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看板の方に行くと、美羽と皐月が仲良く男子達と談笑していた。
彼女らがオイラ達以外の男子と仲良くしているのを初めて見た気がする。
「手伝いに来たぞ、うん」
オイラの言葉に、美羽が顔を上げた。
『ありがとう。そっちはどう?』
「旦那がうまくやってる。もう終わると思うぞ、うん」
美羽はそう、と小さな声で呟いた。その顔は複雑そうな面持ちである。順調に行っているのは嬉しいが、旦那が他の女子と仲良くしているのが嫌なのだろう。考えていることはお互い一緒だな、と思う。
「おー。結構いいじゃん。頑張ったな」
飛段が看板を眺めながら言った。でしょ?と皐月。
「こういうのは男子の方が大胆で良かったりするのよね」
「そういうお前は何やってたの?うん」
「決まってるじゃん。邪魔しないように遠目から見てた」
相変わらずである。皐月は絶望的に手先が不器用だ。
とりあえず上手くやっているようで安心する。そういえば、とオイラは思い出した。
「旦那がもう一つ頼みたいことがあるっていってたけど、うん」
『頼みたいこと?』
美羽が首を傾げている。どうやら知らないらしい。
その時、ガラッと扉が開かれる音がした。皆が一斉にそちらを見る。
「こんにちはー」
「どうもー」
『…あれ?サクラちゃんにいのちゃん。どうしたの?』
そこにいたのは、一年の春野サクラと山中いのだった。
二人は何やら大きな荷物を持ってこちらに近づいてくる。
『どうしたの?』
「サソリ先輩に頼まれてきました」
サソリに?と目を丸くする美羽。サクラはよいしょ、と荷物を机に置いた。
「美羽先輩と皐月先輩を、派手な美人に変えろというオーダーです」
『は?』
美羽と皐月が眉を寄せている。どういうことだ?とオイラは聞いた。サクラが答える。
「男性からモテる女と、女性からモテる女は違うんですよ」
「というと?」
「男性はどちらかというと…美羽先輩みたいな大人しめな清楚系を好みます。皆好きでしょ、美羽先輩のこと」
サクラがぽん、と美羽の肩を叩いた。
皆何も答えない。否定できないからである。
「対して、女は派手で煌びやかな女性が好きです。同性に人気のある女性芸能人とかって皆派手でしょ。逆に清楚系は無意味に叩かれたりします」
確かに、美羽は可愛いがとにかく男にだけ好かれるというイメージがある。女子からはどちらかというと嫉妬対象になりやすい。
「オレは今のままが好きなんだけど。仕方ねぇから派手にして」
『は?』
「…と、サソリ先輩が言っていました」
美羽が困惑している。オイラは二人の言っていることを理解した。
「なるほど。二人を女子の憧れの存在にするってことだな、うん」
「そういうことです」
『憧れって…』
「無理に決まってんじゃん。美羽はともかく私は無理」
皐月が心底めんどくさそうにしている。サクラが皐月を見た。
「二人とも素材はいいんですよ。でも圧倒的に派手さが足りません」
『…確かに、地味だとはよく言われるけど』
美羽が呟いた。どうやら自覚があるようだ。
「男性にはもうモテるでしょ。次は女にモテてください」
『別にモテた覚えもないんだけど…』
「だから私には無理だって」
乗り気ではなさそうな二人である。オイラは言った。
「いいじゃん。やってみれば?」
『えー…』
「面白そうじゃん。やろうぜ」
「やってみなよ」
男性陣は乗り気である。美羽と皐月は可愛い。しかしもっと可愛くなるならもちろん見てみたい。
サクラといのは既にメイク道具を並べ始めていた。美羽と皐月は顔を見合わせている。
「1時間ください。ビックリするくらい美人に仕上げますから」
サクラはそう言ってニヤッと笑った。