情報屋の記録
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「ううっ…寒い」
極寒の中、震える体を抱きしめる。今となってはこの段ボールだけが唯一頼れるものである。あの後、トラファルガーにも交渉をしたものの見事に断られた。そのまま家賃も払えず、野宿生活を余儀なくされたというわけである。
「はぁ…世界中の知識を持っているのに、こんなになるなんて…」
港では船が停泊しており、一週間前のユースタス・キャプテン・キッドの船もある。思わずため息が出る。
「ぼく、すごいのに…」
そう言った声は海風にかき消される。段々、頭がぼーっとしてきて…
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その頃、キッド海賊団の甲板にてキッドは眉をひそめながら島を見下ろしている。視線の先には段ボールの上に座り野宿生活をしているサテラの姿があった。
「おい、キラー。あいつ、まだあんなとこにいやがるのか」
キラーは静かに腕を組み、港を観察する。
「あァ...一週間だ。トラファルガーにも断られたらしい」
キッドは苛立たしげに髪をかきむしる。
「フン...あんなに偉そうだったクセに」
キラーは冷静に状況を分析する。腕を組み、壁にもたれかかる。
「まぁ、予想通りだ。キッド、おれたちがあいつに構っている暇なんて...」
キッドは突然、キラーの言葉を遮る。サテラが地面に倒れ込んだのだ。寒さのせいだろうか。
「チッ!...見てらんねェよ」
夜の寒風が吹き抜ける中、キッドは何かを決意したような表情を浮かべている。その目には、普段の荒々しさとは違う何かが宿っていた。
「まさか、キッド。お前…」
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「あ、あれ…幻覚が見える。悪魔がお迎えに来たのかな…」
「テメェ、マジで見捨てるぞ」
「ごめんなさい二度と言いません」
目の前にいたのは悪魔…じゃなくて一週間前に訪ねてきた男、ユースタス・”キャプテン”・キッド。再会は気まずく、暫しの沈黙が流れる。
「何しに来たの?」
ユースタスは背を向け、不機嫌そうに答える。
「こんな場所で死なれちゃぁ後味が悪ィからだ!」
「特別にお前を居候させてやる!」
その言葉に胸が高鳴る。
「え!?ほんとに…!?」
「あァ…ただしシャボンディ諸島までだ!分かったか?」
そう言ってオレンジ色の瞳で見下ろし、頭を小突く。
「それに、船では自分の命は自分で守れ。甘やかしはしないぞ」
隣りにいたキラーが冷静に付け足す。
「さっさと決めろ。このまま凍え死ぬか、オレの船に乗るか...どっちだ?」
そうユースタスが言い放ち、潮風が吹き抜ける。そんなの決まっているだろう…
「もちろんです!ボス!」
するとユースタスは後退り、顔を赤くする。
「ボスじゃねェ!おれは船長だ!」
ユースタス…船長は咳払いし、手を差し出す。その手はゴツゴツしていて傷だらけだけどどこか安心感があって。
「チッ...面倒くせェ奴を拾っちまったぜ。行くぞ!」
「うん…」
船長の手を掴もうとして不意に視界が歪んだ。
「あれ…?」
段々地面が近づいて視界が真っ黒になった。最後に聞こえた慌てる2人の声が暗闇の中聞こえて…