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これからはガンガンいく、とサソリくんは言った。その言葉に嘘はなかったようだ。
体育の授業帰り。更衣室に向かう途中偶然サソリくんに会った。ジュースを買いに行こうと声かけられ、断る理由もないのでついていくとー…
人気のない教室に押し込まれ、抱きしめられた。
『…ちょ、…ダメだって』
「何故?」
サソリくんは私の身体を抱き、上目遣いに言った。ダメなのか?と甘い声で聞かれる。この顔と声に滅法弱い。
ダメじゃないけど…ともじもじする私。サソリくんはふっと笑った。
「一回だけ。いい?」
『……』
小さく首肯する。するとサソリくんは私の唇にキスをした。一回と言ってもそれは濃厚で、毎回ディープに舌を絡ませられる。
息も続かなくなるほどたっぷりキスされて、サソリくんは私の身体を抱きしめながら言った。
「体操服とポニテが可愛くて。つい」
『いつもこれじゃない…』
「だからいつもムラムラしてんだよ」
サソリくんは私の髪を一束すくって、キスをした。行動の一つ一つが妖美で、クラクラしてしまう。
「いい加減、オレと付き合わないか?」
『…まだダメ』
「何故?」
『…サソリくんがカッコ良すぎて対応できないから』
サソリくんは笑った。めんどくせえ女だな、と。
そうです私はめんどくさい女なんです。
「まあ、いいけど。絶対好きにさせるから」
サソリくんはそう言って、自信満々に口角を上げるのだった。
****
サソリくんは私のことを好きだという。クラスもなんだかんだ、公認しているようなところがある。でも。
『普通の人がいい…』
私はポツリと呟いた。普通の人?と皐月。
『カッコよくはないけど不細工でもない。優しくて、真面目で、将来堅実なサラリーマンになりそうな人と付き合いたい』
「なにそれ。つまんない理想ね」
『私にはそれくらいの人がお似合いなんだって』
「自己評価低ー。美羽可愛いよ。普通にサソリとお似合いだと思うけど」
『嘘だぁ。あんなスーパーマンと似合うわけないじゃん。今回の模試の結果見た?』
ああ、と皐月は相槌をうった。
「いつものことじゃん。サソリが一位でしょ」
『ありえないから。全国一位って、なにそれ。あの顔で?スポーツもできて?頭もいい?ほんとなんなのそれ』
「そんな奴に好かれてんだから自信持ちなさいよ」
持てるわけがない。むしろ劣等感で死にそうになる。
『…皐月って、サソリくんのこと嫌いじゃなかったっけ』
「まーね。馬が合わなくてね」
『…それなのに、私とサソリくんが付き合うことは賛成なの?』
皐月はサソリくんと幼馴染みらしい。皐月はふっと笑った。
「サソリのことは嫌いだけど美羽のことが好きなサソリは割と好きよ」
『なにそれ』
「あいつ今まで感じ悪かったけど、美羽のこと好きになってから丸くなったから。穏やかになったというか。そんな感じする」
そうなのだろうか。私には、出会って日が浅すぎてわからない。
「ま、どっちでもいいけどさ。長く保留にしておくとあっちも冷めるかもよ」
『…それなら、それはそれで』
「ほんとに?いいの?」
あー、と頭を掻く。わからない。ほんとに。自分がどうしたいのか。
なんなの、これ。
「サソリー。美羽がバグってる」
「ああ?またかよ」
皐月がいらない声掛けをサソリくんにしてしまう。私は机に突っ伏した。
『ほっといて。もう私は自分で自分がわからないの』
「なんでそんなに強情なんだよ。いいだろ。一度オレと付き合ってみろよ」
『…そんなことできないよ』
私は続ける。
『サソリくんが真面目に気持ち伝えてくれてるのに。こんな中途半端な気持ちで付き合ったら失礼でしょ』
ふ、とサソリくんが笑う気配がした。
「オレ、美羽のそういうところ好きだわ」
『…恥ずかしいから簡単に好きって言わないで』