「俺はオールマイトを超える
すっげぇヒーローに成るんだ!!」



ある日の幼稚園の一コマ
授業参観みたいなやつだ

皆の将来の夢を話そうって時間


やっぱり大勢の子供たちが
ヒーローに成りたいって言っている

オールマイト超えてやるって
言い出したのはかっちゃんだけだけど


そう言えばこの世界って

オールマイト”みたいに”なりたい

とか

オールマイト”程行かなくても”

とかばっかりで
オールマイト超えたいって人を
全然聞いた事が無い

僕の知らない所で有るのかも
知れないけど

知ってる範囲だと
かっちゃんとエンデヴァー位だ

当のエンデヴァーも
半分心が折れてるみたいだし

オールマイトも人間なのにね


そんな事を考えてたら
僕の番が来たみたいだ

幾つだろうと
前で発表するのっていやだなぁ…


…それよりも嫌な事？
気に成る事もあるけど……



「さぁ、出久くん
貴方の夢はなぁに？」

『えぇっと、僕のゆめは
主夫になって、旦那さんを
美味しいごはんと温かいお風呂で
お出迎えすることです！』



ざわ……
　　　ざわ……


「え、えぇ～とぉ……
旦那さんに成るんじゃなくて
旦那さんをお出迎えするの？」

『うん、僕ね
疲れて帰ってくる旦那さんを
お疲れ様、いつもありがとう
ってお出迎えするの』

「あぁ～と……
(これはなんて言ったらいいのかしら
そこそこ長くこの仕事やってるけど
男の子のお嫁さん志望は初めてだわ)」


『ダメですか？』

「い、いや、ダメじゃないのよ？
でも、出久君は優しいし
人の事よく見てるからヒーロー
なんてどうかしら？」



そう、これ！
これだよ!!

何でか知らないけど
僕の周の結構な人数が
矢鱈と僕にヒーローを
進めてくるんだ!!



『せんせぇ……僕は…』

「デクは俺のお嫁さんだから
ヒーローにならなくていいんだよ!」

「か、勝己君!?」

「それにデクはむこせーだから
危ない事しちゃだめなんだ！
だからナンバーワンの俺が
お嫁さんにして守るんだ!!」




教室内がいろいろな意味合いの
どよめきであふれております…

僕のヒーローに成りたくないって
気持ちを正しく受け止めてくれてるのは
かっちゃんだけだよ！

お母さんでさえ
「無個性だから諦めた」
なんて思ってるのに




ほんと…

頼りに成るのはかっちゃんだけだよ…





．