移りゆく花畑
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花京院side
オランダ・キューケンホフ公園。
シンボルマークの風車と見渡す限りのチューリップ畑が、風に揺れて色彩の波を作っていた。
辺りにはちらほら5,6歳程であろう子供たちが走り回っていた。
赤、黄、紫、白、ピンク――まるで夢の中にいるような光景。
「すごく派手………目眩がしそう」
サテラは、少しだけ眩しそうに目を細めた。
けれどその声には、不思議と柔らかいものが含まれていた。
「もう少し花に詳しければよかったけど……」
「知らなくても、楽しめるさ。名前を知らない色や形があるっていうのも、それはそれで面白いんじゃあないかな」
「…それも一理あるわね」
少しの間があり、それからわずかに頷く。
僕達はゆっくり、その色とりどりの中を歩く。
「ねぇねぇ、おねーさんたちどこからきたの?」
不意に下から声が聞こえた。振り返ってみると先程走り回っていた幼い少女たちが。
「日本から来たのよ。君たちはオランダの子?」
サテラがしゃがんで目線を合わせると、子供たちはきゃっきゃと笑いながら頷いた。
「じゃあさ、じゃあさ!おねーさんたちこいびとなのぉ?」
「えっ」
思わず口から変な声がでた。サテラも目を丸くして固まった。
「ちょっと!そんなこといきなりきいたらしつれいでしょ!」
「でも〜!きになったんだもん!」
その子供たちは無邪気に言い争う。
するとサテラは子供たちに目線を合わせるようにしゃがみ、ほんの少しだけ目尻を優しく下げ、彼らに微笑みかける。
「ふふ……違うのよ。私たちは恋人じゃないの」
「え〜?ちがうの?」
「ええ…このお兄さんはね、私の最後の旅行に付き添ってくれているとっても優しいお兄さんなの。……恋人じゃなくて、旅の“同伴者”よ」
それは、彼女なりに選んだ言葉だった。
無邪気な心を傷つけず、それでいて、自分自身の現実からも逃げない。
「ええ〜ちゅーしないの?ちゅー」
「「ぶっ」」
思わず僕達は同時に吹き出し、顔を見合わせ笑った。
「しないわ。そういうのはね、大切な人同士でするもの。
……貴方達も、このお兄さんもこれから色んな人と出会って――」
サテラは一瞬、言葉を切った。
風がふわりと吹いて、彼女の髪が軽く舞い上がる。
「――その時にすればいいのよ。きっと、そのときは自然にわかるから」
子どもたちはぽかんとしてから、「ふーん」と間延びした返事を返し、やがて笑い声をあげながら、また走り去っていった。
「子供って無邪気ね、いつから拗らせちゃうのかしら」
吐き出すよう、きっと誰にも聞いてほしくないように言ったサテラの口調は自らを嘲笑うかのよう皮肉げで、弱かった。
僕はなにも言葉を返さなかった。
オランダ・キューケンホフ公園。
シンボルマークの風車と見渡す限りのチューリップ畑が、風に揺れて色彩の波を作っていた。
辺りにはちらほら5,6歳程であろう子供たちが走り回っていた。
赤、黄、紫、白、ピンク――まるで夢の中にいるような光景。
「すごく派手………目眩がしそう」
サテラは、少しだけ眩しそうに目を細めた。
けれどその声には、不思議と柔らかいものが含まれていた。
「もう少し花に詳しければよかったけど……」
「知らなくても、楽しめるさ。名前を知らない色や形があるっていうのも、それはそれで面白いんじゃあないかな」
「…それも一理あるわね」
少しの間があり、それからわずかに頷く。
僕達はゆっくり、その色とりどりの中を歩く。
「ねぇねぇ、おねーさんたちどこからきたの?」
不意に下から声が聞こえた。振り返ってみると先程走り回っていた幼い少女たちが。
「日本から来たのよ。君たちはオランダの子?」
サテラがしゃがんで目線を合わせると、子供たちはきゃっきゃと笑いながら頷いた。
「じゃあさ、じゃあさ!おねーさんたちこいびとなのぉ?」
「えっ」
思わず口から変な声がでた。サテラも目を丸くして固まった。
「ちょっと!そんなこといきなりきいたらしつれいでしょ!」
「でも〜!きになったんだもん!」
その子供たちは無邪気に言い争う。
するとサテラは子供たちに目線を合わせるようにしゃがみ、ほんの少しだけ目尻を優しく下げ、彼らに微笑みかける。
「ふふ……違うのよ。私たちは恋人じゃないの」
「え〜?ちがうの?」
「ええ…このお兄さんはね、私の最後の旅行に付き添ってくれているとっても優しいお兄さんなの。……恋人じゃなくて、旅の“同伴者”よ」
それは、彼女なりに選んだ言葉だった。
無邪気な心を傷つけず、それでいて、自分自身の現実からも逃げない。
「ええ〜ちゅーしないの?ちゅー」
「「ぶっ」」
思わず僕達は同時に吹き出し、顔を見合わせ笑った。
「しないわ。そういうのはね、大切な人同士でするもの。
……貴方達も、このお兄さんもこれから色んな人と出会って――」
サテラは一瞬、言葉を切った。
風がふわりと吹いて、彼女の髪が軽く舞い上がる。
「――その時にすればいいのよ。きっと、そのときは自然にわかるから」
子どもたちはぽかんとしてから、「ふーん」と間延びした返事を返し、やがて笑い声をあげながら、また走り去っていった。
「子供って無邪気ね、いつから拗らせちゃうのかしら」
吐き出すよう、きっと誰にも聞いてほしくないように言ったサテラの口調は自らを嘲笑うかのよう皮肉げで、弱かった。
僕はなにも言葉を返さなかった。
