千弥町物語
…事情を話すとライラは
「…やっぱりそうなんだ」
と頷く。
「この街に降り注ぐ星はね、遠い世界からの贈り物なんだよ…だけど、飛んで来る間に少し落とし物をしてしまうんだってさ。」
…何だか不思議な話だが、妙に納得して聞いてしまう。
「落とし物?」
「うん。ページの抜けた本とか、欠けたガラス細工が落ちて来た事もあるって…これに書いてあったけかな…」
ライラは部屋の片隅の本棚から、ノートを取り出して来て見せてくれた。
それはスクラップブックになっていて、古い新聞記事が沢山貼られていた。
星の記事も気になるが、ふと新聞の名前に目がいく。
『千弥町新聞』
とあった。
「千弥町…」
「うん。此所は千弥町って言うんだよ…何処まで行ってもずっーと千弥町!」
「えっ?」
言われている意味を把握するのには時間がかかったが…
此所は正しく…
ちょっと不思議なくにだった。
こうして、私とライラの日々が始まったのである。