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薄暗い部屋で、美羽が必死に唇を噛み締めているのがわかる。彼女は基本的にこの行為では痛みしか感じていない。初めての時に比べたらマシだと言っても、それは比較対象があまりにも悪すぎるからである。
「痛い?」
『…ううん、平気』
背中に回されている手に力が籠っている。美羽は決して行為を嫌がらない。痛いとも言わない。ひたすら耐えて、オレが達するのを歯を食いしばって待っている。そしてその苦痛に歪む表情を見てオレが感じるのは同情でも哀れみでもない。オレが感じるのは紛れもない安心感だった。
この顔はオレしか見られない。他の男には見せない顔がある。その事実がオレの心を満たすのだ。歪んだ感情だということはよくわかっている。この行為は彼女を傷つけているだけだとわかっているのに辞められない。だから初めからしたくなかったのだ。いっそ美羽がオレを拒否してくれれば目が覚めるだろうか。
「…もう少し動くぞ」
耳元で囁くと、美羽は息を詰まらせながら僅かに首肯した。嫌だと言えばいいのに。彼女は決してオレを否定しない。一種の呪いだ、と思った。美羽はオレの全てを受け入れなければならないと思い込んでいる。
その従順さを愛しいと思う反面、心のどこかでイラついてしまう自分がいた。
自分でもよくわからない感情だ。否定されたら否定されたで面白くないくせに。
「嫌なんだろ、ほんとは」
『…っ、そんなことない…』
「ふぅん。じゃ、もっと奥突いていいんだな」
美羽の体が強張るのがわかった。その様を見て、ふう、とため息をつく。
「嫌なら嫌って言えよ。本当はオレとこんなことするの嫌なんだろ」
『……』
美羽は首を横に振る。その様を見てカッとなる。興奮ではなく怒りである。
「オレに犯されてんのに嫌じゃねーのかよ。本当に馬鹿じゃねえか?」
美羽が薄目を開けてオレを見る。なんとも言えない表情である。
『サソリがしてくれるものは、痛くても気持ちいいの』
「嘘つくんじゃねぇよ。気持ちよくなんてねーくせに」
『前も言ったでしょ。拒絶されるよりは、痛くてもセックスした方が幸せ』
美羽がオレの頬を撫でる。思わずドキッとした。
『その余裕のない顔、大好き』
「…からかうなよ」
『からかってないよ。私にしか見せない顔って感じで興奮する』
ふふ、と美羽が笑った。場に似合わない無邪気な表情に胸がぞわぞわする。
『悪いと思うなら、私が早く痛くなくなるようにいっぱい練習しようね』
「…お前、変なところでポジティブだよな」
こんなに痛がっていてもしたがるのはそういう理由らしい。美羽はオレの唇にくっつけるだけのキスをした。続けて?と囁かれ更に欲情する。
深いキスをしながら、せめて痛みがマシになるようにとゆるく腰を動かした。
改めて思う。彼女が美羽であれば、世間がなんと言おうと関係ない。どんな姿であっても、腕の中にいる彼女のことがオレは一番好きだ。