番外編
結婚して何度目かの俺の誕生日
昔は誕生日なんて祝う習慣も無かったし
普通の子供だったならまだしも
俺は地下街の出身でろくな育ちじゃねぇ
だから、誕生日なんて
ただ、年を数える為の一つの区切りに
過ぎなかった
調査兵団に入ってからは
ハンジがやエルヴィンが主体となって
バカ騒ぎと酒を飲む口実に
兵士長になってからは
誰から聞いたのか…まぁ、ハンジ辺りだろう
一般兵の奴らまで便乗して更なるバカ騒ぎの
口実になった
正直な話、騒がしいのがあまり好きではない俺は
放っておいてくれた方が良かったのだが…
祝ってくれようって気持ちは有難かったんだが
やはり、俺にとって誕生日は
特別な日と言う感覚が無かったから
ピンと来なかったってのが大きいんだろう
しかしそれも、ミカサと婚約して…
いや、婚約期間数日だから
実際は結婚してからだな
誕生日は俺の心境的に大きく変わった
今までの誕生日で「おめでとう」
と言われてもピンと来なかったが
ミカサに…心から愛しいと思える奴に
「誕生日、おめでとうございます…
そして、産まれて来てくれて、ありがとう」
と言われた時
ようやく俺は誕生日を祝う意味を
理解出来た気がした
今までの人生で
「産まれて来てくれてありがとう」
なんて言葉は、ミカサに言われるまで
自分が言われた事は記憶にない
少なくとも俺の記憶には…
実際、俺の記憶には何かしらの
感謝の言葉より、恨み言を言われた
記憶の方が明らかに多い
恨まれることを俺は散々やってきたし
万人に好かれたいなんて、思った事も無い
なのにどういう事なのか
巨人が居なくなり、平和に成った今
最期の巨人を駆逐し終わった日である
平和記念日とは別に
俺の誕生日を「英雄生誕祭」とかなんとか
名前を付けて国の休日にまでしやがった
これはまぁ、女王になったヒストリアに
ハンジが入れ知恵した結果だ
何でも、大昔…
壁が出来るより遥か昔の
神と崇められていた救世主が
俺と同じ誕生日だったんだとか
そして、その日は国どころか世界を上げての
大きな記念日だったと…
そんな話を聞いたもんだから
「救世主と英雄が同じ日に生まれたなんて
何か縁が有るのかも!
じゃあ、私達もそれに則って12月25日を
国の記念日としましょう!!」
なんて事を女王自ら言いやがった
彼奴絶対面白がってやがる
今日だってミカサの願いで
俺達の家に親しい奴らを呼んで
お誕生会なんてもんをやっている
因みに当の家だが、家と言うより
屋敷と言った方が正解だったりする
今までの功績がどうとかで
土地と屋敷なんかが送られたんだが
その土地がちょっとした貴族の
私有地位の広さは有る
最初はバカなんじゃねぇかと思ったが
ミカサもいるし、これからの事も考えて
貰える物は貰っておくことにした
バカみてぇに広いから
掃除のし甲斐も有るしな
『リヴァイ…考え事?』
「あぁ、ミカサか…大した事じゃねぇよ
それより彼奴は寝たのか?」
『えぇ、あの子はまだ小さいから
こんな遅くまで起こしていたら体に毒』
「そもそも起きてらんねぇしな」
あの子ってのは俺とミカサの子だ
結婚して1年経ったくらいにミカサの妊娠が
発覚して大騒ぎだった
まぁ、幸い、巨人の駆逐にも粗方目途が立った
辺りだったからまだ良かったが
その頃、ミカサはすでに俺に継ぐ戦力だったから
それが抜けるって事でエルヴィンが頭抱えてたな
生まれた子は男で作りは俺に似て
色合いがミカサだった
表情の作り方なんかもどちらかと言えば
ミカサに似ている
だが、そもそもの話、俺とミカサが
遠縁の親戚らしいから
どっちに似てようがあんまり変わらねぇがな
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「「「「兵長!!お誕生日
おめでとうございます!!」」」」
もう大人達に良い感じに酒が回ってきたころ
女型戦辺りのごたごたで退団した
旧リヴァイ班のメンバー
エルド、グンタ、オルオ、ペトラが
酒やジュースの入ったグラス片手に
やってきた
退団した後、此奴らもそれぞれ
自分たちの幸せをつかんで疎遠にでも
成るのかと思いきや、何かってぇと
兵団に顔を出しに来ていたな
皆時期はバラバラだったが結婚もしている
エルドは元から付き合ってた女と
退団してすぐに
グンタは割と最近でまだ一年経ってない新婚
引っ越し先のパン屋の娘と縁が有ったらしい
そんで、元々仲がいいと思ってた
オルオとペトラが結婚した
しかも現在、ペトラが妊娠中らしい
「お前ら、態々遠い所すまんな
ペトラも、安定期に入ってるとは言え
長距離の移動は辛いだろうに」
それぞれから祝いの言葉と
用意してくれたと言うプレゼントを受け取り
近況報告やら雑談やらしていたと時
そう言えば…と、ペトラが話出した
「そう言えば兵長、今私、幸せ真っただ中
だからあえて言いますけど、実は昔
兵長が好きだったんですよ
まぁ、兵長がミカサちゃんと結婚して
めちゃくちゃ仲がいい夫婦って感じだったし
子供も出来た事で
スッパリ諦めましたけどね」
「そうそう!俺達もペトラ見てて
そうなんだろうなぁって思ってたから
ちょっと応援してたんですよ!」
「オルオがペトラ好きなのも知ってたから
正直、どうなるかと心配は有りましたがね」
「うるせぇよ!
まぁ、俺も正直、兵長だったら仕方ない
位には思ってた所有ったけどよ…」
「それは…
すまん、気が付かなかった…」
打ち明けられたのは中々に衝撃的な事実…
だったが、驚いたのは俺だけで
周りの…当時の新兵以外は
みんな知っていたらしい
これは俺が鈍いだけなのかどうなのか?
「更に今だから聞きたいんですけど
ミカサちゃんのどこに惚れたんですか?
いや、あの子は女の私から見ても
魅力的なのは解りますよ
料理上手だし、家族愛にあふれた子だし」
「確かに、俺もその辺気になります!
今までいろんな女たちに言い寄られても
特別を作らなかった兵長が…って」
「お付き合い云々飛ばして求婚したって
聞いた時はぶったまげましたよ!」
「彼女の何が兵長をそこまで駆り立てたのか
気に成るんですよ!
やっぱりあれですか?胃袋つかまれた的な…」
そう言えば、今まで
”何で”って所を考えた事が無かったな
彼奴の飯食って一緒に居て
何となく居心地が良くて…
エレンはまぁ弟だから置いておくとしとしても
ミカサがもしも他の男と…なんて考えたくなくて
速攻で落としにかかったのは覚えている
胃袋つかまれたってのも強ち
間違いじゃ無いんだが
まず第一に…
「ミカサがドストライクに俺の好だった
ってのが大きいだろうな…
恋人関係になった事はねぇが過去の
女遍歴思い出しても綺麗とか美人とか
言われる系統の顔ばかりだ…」
「あ…なるほど、
私がかすりもしない訳だ」
「ペトラは可愛い系だからな…」
「更に細かく言えば貴族みてぇな
煌びやかで派手な美人じゃなくて、こう…
夜空みてぇなしっとりとした…
静かな美人が好ましい
姦しい、喧しいのは好かねぇ」
「ミカサちゃん、何時だったか
夜とか月の女神なんて呼ばれてた時期
有りましたよね」
「あぁ…太陽のヒストリア、月のミカサ…
だったか?」
「家庭的な所もいいな
飯が美味くて掃除も完璧だった
家族って物をを知らない俺に
教えてくれて与えてもくれた」
「東洋の料理、美味しかったですよね…
馬の餌だとしか思ってなかった大豆が
まさかあんなご馳走に成るなんて」
「あの子は家族愛の権化って感じだよな」
「あと、これ言うとなぜか生ぬるい目で
見られるんだが…
あのデケェ乳が堪らんだろう
もちろん、腰や太ももの辺りも
捨てがたいが正直、アレが止めだった」
「・・・。」
「ペトラ…兵長も男って事だ」
「胸か!!男はやっぱり胸なのか!!?」
そう言えば、ミカサの乳の話は
ハンジが事あるごとにネタにして来たな…
男が女の乳が好きで何が悪いってんだ
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夜も更け、酔っ払って
帰れそうにない奴らを客室に
放り込んで、俺はミカサが待つ
夫婦の寝室に向かった
騒がしい事があまり好きではない俺だが
ミカサが一生懸命に企画してくれたと思うと
途端に悪くないと思えるから不思議なもんだ
なんて考えながら入った寝室には
目を疑う光景が有った
二人で寝るのだから、どうせなら大きいのを
と、買ったキングサイズベッドの中央に
ミカサが座っていたのだが
問題はその、ミカサの格好だった
普段は俺が頼みに頼んで粘って食い下がって
ようやく渋々と着てくれるような
矢鱈と透けた生地のベビードールに
見えそうで見えないエロいラインの
ほぼ紐で出来た下着
そして、これまたいい感じに透けた
レースのストッキングとそれを止める
ガーターベルト…
何だこれは
なんて素晴らしすぎるサプライズだ
これは俺の夢かなんかか…
「おいミカサ、これはどういう状況だ…」
『リヴァイ…今日はお誕生日だから特別
それに…
あの子も兄弟が欲しいと言っていた』
「それで両方叶えに行こうとしたわけか」
『そう……、お嫌い?』
「………。
お好きだバカ野郎」
あぁ…
誕生日最高か
.
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