逢いたかった人
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助けを求めに、全速力で夜の街を走る。
狐さんはきっと、千秋さんよりも強い。このままでは千秋さんが殺されてしまう。
千秋さん、千秋さん、千秋さん。
『っ、誰か、助けてください…!』
しんと静まり返った夜の街に私の叫び声が溶けていく。やっと見つけた家の扉を必死に叩いた。
『夜分にすみません!助けてください…!』
家の灯りが灯る。ほっと安心したのは束の間のことだった。オレンジの光が私の視界を覆う。
『…えっ、』
割れるような音。爆風に当てられ、私の体は後ろに吹っ飛んだ。身体に激痛が走る。
顔をあげれば、先ほどまであった立派な母屋が消え去っている。…家が急に、爆発した?
「オイラの芸術だ。綺麗だろう?」
白い鳥が、私の頭上に飛んでいる。この鳥は初めて狐さんと会った日に月に浮かんでいた鳥と一緒だ。
彼も暁なのだということは、今となっては確認する必要すらない。
ふわん、ふわん。翼がゆっくりと閉じられる。青い瞳と目が合い、私は唇を噛み締めた。
『今のは貴方がやったんですか?』
「だからオイラの芸術だ。その家も、中の人間も。最後に芸術として昇華させてやったんだから感謝してほしいくらいだぜ、うん」
家の崩壊具合から察するに、中の人命を探ろうとするだけ無駄だ。ごめんなさい、と私は着物の袖を握り締めた。
貴方たちの時を戻すことは、私にはできないんです。
「月下ちゃん」
『……』
「お前が時送りの忍びで間違いねぇな、うん?」
金髪の青年は顎に手を当てながらジロジロ私を眺めている。
「…旦那も大概適当だよな」
『は?』
「いや。なんの特徴もない女だって聞いてたもんでよ。めちゃくちゃ可愛いじゃんなぁ」
可愛い?こんな時になんの話をしているんだ。無言で睨みつけると、青年は嬉しそうに笑った。
「いいねぇいいねぇ。その勝気な感じ。これからオイラたちに捕まるしかないのに、負ける気が一切ないところ」
お前みたいな女大好き、と青年。私は印を結んで手にチャクラを溜めた。その様を見て、えー、と不服そうに青年は長い髪を揺らす。
「戦うの?殺したくないんだけど、うん」
私は彼を知っている。岩隠れの抜け忍、デイダラだ。彼は爆遁使いで、様々なものを爆発させると聞く。
しかし、その能力は私とは相性が悪い。
身体がじんわりと暖かい。チャクラが全身に溜まった。私は静かに目を閉じる。
申し訳ありません火影様。これから私は、法を犯しまくります。
『一応私も忍びです。そう易々と捕まるわけにはいきませんから』
「仕方ねぇなぁ。痛くて泣いても知らねぇぞ。月下美人のお嬢さん」
デイダラはそう言って、見せつけるようにゆっくりと掌を擦り合わせた。
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