようとしたが、今俺が名無しから離れる訳にもいかない
「傑……いつもと同じだったのに…」
「…もう違うんだよ。進む道がな」
半ば落ちた悟の声。私は転がったココア缶に視線を落として傑の背を見送った
「ほら、もう行くぞ。歌姫の奴…名無しが居ねぇってギャーギャーうるせぇんだ」
「ふふッ……はいはい……ぁイタッ…」
ズキンッと走る痛み。これまさか…
「悟……やば、い。陣痛来たかも…」
「はぁッ!?」
早い…予定日は来週って言ってたのに……
「動くなよ!運んでやるからッ!」
「誰が…取るって言ってたの?そもそも……悟の子だって、極秘のはずだから…非術師も呼べないよね?」
悟がドヤ顔で親指を立てる
「硝子サンがヒッソリ勉強してたらしい。俺とお前のために」
「わぁ〜……天才…」
そろそろ喋る気もなくなってきてしまった。呼吸するので精一杯。悟に運ばれて私は高専の医務室のベッドに寝転がされた