どこにでもあるような街の三番目の角を曲がって、路地裏に入る。その奥の突き当たりから右に曲がる。すると小さな通りに出る。その通りをずっと行けばレンガ作りの家がある。そこが今の叡智の魔女の住処だ。あるとありとあらゆる知識をもつ、いわば情報屋だ。その人間離れした情報量に世界中の権力者が血眼になって彼女を探す。しかし魔女は非常に気まぐれであり、革命を起こす者から恋の悩みを持つ者まで手助けすることもあれば、すべての海を探しても見つけられないこともある。また、もし会えたとしても彼女は対価を請求する。魔女は気まぐれであり、タダで済むこともあれば、国家予算を超える多大な資金を請求することもある。時に人々は彼女のことをこう言う。

「彼女はまさに聖女だ！！彼女がいなければ俺の命はなかった！！」　
「奴は危険だ！とっとと探して処刑しろ！」
「あの人の言葉が今も頭から離れない…私は彼女から天啓を受けたんだわ！」

そんな噂が飛び交う中、魔女はにっこりとほほ笑みを浮かべ、今日の客を待っていた。