06
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オレが庭に戻ると、奴らがガチビーチバレーボールをしていた。皐月は完全に野郎どもに溶け込んでいる。奴も水着なのに、全然ムラムラしない。逆に凄い。
「あれ?美羽は」
飛段の言葉にオレは答える。
「疲れたから少し休むってさ」
「誰が疲れさせたんですかー?うん」
茶化され、しかしオレは冷静に答える。
「お前らがいじめるからだろ。繊細なんだよ、気を使え」
「だって可愛いからさー、つい」
わかるけど。わかりすぎるけど。
あの後美羽はオレの要望通りにスク水まで着てくれた。彼女はめちゃくちゃオレに従順である。
ビキニとは違うエロさに興奮してまあそれなりに悪戯してしまったが、彼女の嫌がることはしていない。多分。
「可哀想、美羽。変態たちに当てられて」
「元はと言えばお前が悪いんだろ…」
皐月は涼しい顔である。
「なんていうか。心の壁が厚いじゃん、あの子。もっとオープンに生きてほしいというか」
「オープンにするところが違うんだよ」
脱がせんじゃねぇよ、とオレは続けた。皐月の言っていることはわかる。美羽は表面上ニコニコしているが、オレたちにまだ壁を作っているきらいがある。
それが何故なのか、まだわからないのは付き合いが浅いからだろうか。
「いじめられてたんだろ、多分」
「え、そうなのか?」
「中学の話、歯切れが悪かったじゃん。わざわざ私立のお嬢様校からこっち受験してんだから何かあったに決まってんだろ、うん」
いじめですか、と鬼鮫が呟いた。
「えー?あんなにいい子なのに?」
「女子の世界はそんなの関係ナイナイ。そこにあるのはマウントonマウント。あの人の良さじゃ美羽は勝てないだろうねー」
「めんどくさいな、女子は」
角都がボールを投げながら言った。皐月がそれを受け取る。
「女なんて適当にそだねーそだねーって相槌うっとけばいいのよ。でも美羽素直だからさ。下手なのよね。え?それ違くない?と思ったらすぐに顔に出る」
「それはわかるなァ」
続くのは飛段である。
「尽くし過ぎなところもあるよな。え?そこまでする?みたいな」
「男を勘違いさせて、私そんなつもりじゃなかったのに…ってタイプ」
それはオレにも覚えがあった。実際、それで落とされたわけで。
「優しくしてやってよ」
皐月が言った。オレは無言で皐月を見る。
「いい子なのは間違いない。でも、人付き合いが下手なの。女子には嫉妬されて、どう対応していいかわかんないみたいだし」
「……」
「見てて可哀想で。女は本当、めんどくさいからさ。あんた達みたいな何も考えてないアホなクソ野郎どもの方が美羽には合ってると思うわ」
酷い言われようだな、と飛段は笑った。
「普通に優しくするし。むしろ冷たくする理由全くないし」
「むしろ仲良くなりたいんだけどなー。本人がそれを望んでるのか謎、うん」
「本人は仲良くなりたいと思ってると思うけどな」
オレは言った。皆が一斉にオレを見る。
「お前らは怖いんだよ、見た目が」
「サソリに言われたくねーんだけど」
「ばっか。だから苦労したんじゃねーか。何回フられたと思ってんだよ」
初期の怯えた美羽の姿を思い出す。それに比べたら今は上出来だ。でも、まだ足りないのだ。
きっと彼女もオレたちともっと仲良くなりたいと思っている。そうじゃなければ、こんな野郎どもの旅行に参加するわけもない。
仲良くなりたい。もう少し、もう少しだけでいい。子供のような願いを、オレは心の中でなぞった。