生きるために
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小南がオレに抱き抱えられている月下を見て目を見張っている。何か言われるより先に「チャクラ切れだ」と手短に伝えた。
「寝ているの?」
「見ての通りだ」
そのまま乱雑に床に放り投げると小南に睨まれる。
「もう少し丁寧に扱いなさい」
「なら自分でやれ。オレはこんな小娘の世話係なんて御免なんだよ」
「何言ってるの。珍しく気にしているくせに」
気にしている?どこをどう見たらそうなるんだ。オレの不機嫌を気にすることなく、小南はその場にしゃがみ込み月下の様子を確認している。
「体温が高いわね。もしかして熱中症かしら」
「さぁ。生きてるから問題ないだろ」
最悪死んでも大して影響はない。しかし小南はそういうわけにもいかないのだろう。連れてくるのはオレとデイダラの役目だったが、アジトでの管理は小南の役割である。
顔、腕、脚…なぞる様に小南が確認している。外傷がないかの確認だろう。小南はオレたちの中で一番繊細で神経質だ。ここにいる唯一の女性である所以か。
「…この子」
小南が月下の手を握りながら呟いた。その顔が少しだけ、動揺しているように見える。
小南はオレに視線を寄越す。その時には既にいつも通りの無表情に戻っていた。
「何か変わったことはなかった?」
「変わったこと?そんなのオレがわかるわけねぇだろ」
親しき仲でもない。長い付き合いがあるわけでもない。そのオレがコイツの変化に気づけるわけがない。
小南は例えばの話なのだけれど、と話を続けた。
「いつもより体力が持たないとか…チャクラが上手く練れないとか」
言われて、日中の月下の様子を思い出す。
「そんなようなことは言っていたな。違和感を感じるとかなんとか」
「……」
小南の視線が再び月下に移った。何やら考えている様子である。
話の続きがあるのかと思いきや、そう、と呟くだけの返答。意味深な態度である。しかし追求する気も起きない。そこまでこの女に興味もなかった。
挨拶もせずオレは踵を返した。
作業を中断されたため、調合比率表の確認が終わっていない。明日までに確認しなくては、とオレは無意味に指を鳴らした。
小南はオレがいなくなってもなお、月下を見つめ続けていた。
.