このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

千弥町物語



…河…





それは、川と呼ぶには余りにも広大過ぎた…。
対岸と思われるものは影すら全く確認出来ず、遥か遠方には濃い霧が立ち込めてた。
こちらの陸の方に向かい、波が穏やかに押し寄せたり…引いたりしている。

「これって…海だよね?」

茫然とそれを見つめている私に…

「海?…海は本でなら見た事あるけど…
海ってしょっぱいんでしょ?…河はしょっぱく無いよ」

とライラは答えた。

「あの対岸には何があるの?…霧で全く見えないけど…」

…こんな巨大過ぎる川の中だと言うのなら…中州と言うより、もはや孤島である。

「わかんない。渡って帰って来た人の話…聞いた事無いもの!」

何故かライラは少し怒った様にそう言って…彼方の濃霧を静かに見つめていた。
その姿は何処か寂しげだった。
8/13ページ
スキ