14
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「えっ、じゃあ毎日来てんの?その女子たち」
あれから2週間余りである。飛段の言葉に、オレは力なく首肯した。
「毎日毎日うるせーのなんの。なんだろうな、あの女子のキンキン声。聞いてるだけでライフ削られる」
「えー、いいじゃん。可愛かったろあの子たち」
「可愛いか…?でこっぱちと片目女と地味子だぞ」
「言い方ひでーな。まあ誰が誰かわかるけど、うん」
「でも色々作って食べさせてくれるんですよね?どうですか?」
鬼鮫の言葉に、うっぷ、と胃液がせり上がってくるのを感じた。
「食わされるけど…なんでなんだろうな。あんまり美味くねえんだよな。美羽が作るのと全然ちげーんだよ」
美羽が指導しているはずなのに、何故かあまり美味しくないのである。やはり美羽が個人で作った方が美味い。贔屓目もあるのかもしれないが。
「毎日毎日よくわかんねえもん食わされていい加減挫けそうだ。早く美羽との二人の生活に戻りたい」
また美羽の意識が完全にオレ以外に向いていて、それも面白くなかった。つーか勉強しなくていいのかよ。
オレは大きなため息を吐いた。
「お前ら食いに来て。オレはもう限界」
「えー、行く行く。行っていいん?」
「全部食ってくれるならいくらでも来い」
オレの言葉に、男どもは嬉しそうな歓声をあげた。
****
今日もキッチンは騒がしい。ただ、今日は飛段と角都、デイダラが来て試食を担当するようだった。オレはもううんざりだったので一人寝室に篭ってイヤフォンで音楽を聴いていた。
美羽以外の女子はどうも苦手である。なんであんなにキンキン声で喚くのだろう。静かに喋る、ということがあいつらには難しいらしかった。
暫く音楽を聴いて癒されていると、トントンと肩を叩かれた。誰かが部屋に入ってきていたことに全く気づかなかった。驚いて振り向く。するとそこには美羽がいた。慌ててイヤフォンを外す。
『ごめんね。返事なかったから勝手に入っちゃって』
「いや。音楽聴いてて気付かなかった。…奴らは?」
『今試食タイムだから』
美羽がじっとオレを見下げている。
『最近二人きりになれてなかったから。寂しくて』
彼女もオレと同じ心境ではいてくれたらしい。オレは美羽の身体に手を伸ばして抱き寄せた。座っているオレと、立っている美羽。ちぐはぐな身長差だ。でもたまにはこういうのもいい。
「なあ、キスして」
『え…私から?』
「そ。して」
美羽が少し迷ったように目を泳がせた。しかしすぐ観念したようにふぅっと息を吐く。
目を閉じて、と言われて大人しく目を閉じた。
美羽がオレの頬を手で挟み込むようにして顔を近づける。ちゅ、と軽いリップ音がした。
オレは目を開く。至近距離の美羽と目が合った。ガッチリ腰に手を回して固定する。
「舌入れろよ」
『…恥ずかしくて』
「何故?して」
美羽は頬を赤く染め、しかし拒否をすることはなかった。再び柔らかいものが押しつけられたと思ったら、ぬるん、と温かいものが侵入してきた。美羽の舌がオレの口の中に入るのはなかなかレアである。
彼女も食べたのか、チョコの甘い味がした。チョコは苦手だが、彼女の口移しなら話は別である。不器用に絡ませられる舌に吸い付いて堪能する。
『んっ、はぁ…』
息が続かなくなってどちらからともなく唇を離した。美羽の頬が完全に高揚して目が潤んでいる。
オレは美羽の頬に軽く唇を押し付けた。
「上手上手。だんだんエッチなキスになってきたな」
『エッチって…』
「上手くなるとキスだけで男を勃たせられるぜ」
えっ、と美羽が少し驚いた顔をする。
『それは…少しやってみたいかも』
「いくらでも練習させてやるから頑張れよ」
オレは美羽の腰から手を離した。むぅ、と美羽が頬を膨らませる。
『サソリは煽るだけ煽って何もしてこないよね』
「お前の準備ができるの待ってんだよ」
『だから準備できてるって』
ふん、と鼻を鳴らしてオレは再び机を向いた。
「途中で嫌がられても止める自信ねーから。全部の穴オレに捧げられるくらいの気持ちになってから言って」
『全部の穴…?』
「例えだ、例え」
どんな例えよ、と美羽が憤慨している。オレは再びイヤフォンを耳に当てた。
『何聴いてるの?』
「ミスチル」
『えっ!?ミスチル!?』
大きな声を出す美羽になんだよ、とオレ。
『意外で…ミスチルなんて聞くんだ』
「普通に聞く。バンプも好き」
『へぇ…』
美羽がオレの隣に無理矢理ずい、と腰掛けた。
『イヤフォン片方貸して』
「なんで」
『一緒に聴こうよ』
はぁ?と思わず言ってしまった。
「わざわざ一緒に聴かなくてもいいだろ…」
『一緒に聴くことに意義があるんです』
わけわからん。しかし美羽はさっさと片方のイヤフォンを耳にしてしまった。
いつも聴いているミスチルの音楽が流れる…のに、全然頭に入ってこない。
「近いんですけど…」
『え?なに?』
美羽が更に顔を近づける。オレは顔を背けた。
「なんでもない…」
『だからなに?』
「なんでもねぇっつの!」
大きな声を出したオレに、なによ、とむくれる美羽。
『嫌なの?』
「いやっつーか…」
落ち着かないんだよ。ゴニョゴニョ言っているオレに美羽は怪しく笑った。
『サソリこそ、もっと私に全ての穴を捧げられるくらいの気持ちになってね』
「穴って…」
『例えよ、例え』
どんな例えだよ、と今度はオレがごちる番になるのであった。