白の神殿
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「折角だしバスで行きましょうよ」
そう提案し、およそ50分掛けて私達はパルテノン神殿付近まで来た。
モロッコとはまた違い、レンガ造りの壁が異国情緒溢れる。
平日といえど、バスは混み合っており人々の笑い声が縦長の車内に響いていた
二人掛けのバスの席に座った私達はゆったりと街の景色を楽しんでいた。
ふと、花京院の方に視線をやると彼はその切れ長の瞳で、流れてゆく街の景色をふっと眺めていた。
緑の学生服はバスの外の街路樹の木陰で更に深い緑になったり、淡い緑になったりもする。
ギリシアに日本人の学生がいるという物珍しさか、それとも彼のアンニュイな横顔か。
時折乗客の視線が集まるが、すぐに彼らはそれぞれの日常に戻る。
ひどく落ち着いた昼下がり。
あくび一つをする。
今まで、向けなかった情景に意識がゆき、感覚が研ぎ澄まされすぎると逆に退屈してしまうものだ。
きっと数十年後かにお年寄りが味わう公園での談笑の感覚というのはこんなものなのだろう。
間抜けなブザー音が響き、バスが停車する。
目的地まであと3駅。ふっと目線を下げた。
◆
花京院side
「ほんとうに真っ白ね」
「ああ、でも昔は色がついてたらしい」
「あ、私もそれ知ってる。赤とか青とか…」
風が強く、彼女の白い髪が、白いシャツが揺れる。
目を細めて遠くを見ながら、彼女は少し笑った。
「本当に、今からは全く想像できないな」
「……全部、いつかは色褪せるのよね。どんなに綺麗でも、どんなに大事でも」
その横顔は冗談とも本気ともつかず、ただ静かだった。
日差しが強く照りつける白く乾いた石畳の上で、影だけがくっきりと地面に伸びている。
「……色褪せたって、なくなったわけじゃないさ」
思わずそう返した自分に驚く。
それは誰よりも、自分自身に言い聞かせた言葉だったのかもしれない。
彼女は一瞬大きく目を見開いた。瞳の奥のエメラルドが揺れる。
「ふふ、そうね」
それから、彼女は小さく笑って柱に手を触れた。
その石は冷たく、けれど確かに“今ここにあった”
そう提案し、およそ50分掛けて私達はパルテノン神殿付近まで来た。
モロッコとはまた違い、レンガ造りの壁が異国情緒溢れる。
平日といえど、バスは混み合っており人々の笑い声が縦長の車内に響いていた
二人掛けのバスの席に座った私達はゆったりと街の景色を楽しんでいた。
ふと、花京院の方に視線をやると彼はその切れ長の瞳で、流れてゆく街の景色をふっと眺めていた。
緑の学生服はバスの外の街路樹の木陰で更に深い緑になったり、淡い緑になったりもする。
ギリシアに日本人の学生がいるという物珍しさか、それとも彼のアンニュイな横顔か。
時折乗客の視線が集まるが、すぐに彼らはそれぞれの日常に戻る。
ひどく落ち着いた昼下がり。
あくび一つをする。
今まで、向けなかった情景に意識がゆき、感覚が研ぎ澄まされすぎると逆に退屈してしまうものだ。
きっと数十年後かにお年寄りが味わう公園での談笑の感覚というのはこんなものなのだろう。
間抜けなブザー音が響き、バスが停車する。
目的地まであと3駅。ふっと目線を下げた。
◆
花京院side
「ほんとうに真っ白ね」
「ああ、でも昔は色がついてたらしい」
「あ、私もそれ知ってる。赤とか青とか…」
風が強く、彼女の白い髪が、白いシャツが揺れる。
目を細めて遠くを見ながら、彼女は少し笑った。
「本当に、今からは全く想像できないな」
「……全部、いつかは色褪せるのよね。どんなに綺麗でも、どんなに大事でも」
その横顔は冗談とも本気ともつかず、ただ静かだった。
日差しが強く照りつける白く乾いた石畳の上で、影だけがくっきりと地面に伸びている。
「……色褪せたって、なくなったわけじゃないさ」
思わずそう返した自分に驚く。
それは誰よりも、自分自身に言い聞かせた言葉だったのかもしれない。
彼女は一瞬大きく目を見開いた。瞳の奥のエメラルドが揺れる。
「ふふ、そうね」
それから、彼女は小さく笑って柱に手を触れた。
その石は冷たく、けれど確かに“今ここにあった”
