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クリスマスイブ。
あれからもサソリは本当に忙しそうで、日に日にやつれていた。心配だったけれど私にできることは何もない。気持ちお弁当の量を多くして、精がつきますように、と毎日祈った。
今日は朝からイタチの家である。鬼鮫と一緒に食材を買い込み、私たちはインターフォンを鳴らした。扉が開き、私はあれっと声を上げる。
『サスケくん。こんにちは』
「…おう」
イタチの家なのだからサスケくんがいるのは当然である。しかしサスケくんが出てくることは想定していなかった。
家に上がらせてもらいながら、私は聞いた。
『サスケくんは今日遊びに行かないの?』
「奴らもうちに来るんだよ」
奴ら。同級生の友達だろうなと察する。
『そうなんだ。よかったらサスケくんたちも一緒にパーティーどう?』
「沢山買ってきましたから。余裕ありますよ」
「あー…まあ、来たら聞いてみる」
素っ気ない態度ではあるが、一応提案はしてくれるようだ。さりげなく私の手から荷物を持ってくれるサスケくんはやはり優しい。ありがとう、と私は言った。
台所に通され、私と鬼鮫はよしっと腕を組んだ。
『じゃあ、やっちゃいますか!』
「今日は思う存分腕を振るえそうですね」
「わからないことあったら聞いてくれ。今兄貴は色々買い物行ってるから」
『わかった。ありがとね』
****
好きなだけ料理をし、大きな机の上に所狭しと並べた。誰にも止められずこんなに大量の料理ができて私は既に大満足である。
『はぁん、幸せ~。自分の作った料理これから沢山の人に食べてもらえるなんて』
「美羽さんは本当、尽くすタイプですよね」
『そんなんじゃないよ。ただ、自分が頑張って作ったもの美味しく食べてもらえるのが嬉しい』
よしっと私は腕を鳴らした。
『あとはケーキだね』
「そうですね」
「こんにちはってばよ!わー、すげー料理!うまそー!」
ガラッと扉が開かれ、少年が顔を出した。確か彼は、あの時文化祭で見た。
『えっと…ナルトくん、だったかな?』
「そうそう!」
「こんにちは。ジュース買ってきました」
「うわぁ、すごい料理だね。おいしそー」
続いて、シカマルくんとチョウジくん。
その後ろから、サスケくんと、それに群がる女子二人。あと、控えめな女の子が一人。
「サスケくーん、今日はお招きいただきありがとう」
「別に招いてない…お前らが勝手に来たんだろ」
「そんなこと言わないで…って、あれ!?」
ピンク髪の子が私を見て驚いた表情をする。
「…美羽様!?」
『ぶっ』
吹いた。
皆の視線が一斉に私に集まる。
続いて金髪ロングの女の子も。
「えーっ、ほんとだ、美羽様だ!どうしてこんなところに!?」
『えっと…ごめん。どちら様かな』
そして美羽様って呼ぶのやめて、と私は冷静に言った。
「私たち弓道部です」
『ああー…』
納得していると、鬼鮫が私を見る。
「美羽さん、弓道部だったんですか?」
『そう。弓道と花道と茶道。部活必修だったから』
「the お嬢様ですね」
「美羽様人気だったんですよ。拝むと美人になれるって言って」
『なにそれ…』
知らないし恥ずかしすぎる。続いて黒髪の女の子が小さな声で言った。
「私…花道部です。美羽様の作品好きで。でもやめちゃったんですよね?」
『あー…最近はやってないね。うち、部活必修じゃなくて』
「なんでやんないんだってば?うまいなら続ければいいのに」
『好きでやってたわけじゃないから』
私の答えに、皆が訝しげな顔をする。
『K女は女子のマウント合戦でね。できないと蹴落とされるから』
「女子の世界は怖いですねぇ」
『そ。無理して上位にいることに疲れたの。これからは好きなことやっていきたい。料理とか』
皆が料理を見る。これ全部手作りですか!?の言葉に首肯した。
『あとケーキ出すから。先に適当にやってて。私たちの友達もそろそろくると思うし』
「美羽様!手伝います!」
『それは嬉しいけど…とりあえず美羽様って呼ぶのやめてね』
****
少し遅れてデイダラ達もやってきて、皆で料理を囲った。皆かなりテンションが上がっている。
「で!?サスケはサクラといのとどっちが好きなわけ?」
「別にどっちも好きじゃない」
「またまたあ。どうせ好きなんだろ。吐いちまえよ」
「サスケくんと付き合うのは私!」
「なによいのぶた!私に決まってるじゃない!」
年齢関係なく和気藹々である。私は部屋の隅でちびちびとオレンジジュースを飲んでいた。
ちらっとスマホを確認する。時刻は17時を過ぎたところだ。サソリはまだ来ない。連絡すらなかった。
待つって、いつまで待てばいいんだろうか。
「美羽。食べてる?」
すると皐月が私の隣に腰掛けた。うん、まあ。と曖昧に答える。
「凄いね。ほんと、そこら辺のお店よりすっごく美味しい」
皐月はケーキを幸せそうに頬張りながら言った。ふふっ、と私は笑う。
『よかった。そうやって幸せそうに食べてもらえるのが一番幸せ』
「食べる食べる。いくらでも食べちゃうよ」
二人で笑い合っていると、サスケくんがこちらに歩み寄ってきた。じっと見られて、なに?と私。
「あいつは?」
『…え』
「こら!サスケ」
皐月がサスケを睨む。いいのいいの、と私は言った。
『まだ連絡なくて。遅れてるみたい』
サスケくんは納得いかなそうにふぅん、と呟いた。
「お前ら付き合ってるんじゃなかったっけ」
『うん…まあ、一応』
「一応?」
いちいち突っ込まれる。サクラちゃんがそういえば、と私に声かけてきた。
「美羽様…美羽先輩って、サソリ先輩と付き合ってるんでしたっけ?」
『あれ?サソリのこと知ってるの?』
知ってるもなにも、とサクラちゃんは腕を組んだ。
「とんでもない悪ガキで。小学生の頃鞄にカエル入れられたりしました」
『ああー…なんか、ごめん』
私は謝った。どうやらとても迷惑な小学生男子だったようだ。
『今は…まあ、優しいよ』
「遽には信じがたいです」
『そうかもしれないね。でも優しいよ」
ギュッとコップを握りしめた。
そうだ、サソリは優しい。それは私が一番よく知っているはずだ。
信じて待つって決めたのに。その気持ちが揺らいでいることが情けなかった。
サソリは私を裏切らない。だから私も、サソリを絶対に裏切らない。
『…ごめん。私、ちょっと出てくるね』
私は皐月に飲みかけのオレンジジュースを渡した。えっ、と皐月が声を漏らす。
『まだ連絡つかないから。ちょっと探してくる』
「寒いよ?待ってた方がいいんじゃない?」
『平気。行ってくるね』
「…オレが一緒に行こうか?」
サスケくんが声をかけてくれた。サクラちゃんが驚いてサスケくんを見ている。
私は小さく首を横に振った。
『大丈夫。ありがとね。一人で行ってくるから』