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先日は皆でうなぎを食べ、いつも通り和気藹々と過ごした。皐月もデイダラも当たり前だけどいつも通りである。本当に仲が良いのだ。これを壊したくないと思っている皐月の気持ちもわからなくなかった。
もうすぐ夏休みが終わりを迎える。
私は本屋に来ていた。赤本を眺めては棚に戻す。その繰り返し。
進路のこと、考えるって言ったけど。まだピンとこないのが本音である。何になりたいのかハッキリしていないと、学部から絞るのも難しい。
既に将来のビジョンが明確なサソリは本当に凄いなと思った。相手があまりにも優秀すぎて、自分も中途半端なところにはいけないな、というプレッシャーもある。
結局赤本は買わず、赤本の山の横にある大学のオープンキャンパスのチラシを何枚か鞄に入れた。二学期になったら何個か行ってみようと考える。
雑誌コーナーを通ると、一人の男性が雑誌を小脇に抱えているのが見えた。そして次の瞬間、それをさっと鞄に入れる。私は息を飲んだ。
男性は私に気づいていない様子である。そのままそそくさと出口に向かって行ってしまう。
『あのっ』
考えるより先に体が動いてしまった。私に声かけされ、男性は驚いた様子で目を白黒させている。
『…本。お金払ったほうがいいですよ』
チッと舌打ちが聞こえたと同時に、思い切り突き飛ばされた。体が後方に吹っ飛び、本棚にぶつかる。激痛が走った。
『…ったぁ…』
男性は走り去っていってしまう。体が痛くて動けなかった。
その時。
「オイ」
一人の少年が男性の動きを静止した。漆黒の瞳が、冷たく男性を睨みつけている。
「万引きした上に女に暴力かよ」
「…どけよ」
男性は構わず走り去ろうとした。しかし少年は男性を逃がさない。私はただただ、圧倒されていた。
「ほら。とっとと警察行くぞ」
「クソガキが偉そうに」
「ガキだろうがなんだろうが関係ない」
少年は迷いなく言った。
「女に手を出す男はクソ以下だ。いい大人様がクソガキに口答えされてそんなに熱くなってんじゃねーよ」
騒ぎを聞きつけ、周りの店員が駆け寄ってくる。
私はぼーっと、その映画のような光景を眺めていた。