またたびものっ!
「るんるるる…るるる…るんるるる♪」
大通りの人込みの中を小さな女の子が鼻歌交じりで一人歩いている。
…背格好からして三歳ぐらいだろうか、双つに高く結った髪には大振りの丸っこいアクセサリー…
いわゆる子供の髪飾りに多い、ボンボンと呼ばれるものが…二本の結髪それぞれに2個ずつ光っていた。
その背丈に比べ、異常な程、割合を占めている大きな頭…。
饅頭の様な平べったい顔に、筆で描いた様な細い瞳に小さな口…。
「ママぁ…お人形さんが歩いてるよ!」
母親に連れられた子供が彼女を指差した。
「まぁ、ほんとね…何処のメーカのかしら、よく出来てるわ」
…そんな親子をちらりと尻目に、お気にのピンクのスカートをフリフリさせつつ…彼女は再び歩き出す。
彼女は明らかに幼女を象った人形そのものだった。
子供の描いた落書きの様にデフォルメされた三頭身の人形である。
人形は
「…レヂヒり成ゃるきゃらにわぁ…経済力ぎゃ必須だわよぉ!」
…とか、ぶつぶつ呟きながら、情報誌やら、地図やらを鞄から取り出して、ふむふむと眺めながら歩いて行く…。
…一体何処に行く気やら…