千弥町物語
「ライラ…何か気に障る事言ったかしら…
ごめんね。」
この世界のタブーだったのだろうか。
しかし、こちらを見つめ返したライラの顔はきょとんとしていた…。
「えっ?…何が?
…そんな事無いよ」
と微笑み返す。
…今のは、私の気のせいだったのだろうか。なら良いが…
河原に降りて、水を覗いてみた…。
透明度の高い、遠浅の穏やかな水面である。
近づいて水を手で汲むと、冷た過ぎず…生温過ぎず。実に、少し涼むには丁度良かった。
「しばらく…休憩しよ…」
そう言って私は、サンダルを脱ぎ捨てて水に足を投げ出した。
ライラはそんな私を一瞬ポカンとした顔で見ていたが、直ぐに…くすっと微笑んだ。
「ちょっと驚いたかも!
河ってね、怖い所だって大人に言われてたからさ」
ライラも、サンダルを脱ぎ捨てて水に飛び込む。
飛んで来た水飛沫が心地よかった。