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「あれ?旦那。今日美羽と帰らねーの?うん」
時刻は放課後である。今日は2年生初日のため、午前中で終了だった。
鞄を拾い上げながらオレは答える。
「今日は皐月とスタバ。新作が出たんだと」
「あー、いつものあれか。うん」
女子二人の恒例行事である。
じゃあオイラ達も遊びに行こうぜ、と誘われて首肯する。
二人で教室を出ようとすると、イタチに呼び止められた。
「ごめん、サソリ。ちょっといいか?」
イタチは何やら神妙な面持ちである。なに?とオレ。ここじゃちょっと…と濁される。
デイダラが間に入り長い髪を揺らした。
「…オイラいちゃまずい?」
「いや。そんなことはない。ちょっとオレも一緒に行っていいか?」
「構わねーけど。どこ行く?」
イタチは少し考えた様子を見せた後、駅近くのカフェを指定した。
****
駅前のカフェである。オレは珈琲、イタチは紅茶、デイダラはカフェオレとケーキを注文した。
「前美羽と皐月とも来たんだよ、ここ」
「え、いつだよ」
「アレだよ。旦那がクリスマス前バイトしてて美羽が病んでた時」
ああ、と納得した。そういえばそんなことあったな。
「サソリが女に会ってる!とかキーキー騒いでた」
「あいつ本当オレのこと信用してないよな」
「信用とかじゃなくて普通に不安なんだろ。旦那はモテるから」
ほら、とデイダラに指を刺されそちらに視線を動かすと、こちらを見ていた女子数名と目が合った。なにやらキャーキャー騒いでいる。
くだらねぇな。
「モテるって言ったらアイツも十分モテてんだろ。早瀬とか、サスケとか」
お前とか。と心の中で毒づく。
「あれ?ヤキモチ?」
「別に妬いてねーよ。事実として言ってんの」
雑談していると、飲み物が運ばれてきた。
受け取って店員がいなくなったのを見計らってからイタチに声をかける。
「なんだよ。改まって」
「んー…」
イタチは紅茶を啜りながらなにやら悩んでいる様子である。
「…確信がないんだよな」
「ああ?」
「一応伝えたほうがいいかなと思ったんだけど。確実な話じゃないから、不安にさせるだけかもしれない」
それでも聞くか?と言われて、オレは眉を寄せた。
「話が掴めねーんだけど」
「ま、そうだよな」
紅茶をもう一口。
「美羽のことで、少し思うところがあって」
美羽?とデイダラ。オレはどういうことだ?と低い声で呟いた。イタチはそれを同意と取ったらしい。
「担任いるだろ」
「ああ…うちはマダラね」
「あの人。かなり変わり者なんだよな」
変わり者、か。今日一日見た感じでも、それはわかるが。
「好戦的というか、野心家というか。狙った獲物を逃さないというか」
「…それが美羽となんの関係が?」
相関性が掴めない。オレの言葉に、イタチはまた少し悩む様子を見せる。
「違ってたらごめんな」
「?」
「多分、美羽がもう狙われてると思う」
えっ!とデイダラが目を見張る。
「教師と生徒だぞ。さすがにそれはないんじゃねーか、うん?」
「あの人にそんなことは関係ないさ。言ったろ。狙った獲物は逃さないって」
「……」
今日のマダラの様子を思い出す。確かに、美羽のことを気に入っているような印象は受けた。
「ご両親と同窓って言ってたから。昔母親の方となにかあったんじゃないのかな」
「……」
「違ってたら本当に申し訳ないんだけど」
美羽は母親にそっくりだったから、とイタチ。
確かに美羽と真白さんはそっくりだ。現に、マダラも二人の顔が瓜二つだと評価している。
突っかかっていたものが、スッと喉の奥を通って行った。
「なんか…腑に落ちちまった」
「?」
「オレもなんか違和感感じてたんだよな。さすがにそこまではわからなかったが。そういうことなんだとすると納得しちまうっつーか」
うちはマダラと真白さん。曲者同士、何かあったとしてもおかしくはない、かもしれない。
「でも、仮に美羽が狙われてたとして何があるわけ?うん」
「それは…」
イタチがチラッとオレを見た。
「…うーん。どうだろうな」
「……」
「まさか身体の関係強要しちゃったりしそうな感じ?うん」
「…さあ。なんとも言えない」
茶を濁すイタチに、ガシガシと頭を掻いた。
「…とりあえずあんまり一人にさせないようにするわ」
「そうしたほうがいい」
まあ、杞憂だといいんだけどな。
イタチはそう言って、また一口紅茶を啜った。
今日はあの早瀬からも宣戦布告を受けている。その上担任のうちはマダラ。先が思いやられる、とオレは虚な気持ちで珈琲を啜った。