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千弥町物語



「ちょっと地図見て見る?」

そう言って、ライラが自転車を止める。
自転車の籠の中から年季の入った、黄色くなりかけた地図を取り出し広げた。
町の中心が千弥町一丁目だと教えてくれたライラ。
そこから延々と住宅地が続いていて、町のほとんどが住宅街だとの事。

ライラの家は二万丁目九千二百五番…

「こう数字ばかりではややこしく無い?」

と彼女に聞いてみると

「確かに…言われてみればそうかも 」

 ライラも考える仕草をした。
(とは言っても言われた意味自体をあんまり納得してなさげな彼女だったが…)

ふと不思議な事に気がつく…。
地図に書かれた街の際、街から外に続く道が無くほぼ全部が行き止まりになっていた。

「…千弥町の向こうには何があるの?…道が無いみたいだけど。」

「街の周りは河だよ、河に囲まれてるの。
…昔聞いたんだけど大きな河の中州に千弥町はあるんだって…。」

今まで、そんな巨大な中州のある巨大な川の事など聞いた事が無い…。

「何川?…そんな大きな川聞いた事無いわ!」

「何河…って言われても河は河だけど…。
そうだ!
今から行ってみる?河に。こっからだと半日位かかるけどさ…」

「うん…ちょっと見てみたいかも…」

今度はライラと交代して、私が自転車をこいだ。
ライラが背中に掴まって
握るサドルに手汗が滲む…。
何故だろうか…何処かで昔誰かとこうしていたような気がした。
何かが、懐かしかった。

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