01
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DVDを見て時間を潰した。デイダラがこの前持ってきたアクションもの。オレは興味がなかったが、美羽はそれなりに楽しそうだった。デイダラに心の中で感謝する。
エンドロールが流れる。時刻は21時半だ。普段だとオレはまだ寝る時間ではない。しかし美羽の目はとろんと溶け始めていた。眠いか?と聞けば僅かに首肯する。
オレはテレビを消し、美羽に言った。
「ベッド使え。オレはソファーで寝る」
男のベッドで寝るのは抵抗があるかもしれないが、生憎ほかに布団もない。美羽をソファーや床に寝かせるわけにもいかないし、これがベストな選択であろう。
美羽は目をパチパチと瞬いた。
『ダメだよ。家主がベッドで寝て』
「ダメだ。女が優先。お前がベッドで寝ろ」
オレの言葉に、美羽は納得いかない様子である。無理矢理寝室に連れて行った。
「遠慮するな。女が体を冷やすのはよくない」
『……』
美羽はチラッとベッドを確認した。微妙に広いセミダブルのベットである。
『…じゃあ、一緒に寝ようよ』
言葉を失った。呆然としてるオレに、美羽は違くて、と少し慌てる。
『変な意味じゃなくて。二人入れそうだから』
「……」
確かにセミダブルだから二人入れるけど…。かなり密着度は高くなる。わかって言っているのだろうか。
『大丈夫だよ。サソリくん私にそういう興味ないでしょ?』
風呂場で勃ちそうになったことは一生言えねえな、と思った。オレは腕を組む。
「…さすがにまずいだろ。お前処女だろ。最初に一緒にベッドに入るのがオレでいいわけ?」
『なっ!しょ、処女って…!別にそんなのは』
「違うのか?」
オレの言葉に美羽は押し黙る。また図星のようだ。まあ、彼氏できたことないと言っていたからな。彼女に限ってワンナイトラブも無いだろうし。
「だからお前一人で寝ろ」
『…いや』
「ああ?」
『サソリくんがここで寝ないなら私がソファーで寝るっ』
なんだか怒らせてしまったようだった。
プリプリしている美羽に、ため息をつく。どうしても言うことを聞きそうにないので、お姫様抱っこをして、ベッドに強引に寝かせた。
『な、んっ…』
美羽の体を包み込むようにして布団をかける。そこに一緒に潜り込んで、身体を密着させた。
美羽が硬直して目を白黒させている。
「男と一緒にベッドに入るってこういうことだぞ」
『……』
ふう、と耳に息を吹きかけてやれば美羽は過剰に身体を震わせる。その様を確認して、オレは美羽から身体を離した。
「天然なのか知らねえけどガードが甘すぎる。そんなんじゃすぐヤられちまうぞ」
『……』
「…男を、あんまり信用すんな。家に入るなんて、ましてやベッドに誘うなんて以ての外だ」
『……』
「安心しろ。オレは何もしない。今日はゆっくり寝ろよ」
オレはそう言って後ろ背にドアを閉めた。
彼女はもう何も言ってこなかった。
****
一時間後、寝室を覗くと規則正しい寝息が聞こえてきた。ホッとして、俺は静かに扉を閉める。
寝て仕舞えば、明日の朝まではとりあえず何もない。
乾燥機の中に入れたままにしていた制服を取り出して、ハンガーに引っ掛ける。女子の制服というものを初めてまじまじと見たが、まじで小さい。美羽が比較的小柄なのもあるだろうが、男女差というものを改めて実感させられる。
ドサッ
干し終えたところで、寝室から何かの落ちる音が聞こえた。悩んだものの、オレは再びそっと寝室を覗く。
「……」
するとベッドから美羽が落ちていた。本人は寝たままだ。うーん、と唸りながら寝返り。
白いレースのパンツが完全にお目見えしている。
そっと近づき、とりあえずスウェットの裾を伸ばして下着を隠す。
先程のようにお姫様抱っこをして、ベッドに寝かし直した。
息を吐いて寝室を後にしようとすると、またドサッ。振り返れば、また落ちている。
「寝相悪すぎだろ…」
イライラしながらまた美羽を抱き抱えてベッドに寝かせる。すると、美羽がガシッとオレの服の袖を掴んだ。起きたのかと思ったら、そういうわけではないらしかった。完全に目は閉じている。
『…サソリくん』
「…?」
『傍にいて』
ドキッ、心臓が跳ねた。美羽は相変わらず目を閉じたままだ。
寝言か?夢でも見ているのだろうか。
よく見ると、美羽はうなされているようだった。怖い、だのやめて、だの小さな声で必死に抵抗している。そして気づいた。先程痴漢にあった時の夢を見ているのだ、と。
『サソリくん…サソリくん…』
縋るような声で、美羽はオレの名前を呼んでいる。たまらなくなって、オレは美羽の頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫、オレがいる」
『……』
「オレがお前を守ってやるから」
聞こえているのかいないのか。美羽はそのまま、再び静かに寝息を立て始めた。
****
『サソリくん、サソリくん?』
朝。美羽の呼びかけで目が覚めた。
ボーッとした頭で顔を上げる。美羽が訝しげにオレを見ていた。
『大丈夫?変な格好で寝てたけど』
「…あー…」
言われて思い出した。昨晩のことを。
あの後美羽はオレの服の袖を離そうとせず、仕方なくベッドの淵に腰掛け彼女を見ていた。美羽はあの後も落ち着かず寝返りばかりうっていて、乱れたスエットの胸元からばっちり大きなお胸と谷間が披露され。
勃った。もうこれは仕方ないだろう。男だ。好きな女の胸をあんなに見せられたら誰だって勃つ。むしろ勃たなきゃ男じゃない。
しかし勃ったところで襲うわけにも自分で処理するわけにもいかず、オレは必死に耐えていた。美羽が落ち着いたらどうにかして部屋を抜けようと思っていたのに、そのまま寝落ちしてしまったようだった。
『ソファーで寝なかったの?』
「…まあ、いろいろあったんだよ」
美羽はそれ以上言及してこなかった。うーん、と伸びをしてベッドから起きる。
『朝ごはんにしよっか。食べられる?』
「…食べられるけど。今度こそ買ってこねーと」
オレの言葉にふふっと美羽は笑う。
『大丈夫でーす。昨日のうちに仕込みしてあります』
まじか。