最強女神異聞
「見たか?今の!」
「すげぇ!今日はついてるぜ!」
そんな事をデレデレ鼻の下をのばしながら話す子分共を冷ややかな目で見る未璃だった。
「確かに美人だったけどフェロモン撒き散らしながら歩くのってどうかと思うぜ」
と呆れて言う。
「親分だって十分見とれてたじゃないっすか!」
言い返す子分達に
「髪、奇麗だったからなぁ」
と未璃は素直に呟いた。
…未璃は伝説のあの方の髪に憧れていた。
さらさらとなびく美しい長い髪…。
「親分も伸ばしてみたら良いじゃないっすか!」
とジョーが言う。
「癖毛ひでぇから…バンダナしとかねぇと爆発するし無理だな」
と未璃は残念そうに答えた。
彼女は男勝りではあったが、ファッションには相当気を使っていた。
黒いピッタリとしたへそ出しノースリーブにクロスのチョーカー。
裾がぎりぎりまで破けたジーンズの短パン。
頭の真っ黒なバンダナがトレードマークだ。
エナメル生地でごついベルトだらけのアームカバーや鋼の埋め込まれた攻撃的なスニーカーも黒。
Hip Hopのダンサーの様なイメージで本人はキメているつもりなのだが。
…小さくて細いのでやっぱり可愛らしかった。
「髪伸ばしたらお人形さんみたくなるだろうに残念っす!」
ガイが思わず呟く。
「人形だとぉ!俺はあの方の様に強く美しくなりたいだけだ!」
未璃は怒った。
「…もっと体も鍛えて強くならねぇと!」
ヒュン!
…未璃の脚と拳が空を切る。
手脚を高く上げて未璃は構えた。
…何て可愛いんだ親分!!
…思わず言いそうになった言葉をガイは飲み込んだ。
…最強に憧れる未璃の中ではムキムキ系が目標と化している。
(あの方がムキムキかは定かでは無いが…)
そのままで良いですからぁ!
…だって可愛いだけでなく未璃は十分強いのだ。
これ以上強くなる必要はっきり言ってない。
そう子分達が思うのはちょっとしたトラブルに巻き込まれているせいでもあった。
それは小さな街では一大事と言える様な事だった!