千弥町物語
「えっ?…あなたは?」
「だから…此所はライラのお家だってば♪
…あなたは星の人だから…落ちた所に住んで良いのよ。家の庭に落ちたんだから」
そう言って、少女がサッシを開けて外を指差す。
「…落ちた?」
庭の地面に人型に焦げた跡がついていた。
「うん。…あなた空から来たの。覚えて無いの?」
「夢…じゃなかったのか…」
信じがたい事だが、確かに私は何処かから落ちて来た…らしい。
「ねぇねぇ♪…私は瀬名ライラてっ言うんだ!あなたは?」
「私?…私はせ…せ…せ…!?…あれ?」
自分の名前を言おうとしたが言葉が出てこない!
「どうしたの?」
ライラは不思議そうに私を見つめ返す。
まるでそこだけフィルターでもかかったみたいに出てこない自分の名前だった…。